2024年7月の記事一覧
【第1166回】米大統領選が拉致問題に与える大きな影響
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 米国のトランプ前大統領は7月18日、共和党大会での大統領候補指名受諾演説で、「北朝鮮の金正恩委員長と仲良く過ごした。核兵器を持つ者と仲良く過ごすことは良いことだ」と語った。23日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は論評を出し、「国家の対外政策と個人的感情は厳然と区別すべきである」として、トランプ氏に距離を置く立場を表明した。 金...
【第1165回】原発の新規制基準を改定せよ
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 日本原子力発電が再稼働を目指している福井県の敦賀原発2号機に関し、原子力規制庁は26日の審査会合で、原子炉建屋近くの「K断層」が将来動く可能性があるかという「活動性」と、建屋真下の「D1断層」がK断層とつながっているかの「連続性」の二つについて、原電の主張が曖昧で、科学的根拠に乏しく、2号機が原発の新規制基準に適合しているとは認め...
【第1164回】トランプ政権復活の経済的影響
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 米大統領選挙はトランプ氏対ハリス氏の構図になる見込みで、その行方に世界が注目する。ハリス氏の政策は基本的にはバイデン政権を引き継ぐだろう。問題はトランプ政権復活の場合だ。経済面を見てみよう。 7月18日の共和党大会でトランプ氏は大統領候補指名受諾演説を行った。経済政策は、①インフレ危機の終結②金利の引き下げ③大規模減税④関税引き上...
【第1163回】中国の生産力増強は世界の脅威だ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 中国共産党が5年に一度、経済の基本路線を決める第20期党中央委員会第3回全体会議(3中全会)は7月18日、国有企業を柱に経済を成長させる方針を打ち出して閉幕した。内需不振の中、国有企業を軸にサプライチェーン(供給網)と生産能力を増強し、安値輸出攻勢をさらに強める。反発する西側各国には重要原材料の供給力を武器に脅す。 ●GD...
【第1162回】トランプ戦略の重要ポイント
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学名誉教授 島田洋一 米国でトランプ政権が復活する可能性が高まっている。また、トランプ氏暗殺未遂事件の影響などで共和党員の投票率が上がると見られる中、民主党の大統領候補選びの混乱もあって、議会の上下両院も共和党が多数を占める可能性が強まってきた。従って、第1次政権時以上に、トランプ共和党の目指す政策が高スピードで実現されていくと見ておくべき...
【第1161回】慰安婦性奴隷説と一人で闘った米学者
国基研理事兼企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は7月11日、海外で今なお根強い慰安婦性奴隷説を否定する学術論文を執筆し、米国の学界で事実上孤軍奮闘している米ハーバード大教授ジョン・マーク・ラムザイヤー氏に日本研究賞を授与した。また、日韓間に横たわる加害・被害者史観を脱却する研究結果を発表した東京都立大学名誉教授・鄭大均氏に日本研究特別賞を贈った。 ...
【第1160回】安倍氏の遺志を継ぐ政治家よ、立て
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 7月8日は安倍晋三元首相が暗殺された日である。2年前、国家基本問題研究所で企画委員会を開催していた時に、衝撃の知らせは届いた。国政選挙の最中に起きたこのテロは民主主義に対する重大な挑戦であり、私たちは永遠に忘れてはならない。 この2年間で日本を取り巻く情勢は大きく変化した。中国、ロシア、北朝鮮、イランの4か国は新「悪の枢軸」と...
【第1159回】対中金融制裁、待ったなし
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 ロシアは西側からの金融制裁をかわしている。ロシアの消費者物価上昇率は7%台だが、ウクライナ戦争前の8%台よりも低い。背景には中国からの支援がある。 中国の対露輸出、輸入とも戦争前に比べて6割以上増だ。長大な中露国境を越え、あるいは第三国経由で、生活物資のみならず、半導体など軍民両用ハイテク製品や軍事関連機材、塹壕ざんごう掘削機...
【第1158回】新「悪の枢軸」に抗し万策を講じよ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 6月14日、主要7か国首脳会議(G7サミット)の首脳声明で、中国がウクライナへの侵略を続けるロシアを支援していることへの「深刻な懸念」が表明された。バイデン米大統領もサミットの席上、「中国は武器を製造する能力と技術を提供している。実際にロシアを助けている」と指摘している。 この指摘どおり、2年近くにわたる中国の対ロシア支援の事実が...