国基研評議員 荒木和博
元教員がヘロイン密輸を計画
福井県小浜市から地村保志さんと浜本(現姓地村)富貴恵さんが拉致される3日前の昭和53年7月4日、在日朝鮮人青年Aが成田空港で逮捕された。大量のヘロイン密輸事件だった。この事件は、広島朝鮮高校教員で朝鮮青年同盟県委員長でもあった金徳元という在日朝鮮人が計画したものである。Aの弁護人になったのが川人博・現特定失踪者問題調査会常務理事だが、川人弁護士によれば、Aは極めて真面目な青年だったといい、著書『金正日と日本の知識人』(講談社現代新書)にもその時のことが書かれている。
この事件は教員という立場を悪用したものである。金徳元は事件発覚後、全国指名手配されたが、逮捕されなかった。北朝鮮に密出国した可能性も考えられる。そして、Aと、金徳元の教え子でAにパスポートを提供した元在日の青年の2人に、すべての刑事責任が押しつけられた。
学校が犯罪の拠点に
いま、高校授業料の無償化を朝鮮高校に適用するかどうかが議論になっている。そして、その議論は教育内容の問題が中心である。確かに、学校内で独裁者をたたえ人権抑圧を肯定する教育を行ったり、拉致をはじめ日本の主権を侵害し日本人の生命財産に危害を加える行為に対して北朝鮮と同じ主張をしたりするのであれば、それだけでも無償化すべきでないのは明らかだろう。
しかし、この機会に私たちが再認識しなければならないのは、朝鮮学校自体が国家主権侵害、人権侵害の拠点になってきたという事実だ。冒頭の事件以外にも例えば原敕晁さん拉致で大阪朝鮮初級学校の元校長金吉旭が、また覚醒剤の密輸入で下関朝鮮初中級学校の元校長曺奎聖がともに国際手配されている。また、かつては北朝鮮の貨客船、万景峰号で修学旅行に行く朝鮮学校生徒に、朝鮮総連の新潟県本部事務所で中身を告げないまま現金入りのバックを持たせ、税関をノーチェックで通過させ船内で回収したこともあるといわれている。元職だ、過去の問題だと言って済ませられることではない。
自治体の支援も見直しを
私たちは高校授業料の無償化をめぐる現在の議論を利用して、過去にさかのぼり朝鮮学校の本質を明らかにすべきである。そして無償化問題に止まらず、一部自治体が行っている朝鮮学校への支援についても全面的な見直しをさせていかなければならない。放っておけば在日の子供たちがさらに独裁者を賛美する教育を受け、犯罪行為に加担させられるのである。そのような学校を放置することこそが「差別」ではないか。(了)
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第31回:朝鮮高校の無償化を許してはならない(荒木和博)