2021年5月の記事一覧
【第798回】東京五輪開催に賛成する
国基研理事長 櫻井よしこ 東京五輪・パラリンピック中止論が叫ばれている。中止要求の主たる理由は以下の点に絞られる。➀多数の外国人選手や関係者の来日で、コロナウイルスの感染が拡大する➁日本人医師を五輪関係者の医療にとられて、国内医療体制が崩壊する➂五輪開催の莫大な出費を国民のために振り向けるべきだ➃緊急事態宣言で国民生活へのしわ寄せは甚だしく、五輪開催の意味はあるのか。 ...
【第797回】発電プラント製造能力は存亡の危機
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 4月12日付で国基研政策提言「脱炭素の答えは原発活用だ」を発表し、①24基の原発の新増設②日本の進んだ火力発電技術の輸出により二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献すること―を提案したが、どちらも実現のめどが立たない。その結果、日本を代表する重電メーカーの発電プラント製造能力は存亡の危機に直面している。 ● 原発も火力発電も頓...
【第796回】価値観外交を拒否した文政権の韓国
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅政権の韓国は、価値観外交を拒否した。21日の米韓首脳会談を見ると、そう結論せざるを得ない。 ●中国の名指し非難避ける まず、米韓共同声明には中国という言葉が一度も出てこない。菅義偉首相の訪米時の日米共同声明(4月16日)では、中国という言葉が5回登場し、そのうち2回で「威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩...
【第795回】ユニクロ輸入停止は「及び腰」人権政策への警鐘
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 5月10日、米国の税関当局がユニクロのシャツ輸入を差し止めたことが公表された。人権問題を巡る米欧と中国の対立によって日本企業も深刻なリスクに直面している。 27日~28日には主要7カ国(G7)貿易相会合が予定されている。議長国の英国は強制労働問題も議論する意向だ。中国の人権問題を最優先するタイ米通商代表とこの問題で共振し、及び腰の...
【第794回】入管法改正を実現せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 私は5月17日付の本欄で、送還忌避者(退去命令を受けながら送還に応じない外国人)の処遇などに関する出入国管理法改正案に関する論議に国益への目配りが不足しているとの問題提起をした。しかし、政府・与党は18日、今国会での改正案成立を断念した。その結果、送還忌避者の増加による収容長期化や仮放免者逃亡などの懸案が解決できず、収容者の...
【第793回】入管法改正議論に欠ける国益への目配り
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 今、国会では、送還忌避者(退去命令を受けながら送還に応じない外国人)の処遇などに関する出入国管理法改正案をめぐり、与野党が激しく対立している。 国基研は平成30年12月、外国人労働者の受け入れを拡大する前回の入管法改正の際、中国人永住者が急増していることに危機感を持ち、永住許可条件の厳格化を求める提言を行い、参議院はその...
【第792回】警戒すべき「EUの中庭」の中国傾斜
追手門学院大学教授 佐藤伸行 中国に対する危機意識があまりにも希薄ではないかと批判されていた欧州が、ようやく目を覚ましつつある。 5月初めの主要7カ国(G7)外相会議共同声明は中国の軍事的圧力が強まる台湾情勢に言及し、欧州が中国牽制で日米と足並みを揃えた。それに続き、インド太平洋地域の戦略的重要性を再認識したフランスは日米と共に離島防衛の合同演習を実施した。欧州連合(E...
【第791回】原子力活用へ政治家は真の世論に耳を傾けよ
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 菅義偉首相は、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を発表した。その達成には、常識的に考えて、既存原発の活用はもちろんのこと、原発の新増設やリプレース(建て替え)が不可欠である。ところが、政府のエネルギー基本計画の柱となる2030年度の電源構成の見直しでは、原子力は現行目標の据え置きで調整が進...
【第790回】中国に抗議できない国会議員はいらない
国基研理事長 櫻井よしこ 世界のどの国よりもわが国日本は人権尊重や民主主義擁護に努めなければならない。 第一の理由は、604年に聖徳太子が定めた十七条の憲法以来、明治天皇の五箇条の御誓文まで、その語彙を用いたわけではなかったが、人権尊重も民主主義もわが国の国柄の核を成す価値観であるからだ。 第二の理由は、わが国は戦後憲法で「戦力」の保持を禁止し、自衛隊は基本的に警察...
【第789回】国会は憲法本体の議論に入れ
産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志 憲法改正の手続きに関する国民投票法改正案が6日の衆院憲法審査会で可決された。自民、立憲民主両党は6月16日までの通常国会会期中に成立させることで合意した。これにより改憲に向けた機運が高まることを期待する。 国民投票法は憲法改正の具体的な中身ではなく、手続きを定めているにすぎない。にもかかわらず2018年6月の改正案提出以来、8国会、...