公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2022年9月の記事一覧

国基研理事長 櫻井よしこ    「日本を取り戻す」と誓った安倍晋三元首相の国葬儀が27日に迫った。  日本人とは、日本国とは、どんな存在かを問い続けたのが安倍氏だった。占領統治のために都合よく日本を縛り上げたにすぎない臨時のルールとしての米国製憲法を今日に至るまで改正し得ていない日本を振り返って、安倍氏は日本が失い果てた日本らしさを取り戻そうとしたのだ。  ●国柄を取り戻...

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国基研企画委員 荒木信子    2002年9月17日、小泉純一郎首相(当時)が平壌を訪問、北朝鮮の金正日総書記(当時)は拉致を認め謝罪した。だが、北朝鮮側は5人生存、8人死亡と一方的に告げた。これは虚偽を含んでいる。同年10月、蓮池薫さんら5人が24年ぶりに帰国を果たして以来、拉致被害者は誰一人として帰国できていない。  小泉訪朝は画期的な出来事ではあったが、拉致問題の解決には...

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国基研評議員 岩田清文    9月11日、ウクライナ北東部ハリキウ州の要衝イジューム市を奪還したウクライナ軍の反攻作戦は、4日間で80~100キロという驚異的な進軍速度だった。当時、ウクライナ軍の作戦構想は、同国南部に戦力を集中しており、ハリキウは反撃の主正面ではなかった。しかし、ロシア軍の弱点が確認されたため、戦車、装甲車を中心とする機動部隊が攻撃し、ハリキウ州の大部分を奪還し...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    ドイツで先進7か国(G7)貿易相会合が開かれた。注目すべきは、中国を念頭に「経済的威圧」への深刻な懸念を初めて取り上げて、共同声明に盛り込んだことだ。  ●「経済的威圧」への共同対処  近年、中国は巨大な中国市場や供給力をバックに相手国の政策を変更するよう圧力をかけている。習近平国家主席は2020年4月の党の会議の講話において...

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国基研企画委員・麗澤大学特別教授 織田邦男    今年5月の日米首脳会談で、岸田文雄首相は、日本の防衛力を抜本的に強化し、裏付けとなる防衛費を増額するとともに、「反撃能力」の保有を含めあらゆる選択肢を排除しない考えを伝え、バイデン米大統領から強い支持を得た。  6月、政府は経済財政運営の指針となる「骨太の方針」を決定し、防衛費については、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国内...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    米政府は、ウクライナ戦争で苦戦するロシアが北朝鮮から数百万発のロケット砲や迫撃砲の砲弾を輸入するための協議の過程にあると明らかにした。国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官が9月6日の記者会見で述べた。すでに輸入されたかどうかは未確認としている。  また、ロシアは独立を宣言させたウクライナ東部のドネツク、ルガン...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    円安がぶり返されるたびに「悪い円安」論が盛り上がる。それに押された鈴木俊一財務相は、円買い・ドル売りの市場介入を匂わせるのが関の山だ。岸田文雄政権に今求められるのは、円安を日本再生の好機にする強固な意志と戦略である。  ●企業の弱い設備投資・賃上げ意欲  9月8日時点の円の対ドル相場は143円台で、1月末に比べた下落率は2...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)の交渉開始が正式に合意された。台頭する中国を念頭に、「米国をアジアに関与させる」という戦略的な意味は重要だ。  当初は参加に難色を示していたアジアの国々も、首脳レベルの戦略的判断で参加を決断した。ただし中国への対抗色が出ることを嫌い、声明ではそうした色彩を消している。  ●アジ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    衆参両院の議事運営委員会の閉会中審査に岸田文雄首相が出席し、立憲民主党の泉健太代表が質問をするというので、8日にテレビを視聴した。そこで感じた絶望的な怒りはいまだに収まらない。つい最近まで日本の最高指導者だった人物が公衆の面前で真っ昼間に暗殺されたのに、国の在り方は問題にもされず、取るに足らぬ瑣末な問題に貴重な時間が徒いたずらに費やされている。 ...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    ロシア軍に占拠されたウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所が非常に危険な状態になっている。事態を深刻にとらえた国際原子力機関(IAEA)は、グロッシ事務局長が自ら現地に乗り込み、居座るロシア軍とザポリージャ原発の現状の調査に乗り出した。  ●メルトダウンの危険  ザポリージャ原発はロシアのウクライナ侵攻開始から間もない3...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    経済安全保障推進法が成立し、それを着実に実施することは当然だ。しかし、これで満足してはいけない。次に取り組むべきは経済安保における有事の法制度整備だ。経済安保推進法はいわば平時の法制だ。  ●日本版の国防生産法を  例えば、経済安保推進法には半導体など重要物資の安定的な供給を確保するための措置が規定されている。民間企業が国内生...

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