「学術会議こそ学問の自由を守れ」と題した10月5日配信の「今週の直言」は大きな反響を呼んだが、今回はその続報として、日本学術会議を事実上乗っ取り、学術会議の権威を使って我が国の防衛研究を阻害してきた左翼組織の実態を明らかにしたい。
この組織は、大学での軍事研究に反対する団体と個人が参加して2016年9月に設立された「軍学共同反対連絡会」だ。憲法9条の改正に反対する「九条科学者の会」呼び掛け人の1人で名古屋大学名誉教授の池内了氏や、精神科医の香山リカ氏らが共同代表を務める。
●北大と学術会議への圧力
連絡会のニュースレター23号(2018年6月30日)は、連絡会参加団体の一つで平和安全法制に反対した「北海道の大学・高専関係者有志アピールの会」が、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」の助成対象に北海道大学M教授の研究が採択されたことを問題視し、北大総長との面会を執ように求め、最終的に助成を辞退させたことを、アピールの会共同代表.・事務局長の姉崎洋一北大名誉教授の報告として、誇らしげに紹介している。
「軍学共同」に反対する連絡会は、安全保障技術研究推進制度の採択結果が公表された直後の2015年10月に予備的な活動を開始した。同制度には10倍を超える応募があり、採択された9件のうち4件が大学関係だった。北大以外では、日本学術会議の大西隆会長(当時)が学長を務める豊橋技術科学大学も採択された。これをきっかけに、連絡会は日本学術会議に圧力をかけていく。
連絡会は、全国の大学や学術会議会員に対し、大学での軍事研究禁止を要請した。学術会議は2016年6月に「安全保障と学術に関する検討委員会」を発足させ、軍事研究を否定した過去の声明見直しの是非をめぐって議論を開始した。連絡会メンバーがこの議論を傍聴し、同年11月の第6回会合では連絡会共同代表の池内氏が意見を表明し、防衛装備庁の職員を追及した。検討委では防衛のための研究の必要性を主張した大西会長の議論も否定され、学術会議はついに2017年3月24日、軍事研究反対を明確にした「軍事的安全保障研究に関する声明」の発出に至った。
●学問の自由を奪う実働部隊
この声明を錦の御旗にして、連絡会と他の幾つかの左翼組織が合同で、全国の50を超える大学や研究機関の長に対して、防衛省の公募研究を中止するように圧力をかけた。つまり日本学術会議の声明が、全国の大学の学問の自由を奪う実働部隊と連動し、NHKや朝日新聞、北海道新聞、しんぶん赤旗などと一緒になって圧力をかけたのである。
学術会議は2015年に中国科学技術協会との間で相互協力の覚書を交わしたが、同協会には北京航空航天大学やハルビン工業大学の研究者も参加している。これらの大学は、経済産業省が安全保障輸出貿易管理令に関連する大量殺戮兵器の研究機関としてリストに掲載している。学術会議はそうした中国の軍事研究機関との交流をやめるよう、なぜ言わないのか。(了)