日韓関係が悪化の一途をたどっている。私は13日からソウルで状況を取材している。韓国保守派の有力者は口をそろえて「文在寅政権の反日政策は反米・親北政策と一体であり、文在寅大統領の周囲を固める転向していない主体思想派(金日成主義者)の革命家たちが日米韓同盟を弱体化することを戦略目標として今の反日政策を進めている」と説明した。
●日本は敵か友人か
保守派リーダーの趙甲済氏は「文在寅政権は現在、反日政策を使って、①自分たちの親北政策を隠す②韓米日三角同盟を弱体化する③韓国の主流勢力を親日派として攻撃する―という一石三鳥を狙っている。無条件の反日は反逆であり、是々非々の親日は愛国だ。今の機会に、韓国国民は、日本が韓国の敵なのか友人なのか、真実と国際法と国益の立場からきちんと概念整理をしなければならない」と持論を展開した。
安全保障・軍事分野で韓国屈指の李政勲記者も「韓国政府は日本を無視して南北関係にだけ邁進している。それを批判する保守派は瓦解状態だ。それで日本が(対韓輸出規制で)攻撃したのだが、文在寅政権はそれを逆利用し、反日を使って日本だけでなく国内の反北派を押さえ込もうとしている」と分析した。
今回会った何人かの保守派有力者は「日本は文在寅政権と韓国国民を切り離して見てほしい。日本と価値観を共有する多数の韓国国民が文在寅政権に反対しているからだ」と語った。
●韓国民の良識に期待
それに対して私は「日本の良識ある保守派は価値観外交の立場から韓国保守派との連帯を望んでいる。安倍晋三首相は2013年3月、趙甲済氏とのインタビューで、日本が朝鮮半島の民主的で自由な統一を支持することを明言した。国家基本問題研究所も2009年9月『韓国による自由統一推進を戦略目標とし中国の半島支配を防げ』という提言を公表している。しかし、現在の日韓関係の中で、韓国保守派が文在寅政権の反日政策を批判する声は日本まで聞こえてこない。確かにユーチューブなどで活動する保守派は声を上げているが、朝鮮日報はじめ有力紙と第1野党などは日本非難を続けている。このまま行くと、韓国では多数の国民までもが文政権の反日扇動に乗って感情的に日本非難を強め、日本ではその反作用で保守派まで含めて政権と国民を区分せず韓国全体を敵対視する雰囲気が高まりかねない」と応じた。
今後、日本の新聞が報じない韓国保守派の声を日本国内に伝え続けながら、韓国国民の多数が反日扇動にだまされて反米親北の道を選択するのか、それとも良識的判断を取り戻して文政権の反日を批判するのかを見守りたい。(了)