公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2022年10月の記事一覧

国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    私事で恐縮だが、私はキリスト教信者だ。その中でも新旧約聖書は間違いのない神の言葉であり信仰と生活の唯一の規範だと信じるプロテスタント福音派だ。イエスは処女マリアから生まれ、死人を生き返らせ、十字架で処刑された3日後に復活した、などと聖書に書かれている超自然的な内容をそのまま信じている。  キリスト教の立場からすると、文鮮明...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    高市早苗内閣府特命担当大臣(科学技術政策)が昨年の自民党総裁選の時から主張している小型核融合炉の開発戦略を策定する政府の「核融合戦略有識者会議」の初会合が9月30日に開催された。世界の開発競争に負けないように開発投資を急ぐべきだとの意見も一部にあるが、実は核融合炉が商業用発電炉として実用化される見通しすら付いていないことを指摘した...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    10月27日、米国防総省は「国家防衛戦略」(NDS)、「核態勢見直し」(NPR)、「ミサイル防衛見直し」(MDR)の3文書を公表した。このうちNPRは核搭載海洋発射巡航ミサイル(SLCM-N)の開発中止理由を初めて公に説明しているが、同盟国として大きな懸念が残り、納得できない。実際には議会がSLCM-N予算を復活させたが、弾頭部の予算は未だ...

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国基研企画委員兼研究員 湯浅博    安倍晋三元首相が指摘したように「台湾有事は日本有事」に直結し、岸田文雄首相が述べたように「今日のウクライナは明日の東アジア」になり得る。日本はロシアの侵略戦争、中国の台湾恫どう喝、北朝鮮のミサイル乱射のトリプル危機の最前線にある。日本は総力を上げて戦争を抑止しなければならない緊急事態を迎えている。ところが国会の選良たちは、国内スキャンダルの泥...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    10月12日、米国の「国家安全保障戦略」が公表された。この中で新たに整理されて出てきたのが「統合抑止」の概念である。その内容は「ドメイン(領域)横断的な統合」「地域横断的な統合」「紛争範囲横断的な統合」「米政府横断的な統合」「同盟・パートナー国との統合」の五つである。  しかし、「統合抑止」の名に隠れて純粋な軍事力の役割を軽視することがあ...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    米政府は10月12日、バイデン政権の外交・安全保障政策の基礎となる「国家安全保障戦略」を公表した。肝心の中国政策について、一部メディアは代わり映えしないと評したが、1年半前の「暫定国家安全保障戦略指針」に比べると表現がかなり強まっており、中国との「戦略的競争」のレベルが上がったことを反映している。  ●中国の「意思と能力」を警戒  今...

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国基研理事長 櫻井よしこ    ミサイル発射に邁まい進する北朝鮮の金正恩総書記、再びウクライナ全土攻撃に走るロシアのプーチン大統領、〝終身皇帝〟になる中国の習近平国家主席。異形の国々のもたらす国防の危機にわが国は直面している。わが国の課題は、①憲法改正で自衛隊を警察力の枠から引き剥がし、通常の軍とすること②軍事力を強化すること―である。①の実現に時間がかかるいま、岸田文雄首相の目...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    10月10日、北朝鮮は9月25日から10月9日まで合計7回行われたミサイル発射について、金正恩総書記が現地で指導した「戦術核運用部隊の軍事訓練」だったと明らかにした。  私が繰り返し指摘しているように、北朝鮮のミサイル発射には国防科学院の試射と軍の訓練の2種類がある。核ミサイル開発は軍でなく党軍需工業部の下にある国防科学院...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授 織田邦男    10月4日、北朝鮮が発射した「新型の地対地中長距離弾道ミサイル」(朝鮮中央通信)は、日本列島上空を通過して太平洋に着弾した。飛距離は4600キロで、米インド太平洋軍の拠点グアム島攻撃用と言われている。続いて6日に短距離弾道ミサイル2発、9日にさらに2発を発射した。今年になって既に25回、40発を超えるミサイルを発射しており、明らか...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    10月4日、北朝鮮が推定飛距離約4600キロの弾道ミサイルを発射した。西太平洋の米軍重要拠点グアムに十分届くことから、明らかに米国を睨にらんだものである。  ここで危惧されるのは、米バイデン政権がブッシュ(子)政権の犯した対北朝鮮外交の歴史的失敗を繰り返さないかである。  ●圧力緩和で失敗したブッシュ政権  20...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    9月27日の安倍晋三元首相の国葬で、一般献花の列に並んだ。国葬会場の東京・日本武道館近くの公園に設けられた献花台にたどり着くまでに3時間、その前に献花台への最寄り駅とされた地下鉄駅前の花屋さんで花を買うのに1時間半、花を買ってから列の最後尾に着くまでに20分かかり、実際に献花できるまで合計5時間の長い道のりだった。  参列者は普段着から喪服...

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国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志    外交官の身柄を拘束し、取り調べることは国家主権に対する重大な侵害行為である。それをロシアは平気で行った。9月26日、ロシア政府は在ウラジオストク日本総領事館の領事が国家機密に関わる情報を不正に取得したとして、この領事を拘束し、国外退去処分にした。1956年の日ソ国交回復後、ソ連時代を含めロシアから日本人外交官が「ペルソナ・ノン・...

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