今、世界第二の軍事・経済大国、中国によるチベット人やウイグル人の人権弾圧に、国際社会、特に欧米が厳しい視線を向けている。12月3日の米下院本会議では中国の新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル人を弾圧する中国当局に厳しい対応をとるようトランプ政権に求める「ウイグル人権法案」が賛成407、反対1の圧倒的多数で可決された。
この法案は、中国当局がウイグル自治区における弾圧を強化していると指摘し、トランプ大統領に対し、弾圧への非難と中国が「再教育施設」と称している自治区内の強制収容所の即時閉鎖を中国に要求することを求めたものである。トランプ大統領は同法案に署名するか否か態度を表明していないが、大統領の決断は国際社会にも大きく影響するので、ぜひ署名してほしいと期待している。
●ウイグル人会議を妨害した中国
私は「日本・ウイグル国会議員連盟」のメンバーである。議員連盟は2012年の世界ウイグル会議第4回総会が東京で開催されるのを機に、自民党国会議員有志で創設された。30人の議員が加入している。
実は、この東京総会開催の目前に、在京中国大使から「世界ウイグル会議の開催を認めれば、日本自身の安全にも害がある」という書簡が与野党100人以上の国会議員に送られてきた。自民党有志議員は記者会見を行い、「断固抗議するとともに我々は、日本国国会議員の良識に従って今後も活動していく」との抗議文を大使に発送した。中国には、国際社会の価値観、自由、人権、民主主義、法の支配を重んじる大国としての振る舞いを身につけてほしいと思う。
20年近く前、私はカシュガル、ウルムチ、トルファンなど、ウイグル自治区を訪ねたことがある。イスラムの美しい精神文化、歌、踊り、祈り、暮らしぶりのどれも美しく、人々は優しく、うっとりするような地であった。そのウイグル自治区では、現在100万人以上のウイグル人が強制収容施設に拘束され、拷問も受け、宗教、文化、歴史が奪われていると報道されており、国際社会から激しい批判が起きている。
●許される人道的介入
中国はこれを国内問題と主張し、12月9日にはウイグル自治区のショハラト・ザキル主席が「(国際社会の批判は)中国の内政に粗暴に干渉するものだ」と北京の記者会見で主張した。しかし、そうであろうか。人間の良心に衝撃を与える危機的レベルの人権侵害に対しては、人道的に介入すべしというのが国際社会の動きである。
日本を取り巻く国際情勢はかつてない緊張感に包まれている。私達はいかなる人権侵害も許さないという確固たる信念で、国会議員の仲間らと「ワンチーム」で突き進んでいきたい。(了)