こんなに身勝手な日本人がいるのか。
種々の世論調査で60%前後の人々が「憲法9条は変えない方がよい」と答える中で、週刊誌AERA(5月16日号)が11都府県の700人に行った対面調査結果のことである。「自衛のためなら戦争を認めるか」「自衛のためでも認めないか」との問いに、全体では「認める」が53.6%だったが、女性はどの世代も、自衛であっても戦争は認めないと回答した。
●無知と利己主義の極み
「他国や武装組織の日本攻撃にはどうすべきか」の問いには、「日本には攻めてこないと思う」「外交の力で攻撃されないようにすればよい」「日本は戦争しないで米軍に戦ってもらえばいい」などの答えが並ぶ。
女性たちの45%はまた「戦力としての自衛隊」は認めず、災害救助隊としての働きに期待する。そこで「災害救助だけでよいのなら、自衛隊の戦力放棄や武装解除を求めるか」と問うと、多くが「求めない」、今のままでよいと回答した。国際情勢に関する無知と、利己主義の塊と言わざるを得ない。
「外敵は日本に攻めてこない」と考える女性たちは、中国は日本を念頭に軍事的脅威を高めているとの米国防総省の分析や、南シナ海における中国の蛮行をなぜ見ない。「米軍に戦ってもらえばいい」という女性たちは、アメリカ人の税金で日本を守るのはもう真っ平だと主張するトランプ氏(共和党大統領候補になることが事実上確定)と、氏を支える幾千万人のアメリカ人に同じことを要求できるのか。
自衛戦争を認めないのは子供を生み育てる母親としての価値観だという女性たちは、アメリカ人の母の思いも想像すべきだ。自国や自国民を自ら守る意思もない日本のような国のために、自分の愛する子供が戦争に行くのをアメリカの母親たちが受け入れると思うか。絶対にノーだ。
●憲法改正が急務
50年以上前、吉田茂(元首相)は、災害救助は自衛隊の存在理由の本筋ではないと警告している。如何なる国においても軍隊は国防を主任務とする存在である。災害救助活動を自衛隊の存在意義だと見る人々は、自衛隊の武装解除を主張すべきだが、そうは言わない。理由は、有事には自衛隊が戦えばいいと考えているからであろう。ならば、戦力としての自衛隊の存在と交戦権をきちんと認め、憲法を改正すべきだ。それをせずに有事の際には戦えというのは、主権者として卑怯の極みではないか。
自らは何もせず、諸国民の公正と信義に