公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

田久保忠衛

【第10回】無神経極まる鳩山政権の対米姿勢

田久保忠衛 / 2009.10.26 (月)


国基研副理事長・杏林大学客員教授 田久保忠衛

鳩山由紀夫首相、岡田克也外相、北沢俊美防衛相ら現内閣首脳が米国に文句を付けること自体に、私はとやかく言うつもりはない。が、「まさかの友は真の友」の逆を行く言動はあまりにも無神経で、見ていられない気がする。とりわけ、インド洋で給油活動に従事している海上自衛隊を来年1月に引き揚げ、普天間飛行場の県外移設に異常にこだわっていることは、日米関係を既に修復困難にしてしまったと思う。

ゲーツ長官の不快表明、なぜ分からぬ
オバマ米大統領は今、苦渋に満ちた決断を下そうとしている。アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官による4万人の増派要請に対して、バイデン副大統領らが現状兵力の増強は不必要だと主張し、いずれの説を採ったらよいか決めかねている。普天間飛行場の移設問題は、橋本政権の時に日米の最高首脳間で約束が成立し、閣議決定し、現地沖縄では現行計画を沖合に若干出す計画に修正すれば特に問題はないと仲井真知事が言っている。それを、県外あるいは国外に持っていくなどと考えること自体、常軌を逸している。長年反基地闘争を続けている極左の運動家の言い分を、そのまま意固地になって通そうとしているとしか考えられないではないか。

10月20日に来日したゲーツ国防長官に、日本側が岡田外相と北沢防衛相との夕食会を申し出たら、先方は断ったという。外国の国防相が来日した時の恒例行事である自衛隊儀仗隊の栄誉礼については、米側から「形式的なことは不必要」と出席できない旨を伝えてきた。これが外交上いかなる意味を持つのかが分からないのは、失礼ながら愚鈍と言わないわけにはいかない。会談時間の長短、会談日など細かい点に、米国は歓迎しているかいないかなどの感情を表す国であることを、現内閣は誰も知らないのであろうか。

下品な国に成り下がる日本
ゲーツ長官は東京からスロバキアの首都ブラチスラバに飛んだ。北大西洋条約機構(NATO)国防相会議が開かれて、ここでは「同盟国としてはアフガニスタンから兵を引き上げることはしない」との激励を受けた。英国は米国に次いで2番目の規模の兵力を出しているせいか、国内に撤兵論もある。それでもブラウン首相はあえて500名の英兵増派に踏み切った。長年連れ添ってきた同盟国に対するささやかなプレゼントの意味が込められていたと思う。

マニフェストを守らんばかりに国際情勢を無視し、同盟国の窮状には目を背ける下品な国に日本は成り下がっていく。(了)
 

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第10回:無神経極まる鳩山政権の対米姿勢(田久保忠衛)