公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2022年12月の記事一覧

国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    日銀は12月20日、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に広げた。円安の行き過ぎを直すためだが、アベノミクスの主柱である異次元金融緩和解体の始まりで来年には利上げに転じるとの憶測を招いた。財政の方は、岸田文雄政権が2年後以降の防衛増税を企図している。利上げと増税は、民間の景気回復期待を萎えさせ、来春闘での賃上...

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国基研副理事長 田久保忠衛    この1年間を振り返る役が回ってきたので、私見を交えた観察を申し述べたい。日本の国際情勢認識が国際情勢の変化と調子が合っていない点は、一貫して私が関心を寄せてきた問題だ。最近出版されて話題となったマルデンバウム米ジョンズ・ホプキンズ大学名誉教授の「The Four Ages of American Foreign Policy」(米外交の4時代)を...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    政府が「国家安全保障戦略」など安保3文書を公表した。これまでの安全保障政策を大きく転換するものと評価したい。とりわけ国の防衛は防衛省だけでなく省庁横断的に取り組み、国全体が担い手であることを打ち出している点は重要だ。  ただし総論ではそう言いながら、具体論に至るとそれと相反する防衛省の「自前主義」が露呈している。  ●新たな研...

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国基研評議員 岩田清文    日本の防衛政策上、戦後最大の転換と言える戦略3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)が、12月16日の閣議において決定された。増大する中国の脅威に対し政府が深刻な危機感を持った証左であり、大いに評価できる。  ●脅威対抗力を強化  特に、反撃能力の保有は相手を抑止できる力を自ら持ち、確実に国を守ろうとする意志の明確な表れだ。手...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    岸田文雄首相は防衛費増額の財源として1兆円程度を増税でまかなう方針を示した。日本を取り巻く安全保障環境が悪化している中で、「抑止力と対処力を抜本的に強化する」との岸田首相の姿勢は評価されるべきであるが、いきなり増税に頼ることには反対だ。首相には撤回を求めたい。  ●唐突な首相指示  増税に踏み切るなら、まず与党内の議論を...

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国基研理事長 櫻井よしこ    11月末の台湾統一地方選挙での与党民進党の大敗は、民進党の支持率が33.5%で国民党の18.6%より高い中での敗北だった。  なぜか。民進党の敗因は、党主席の蔡英文総統が中国の脅威を警告する外交安全保障問題に争点を絞り、生活に密着する物価や景気を軽視したことだとの批判がある。しかし、それは要因の一つにすぎない。それ以前に、世論戦、心理戦、法律戦の...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    今年8月、岸田文雄首相は「原子力発電の活用」を指示した。それを受けて経済産業省が11月28日、有識者会議の原子力小委員会で、原子力活用策の方向性と行動計画の原案を提示した。政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で年内に最終決定する。活用策は、①安全審査を合格した原子力発電所の早期再稼働②現行法で最長60年とされてい...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    11月29日、米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。我が国における防衛論議との関係から、特に注目すべきだと思われる核戦力の増強および海軍・海警の一体化の2点を取り上げたい。  ●核戦力の増強  内外メディアが報じたように、報告書は中国の核弾頭配備数が現在の400発強から2035年までに1500発に増えると予想している...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授 織田邦男    11月25日、防衛省のシンクタンクである防衛研究所は「中国安全保障レポート2023」を公表した。29日には米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。両報告書とも中国が米国中心の国際秩序への挑戦を強めているという認識で一致している。  後者は核を含む軍事戦略的な記述が多く、前者は、サブタイトルが「認知領域とグレーゾーン...

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