公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

百地章

【第536回】春季例大祭に陛下の靖國神社ご親拝を

百地章 / 2018.08.20 (月)


国基研理事・国士舘大学特任教授 百地章

 

 平成最後の終戦記念日、靖國神社には「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバー50人が参拝したが、閣僚の姿は1人も見られなかった。国会議員の参拝者数も昨年より減少しており、実に情けなく思う。

 ●首相は年末に5年ぶりの参拝を
 安倍晋三首相は、第2次安倍内閣が発足してちょうど1年後の平成25年12月26日、首相として初めて靖國参拝を行った。勿論、偶然だろうが、その前日、筆者は産経新聞の「正論」欄で「首相は英霊の加護信じて参拝を」と呼び掛けたばかりであった。
 首相はその後、一度も参拝していない。その間、首相がわが国の繁栄と発展のため、政治、経済、外交、防衛等、様々な分野で目覚ましい成果を上げ、国民に元気と活力を与えてくれたことは間違いなく、参拝しにくい事情があったことも良く分かる。
 しかし、首相が国民を代表して靖國神社に参拝し、国のために殉じた戦没者に対し感謝と慰霊の誠を尽くすのは当然であって、本来、政治的、外交的配慮などとは無縁なはずだ。首相を支持し応援している人々の間でも、このままでは不満がこうじよう。
 首相の靖國参拝が憲法上問題ないことは、政府見解の示すとおりであり、最高裁も事実上、合憲と判断している。小泉純一郎首相(当時)や安倍首相の靖國参拝をめぐる一連の訴訟では、すべて原告が敗訴しており、何も心配する必要はない。
 後は外交問題だけだが、日米関係、日中関係等、5年前と比べれば大きく改善されているのではないか。自国第一を唱えるトランプ米政権が安倍首相の参拝に異を唱えるとは思われないし、中国とは今秋、日中平和友好条約締結40年を迎え、良好な関係にある。
 安倍首相は、いよいよ国家的大事業である憲法改正に本気で取り組もうとしており、節目となる今年の末には靖國神社参拝を断行し、改めて英霊のご加護を祈って欲しい。

 ●戦没者ご慰霊の最後は靖國に
 首相の参拝後は、内閣の助言のもと、陛下にも是非ご親拝を戴きたいと思う。
 今上陛下が戦没者のご慰霊のため、長年にわたり御心を砕かれてきたことは、国民の良く知るところである。毎年の全国戦没者追悼式をはじめ、沖縄、硫黄島、サイパン、パラオ、フィリピンと、国内外において真心を込めてご慰霊の旅を続けて来られた。
 その最後の地は、靖國神社しかなかろう。陛下は、皇太子時代に4回行啓しておられる。来年のご譲位前、春季例大祭へのご親拝を仰ぐことが出来れば、英霊やご遺族にとってこれに勝る喜びはないと思う。(了)