21日に開かれる臨時国会で自民党の高市早苗総裁が首班指名される情勢だ。新首相は早速、27日から29日の日程で来日するトランプ米大統領と緊密に協議し、膨張する中国に対抗する日米間の連携を強化する使命を負う。
●中国に腰砕け?のトランプ氏
中国の脅威は軍事面ばかりではない。習近平政権は多国間貿易秩序を平然と踏みにじり、経済消耗戦を仕掛ける。鉄鋼、電気自動車(EV)、太陽光パネルなど広範な分野で過剰生産をし、安値輸出攻勢をかける。独占的地位を背景にレアアース(希土類)の輸出を制限する。微量でも中国産レアアースを使った製品の米国など第三国向け輸出も規制する構えで、日本の自動車メーカーなどは中国の許可なくして対米輸出ができなくなる恐れがある。
これに対し、トランプ氏は今月10日、中国からの輸入品にかける関税を11月1日から100%上乗せすると息巻いた。しかし、その2日後には自身が運営するSNSで、「習近平国家主席は自国が不況に陥ることを望んでいないし、私も望んでいない。米国は中国を助けたいのであって、傷つけたいわけではない」と発信した。「TACO」(トランプはいつも最後に尻込みする)という世評を想起させる。
●まずは日米首脳の信頼関係回復を
米国のアキレス腱は金融市場にある。巨大債務国の米国は年間1兆数千億ドルもの国際収支赤字を抱え、外国からの資本流入によって完全に埋め合わせなければ、市場不安が生じる。4月に中国向け追加関税145%を打ち出すと米金融市場に激震が走り、トランプ政権は対中関税を暫定的に30%まで下げる羽目になった。
米国市場を支えられるのは世界最大の資本輸出国である日本しかいない。石破茂政権は先の対米関税交渉で、今後3年半の間に5500億ドル(約80兆円)の資金をトランプ氏が選ぶプロジェクト向けにドルで振り込む覚書を交わした。約束額は従来の民間企業主導の対米直接投資の3倍以上もの規模である。国際協力銀行(JBIC)など政府系金融機関を動員するが、下手すると日本は米国の現金自動支払機(ATM)同然に成り下がってしまい、国内投資に必要な資金が不足しかねない。
高市氏は人工知能(AI)などの国内投資拡大を目指している。日本が中国に呑み込まれないようにするためにも不可欠だ。高市氏は故安倍晋三首相時代のトランプ氏との強固な信頼関係を回復させたうえで、石破政権の対米投資約束の改変を申し入れ、米製造業復権に沿う「日本再生」の道筋を切り開くべきだ。(了)





