2016年9月の記事一覧
【第399回】安倍政権の手法では「2島返還」で終わる
北海道大学名誉教授 木村汎 来る12月15日は、日ロ関係の分水嶺となろう。安倍晋三首相は、地元山口県を訪問するロシアのプーチン大統領との間で、北方4島の返還を事実上断念するに等しい共同声明を発表するだろうからである。 もとより、同声明には、歯はぼ舞まい・色しこ丹たんの2島の対日引き渡し後も、日ロ両国が国くな後しり・択えと捉ろふに関する交渉を継続するという文言が入れられる...
【第398回】「もんじゅ」廃炉に見る日本の落日
東京大学大学院教授 岡本孝司 政府はマスコミを使って「もんじゅ」を廃炉に導こうとしている。発電を行うもんじゅは、核燃料サイクルの中核をなす高速増殖炉であり、本来、文科省でなく経産省が管轄すべき設備である。常識で考えれば、もんじゅをやめるということは、核燃料サイクルをやめることと同義である。青森県で建設中の使用済み核燃料再処理工場は、厄介なごみの処理施設となり、取り出されるプ...
【第397回】「9・11」テロ15周年と日本
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 9月11日は、世界に衝撃を与えた米同時多発テロから15周年に当たった。国際テロ組織アルカイダによるこのテロの犠牲者に日本人24人も含まれているから、日本で政府主催の追悼行事や国会のテロ対策集中審議などがあってしかるべきだった。 日本人が海外のテロの犠牲になる事件は後を絶たない。2015年に別のテロ組織「イスラム国」(IS)によ...
【第396回】大国のパワーゲームと安倍外交
国基研研究員兼企画委員 冨山泰 オバマ政権の任期が残り4カ月余りとなり、米国が国際社会でリーダーシップを発揮できない状況があちこちで生まれている。オバマ政権の2期目に顕著になった米国の「内向き」傾向は次期政権に受け継がれる可能性があり、日本の外交・安全保障政策は米国の支援を当然のこととして期待できなくなるかもしれない。 ●絶望的なTPP承認 オバマ政権の内政・外...