8日投開票の衆院選で、高市早苗首相率いる自民党が過去最多議席を獲得し、歴史的勝利を収めた。国民の負託を得た今、高市首相は諸課題の解決に向けまい進してほしい。
高市首相は選挙戦を通じて、就任後わずか3カ月で衆院選に踏み切った理由について「国論を二分するような大胆な政策、改革に果敢に挑戦していくためには国民の信任が必要だ」と強調した。首相が例示したのが「責任ある積極財政」であり、安全保障政策の抜本的な強化とインテリジェンス機能の強化だった。
●目指すは「自衛隊明記」
高市首相が「政治の師」と仰ぐ安倍晋三元首相は、第1次政権であらゆる課題を全面突破しようとして短命に終わった反省から、第2次政権では最重要政策に同時に取り掛かるのではなく、分けて取り組んだ。だが、高市首相には今、中国による軍事的威圧、ウクライナ戦争、そして同盟国である米国からの防衛費増額や役割拡大の圧力など、戦後最も厳しいとも言われる国際情勢の中で、そうした時間的な余裕はない。
物価高対策や危機管理投資などの経済政策はもちろん、国家安全保障戦略はじめ戦略3文書の改定、各省庁のインテリジェンスを統括する「国家情報局」の創設、スパイ防止法などに同時に取り組む必要がある。
高市首相は選挙戦を締めくくる7日夕の東京・二子玉川(世田谷区)での演説で、「結びに世田谷区の皆様に御礼を申し上げる。(区内には)陸上自衛隊の駐屯地が2カ所ある。自衛隊の活動へのご理解をいただき心から感謝申し上げる」と述べた。選挙戦の終わりとしては異例の挨拶だった。
そこには首相が総選挙に踏み切ったもう一つの意図が見える。それは自衛隊を明記するための憲法改正の実現だ。高市首相は2日の新潟県上越市での演説でも「彼ら(自衛隊)の誇りを守り、しっかり実力組織として位置づけるためにも憲法改正もやらせてほしい」と強調した。憲法改正こそ中国に対する抑止力強化につながる。
●論議推進のチャンス
これまで憲法改正の審議を行う衆参両院の憲法審査会会長は野党が占めており、改憲論議を進めるためには与党が議席を増やし、会長ポストを取り戻すことが不可欠だった。
今回の衆院選で、衆院では自民党だけで3分の2(310議席)を突破した。改憲発議には衆参両院の本会議で総議員の3分の2以上の賛成が必要であり、2年後の参院選で改憲勢力が3分の2を取り、改憲の発議を行うためにも、改憲の論議を進めるべきだ。高市首相にはその先頭に立ってほしい。(了)





