2017年12月の記事一覧
【第488回・特別版】はた迷惑だった韓国の慰安婦合意検証
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 12月27日、韓国外相直属の「慰安婦合意検証タスクフォース」が、慰安婦問題に関する日韓合意(平成27年12月28日)の検証結果を記載した報告書を発表した。韓国語の全文を通読したが、一言で言うと、国内の政争を外交に持ち込んだ、日本としてははた迷惑な内容だった。 ●政争の具に外交を使う 報告書は合意に対して4つの否定的評...
【第487回】同盟国の研究には、好意的かつ客観性が必要だ
国基研副理事長 田久保忠衛 今年を振り返って目立った国際情勢の特徴を挙げよと言われたら、無謀な核・ミサイル実験を続けてきた北朝鮮、「危険な台頭」をためらおうともしない中国、大統領の言動が予測不可能な米国の三カ国ということになろうか。北朝鮮と中国については日本における研究もかなり進んでいるが、同盟国として誰もがなじんでいるはずのトランプ政権の性格はいまだ正確に分析されてい...
【第486回】日本は法人減税に頼らず企業競争力向上を
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 トランプ米大統領が公約した約30年ぶりの大幅な税制改革は、今週中にも上下両院で法案が可決される見通しである。各国が注目する法人税は2018年に現行の35%から21%へ引き下げられ、全体の減税規模は過去最大の10年間で1.5兆ドルと見込まれている。その財源は、減税による米経済の成長加速で得られる将来の歳入で賄うことを想定してい...
【第485回・特別版】北朝鮮軍人がウイグル人に武器密輸未遂
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 私は最近、北朝鮮軍人による中国少数民族ウイグル人の武装勢力への武器密輸未遂事件があったという情報を中国筋から入手した。中朝関係が悪化の一途をたどっているのはこの事件の影響も少なからずあるという。事件の詳細は以下の通りだ。 ●大量の銃砲と弾を押収 9月8日午前1時20分ごろ、中国吉林省長白県で朝鮮人民軍の武器を積んだト...
【第484回】NHK訴訟の最高裁判決は不当
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 12月6日、NHKの受信契約に関する最高裁大法廷の判決が出た。この事件は、テレビを設置した男性が、NHKから受信契約を締結して受信料を支払ふやう要求されて拒否したため、訴へられたものだ。平成23年のことである。私がこの男性の弁護を担当した。 放送法64条1項は、テレビを設置した者はNHKと「受信についての契約をしなければならない」と...
【第483回】北の「ミサイル開発完結」は眉唾
国基研企画委員 太田文雄 11月29日、北朝鮮の国営報道は「米本土全域を攻撃できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星15号の発射実験に成功した」とし、「我々が目標としたミサイル兵器体系開発の完結段階に到達した」と報じた。しかし、今回の発射は通常より高く打ち上げるロフテッド軌道で行われており、通常軌道での発射実験はまだであることから「完結段階に到達」と結論づけるのは早い...