北朝鮮で朝鮮労働党第9回大会が2月19日から25日までの7日間、開催された。対外関係では、韓国および米国とどのように付き合うかについて金正恩総書記が演説した内容が公開され、米国に対して融和的なメッセージを送ったことが注目された。
●トランプ訪朝の働き掛け
金総書記は演説で、「憲法に明記されたわが国家の現在の地位を尊重し、対朝鮮敵視政策を撤回するなら、われわれも米国と仲良く過ごせない理由はない」と述べた。「憲法に明記された地位」とは核保有国としての地位のことだ。韓国の聯合ニュースなどによると、これに対してホワイトハウスの当局者は「トランプ大統領は1期目の際、北朝鮮の指導者と朝鮮半島を安定化した歴史的な首脳会談を3回行った」として、「いかなる前提条件もない対話にオープンだ」と答えた。
金正恩政権は、3月末から4月初めにかけてトランプ米大統領が訪中する際に、平壌も訪れるよう米側に水面下で働き掛けているという情報を私は入手している。北朝鮮側はプルトニウムと濃縮ウランの製造施設の廃棄に加え、米本土まで届く長距離核ミサイルの廃棄まで考えている。それを「非核化」の第1段階として大幅な制裁緩和を求める方針という。
トランプ政権の戦争省(国防総省)が1月に公表した国家防衛戦略は、北朝鮮抑止の主導的な役割を韓国が担い、米国は「非常に重要だがより限定的」な支援(「核の傘」の提供を意味する)を担当すると表明。米本土まで届く核ミサイルを「明白かつ現存する危険」と位置づけた。北朝鮮が検討中の提案は米国の国家防衛戦略が示した脅威認識と符合している。水面下での米朝協議が一定程度進んでいる反映ともいえる。
北朝鮮は核問題での譲歩の見返りに日本からの「過去清算」資金を狙っているから、米朝首脳会談が実現すれば、日本の資金獲得の大前提である日本人拉致問題の解決が議題になる。米朝会談で核を巡る合意ができれば、遠からず高市早苗首相訪朝が実現するはずだ。そこで高市首相の3月訪米によるトランプ大統領との会談が重要な意味を持つ。拉致問題は解決へ向けて大きなヤマ場が来ている。
●韓国文化の浸透で体制危機
韓国に対して金総書記は「徹底した敵対国、永遠なる敵として扱っていこうとするわれわれの決心と意志は強固」だと述べ、親北左派の李在明政権とも一切交流をしないことを宣言。さらに「韓国の完全崩壊可能性は排除されない」として、核攻撃さえ示唆した。その理由が今回、次のように明確に語られた。
「歴代の韓国政権はわれわれとの真の和解と団結を願わなかったし、陰険にも和解と協力の機会を通じてわれわれの内部に自分たちの文化を流布させ、それを通じた変化を謀り、ひいてはわれわれの体制の崩壊を企ててきた」。つまり、韓国の文化が北朝鮮住民に広く浸透して体制が危機を迎えているという告白だ。(了)





