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西岡力

【第1346回】韓国大統領が慰安婦像撤去活動家を迫害

西岡力 / 2026.02.16 (月)


国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力

 

 韓国で慰安婦問題の真実を主張する活動家への迫害が激化している。慰安婦像撤去デモを行ってきた金柄憲・慰安婦法廃止国民行動代表に対し、李在明大統領が1月6日と2月1日の2回、SNSを使って激しい言葉で非難した。警察は金氏への集中的な捜査を行い、マスコミは連日金氏を犯罪人扱いする報道をした。2月12日には国会が、虚偽の主張により慰安婦の名誉を毀損したら5年以下の懲役、5千万ウォン(530万円)以下の罰金を科すとする慰安婦支援法改正案を成立させた。

 ●SNSで「強制連行」主張
 2019年12月から金氏は毎週水曜日、正義連(旧挺対協)がソウルの日本大使館前慰安婦像の近くで行っている反日デモに対抗して同じ時間に同じ場所でデモを行い、韓国国内各地及びベルリンに建てられている慰安婦像を訪れて撤去を求めてきた。最近は、校庭に慰安婦像を建てたソウルの2校の女子高校前でも撤去を求める活動をしていた。
 金氏は法を遵守しながら活動を続けてきた。事前に警察から許可を得て集会を行い、学校周辺での集会が不許可になると、数分間学校近くで横断幕を掲げて記念撮影だけをしていた。慰安婦像を損壊しないように、像に「撤去」と書かれたマスクをつけて写真を撮るだけにした。
 金氏は「慰安婦支援法が定めるような日本軍に強制動員された慰安婦被害者は一人もいない」と常に主張し、その根拠として挺対協が編集した慰安婦証言集を挙げてきた。柳錫春前延世大学教授が慰安婦を巡る発言により名誉毀損罪で起訴された裁判で、検察は「日本軍に強制動員された慰安婦被害者」を一人も特定できなかった。その結果、昨年柳氏は最高裁で無罪の確定判決を得た。まさに金氏はその確定判決の範囲内で活動してきた。
 ところが、李大統領は金氏の活動を慰安婦への「名誉毀損」と非難し、「人間ではない獣は隔離すべきだ」とSNSに書き込んだ。するとマスコミは事実関係を調べず金氏を重大犯罪人であるかのように連日報道し、警察は金氏の自宅の家宅捜索を1回、警察に呼び出しての取り調べを2回行っている。李大統領は2回目の書き込みで慰安婦について「無理やり戦場へ連れて行かれ、死の恐怖の中で毎日数十回も性的暴行を受け、挙げ句の果てには虐殺されるまでに至った」と一方的に書いている。

 ●嘘との戦い継続へ
 金氏は2月7日、「憲法を守る義務を負っている大統領が自身の強力な地位を利用して一人の小市民に過ぎない私を迫害した」と主張、警察が法に基づく対応をしない可能性が高いとして、当分の間、慰安婦像撤去を求めるデモを中断することを明らかにした。しかし、改正案でも処罰の対象から除外されているセミナー、講演、研究書執筆を通じて嘘との戦いを続けると宣言した。(了)