4月30日、韓国で歴史戦を戦う国民運動組織「新歴史国民運動」が発足した。共同代表は、ベストセラー『反日種族主義』の編著者の李栄薫・前ソウル大学教授、「慰安婦は売春(婦)の一種」と大学の講義で発言して刑事訴追され5年間の法廷闘争の結果無罪を勝ち取った柳錫春・前延世大学教授、考古学者の崔盛洛・木浦大学名誉教授の3人だ。
●左派史観に挑戦
李氏らは「今日、韓国が国家体制の存立を問う内外からの挑戦に直面している。内ではこの国の歴史的正統性を否定してきた左派勢力が政治的に強固なヘゲモニーを構築した。外では共産体制中国が浮上し米国のヘゲモニーに挑戦する国際政治の歴史的転換を迎え、大韓民国は再び『生きるか死ぬか』の岐路に立たされた」と危機意識を表明。さらに、既存の保守政党が「この国の護国、富国、民主化を先導した保守政党であることを否定した」ことが危機を生んだとし、保守再建のためにはまず「歴史分野で左派勢力が構築した虚偽の体系を解体し、新しい体系の歴史を打ち立てる」ことが必要だ、と国民運動の趣旨を説明した。
スローガンは「事実と自由が勝利する」で、会員を募集するポスターには「大韓民国否定勢力と戦う歴史戦争の本部」「自由の理念で国家正統性を再建する市民軍」と書かれている。
李氏らは、①光州を解放せよ②韓国史教育を中断せよ③李承晩、朴正煕両大統領の長期政権は正当だった④自由台湾を守る国際戦争に参加する―という四つの綱領を掲げている。
①は、1980年に全斗煥政権が発足する過程で光州において起きた民主化デモと戒厳軍の衝突を一方的に軍による虐殺だと断定し、その延長線上で、韓国建国過程における共産勢力による武力蜂起とその鎮圧も政権による虐殺だとする歴史観が国の正史とされていることへの告発だ。②は韓国の正統性を否定する歴史教育の停止要求、③は韓国現代史の肯定的部分の強調である。以上の三つは反韓史観への挑戦と言える。
この立場から、慰安婦強制連行を否定する運動を先導していた金柄憲氏が逮捕され刑事訴追されたことを韓国の自由と真実追求の危機ととらえ、裁判支援活動を展開していくという。
●台湾防衛参戦も表明
綱領の④は外からの挑戦、すなわち中国共産党勢力が東アジアでその支配を広げようとしていることに対して、自由という価値観を掲げて韓国も台湾防衛戦争に参加すべきだと言い切った。これも大変注目される。李氏らは「中国が無謀にも(台湾に)戦争を起こすとすれば、それは韓国人が卑怯にもその戦争を対岸の火事とするだろうという判断に誘惑されてのことになろう」と指摘。「韓国が参戦し台湾の自由と民主政治を守る一翼を担う意志を固く表明すれば、中国は台湾侵攻計画を放棄するだろう」と述べている。
私は20年以上前から日韓保守派の連帯を提唱してきたが、その一番の障害が慰安婦問題をはじめとする日韓左派がねつ造した嘘の歴史だった。それに真っ向から挑戦する国民運動がついに韓国で発足した。その前途を期待している。(了)




