2017年7月の記事一覧
【第456回】「戦闘できない自衛隊」は抑止力を弱める
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 責任ある政治家は、自衛隊の「隠蔽体質」などをめぐり空論をもてあそぶことをやめ、日本が直面する安全保障上の危機に向き合うべきである。北朝鮮は日本の政局をあざ笑うかのように、再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。射程が1万キロを超えて米国本土に達するとみられることから、米国の対北攻撃が現実味を帯びてきた。ところが、至近距離に...
【第455回】テレビファシズムを止めよ
文藝評論家 小川榮太郎 テレビの暴走が止まらない。 学校法人の森友学園と加計学園をめぐる「疑惑」報道は既に半年に及ぶが、内実はいずれも、安倍晋三首相の職務権限とは全く無関係である。加計問題では文部科学省の「文書」が出てきたが、作者不明の部署内メモに「総理の意向」と書かれていれば、首相の側に説明責任が生じる――そんな無原則な話を許せば、安倍政権に限らず、全ての組織は崩壊す...
【第454回】劉氏死去で日米議員に対応の差
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 中国民主活動家でノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏の死去(7月13日)をめぐって、安倍晋三首相とトランプ大統領の対応はほぼ同じだった。肉声で強いメッセージを発することはなく、死去を悼む当たり障りのないコメントを出したのみである。しかし、日本の国会と米議会の対応には大きな違いがあった。 ●すぐに反応した米議会 米議会では、下...
【第453回・特別版】北朝鮮核問題、「中国頼み」は限界に
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 ドイツのハンブルクで7月8日、米中首脳が会談した。トランプ米大統領が北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験など核・ミサイル開発の脅威拡大に対応する必要を強調したのに対し、習近平中国国家主席は「対話と協議」で問題を解決するよう改めて主張し、議論はかみ合わなかった。新聞報道によると、習主席は同日の安倍晋三首相との会談では、北朝鮮に対して各国が...
【第452回】日本も「航行の自由」に貢献せよ―南シナ海裁定から1年
国基研事務局長 黒澤聖二 南シナ海における中国の人工島建設などに関する仲裁裁判の裁定から7月12日で1年となる。フィリピンが申し立てた裁定の結果は当事国に対し拘束力があり、ほぼ中国の完敗だったが、中国は裁定を「紙くず同然」と切り捨てた。過去1年で何か変わったのか。 ●強硬な中国、揺れるフィリピン 6月29日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が、衛星画像の解析...
【第451回・特別版】第二のINF条約を推進する覚悟が日本にあるか
国基研企画委員 太田文雄 6月20日、米下院軍事委戦略戦力小委員会は2018年度国防授権法案の最終原案で、ロシアが2月に欧州へ配備した巡航ミサイルSSC8を中距離核戦力(INF)条約違反と認定、1987年に米ソが射程500〜5500キロのミサイルを全廃した同条約からの離脱を大統領に勧告するとともに、地上移動発射式巡航ミサイルの開発と導入を進言した。 米国ではロシアの軍事...
【第450回】米韓友好演出の裏に対北認識の差
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅韓国大統領がワシントンを訪問し、トランプ米大統領と2日間にわたり首脳会談を行った。私は6月中旬、米軍関係者から今回の首脳会談についてこう聞いた。 「トランプ大統領が一番先に尋ねるのは、『北朝鮮の核ミサイル開発をやめさせる船が出航しようとしている。あなたはそれに乗るか』だ。当然、文大統領はイエスと言うだろう。そうしたらトラン...