公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

今週の直言

  • HOME
  • 「今週の直言」の記事

2022年1月の記事一覧

国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    「聞く力」をぎりぎりまで発揮するせいか、「決める力」がないように見える岸田文雄首相だが、2月1日の期限を目前にした1月28日、「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦すると正式に表明した。  今後の焦点は、国際舞台において日本政府がどこまで事実に基づく主張を展開できるかに...

続きを読む

国基研副理事長 田久保忠衛    米保守系誌ワシントン・エグザミナーのトム・ローガン氏は「ドイツはもはや信頼できる同盟国ではなくなった」と突き放し、リベラル系のニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ロス・ドゥザット氏は「ドイツは一再ならずロシアの事実上の同盟国のように行動してきた」と、北大西洋条約機構(NATO)の裏切り者であるかのような表現をしている。2月7日にドイツのショル...

続きを読む

国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    25年間にも及ぶ日本のデフレーション(収縮)は国内総生産(GDP)のみならず、防衛支出にも及ぶ。経済と軍事が二本柱である国力が衰退し続けている。対照的に全体主義中国の国力膨張はめざましく、日本を飲み込む勢いだ。日本が安全保障を確保するためには、経済・防衛デフレから脱出するしかない。  ●「戦後レジーム」の呪縛  ストックホ...

続きを読む

国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    日本経済の停滞が言われて久しい。今後の経済見通しでも、日本は先進国の中でも依然低迷している。政府も危機感を持ち、成長戦略は常に政権の重要政策となって、政府における会議や計画は枚挙にいとまがない。未来投資会議、成長戦略会議、成長戦略実行計画、グリーン成長戦略などなど。しかし、単なる看板の付け替え、お化粧直しの感も否めない。  経済成長...

続きを読む

国基研企画委員・産経新聞月刊正論発行人 有元隆志    岸田文雄首相は中国が軍事的圧力を強める台湾の有事に備えるため、敵基地攻撃能力の保有を含めた日本の軍事力強化に邁進すべきだ。21日の日米オンライン首脳会談で、岸田首相は年内に策定する国家安全保障戦略などにおいて、敵基地攻撃能力の保有も含めあらゆる選択肢を排除せずに検討する方針を伝え、バイデン米大統領も「歓迎した」という。 ...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    昨年12月28日、文化庁文化審議会は新潟県の佐渡金山を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録推薦候補に選定した。しかし文化庁は、選定は推薦の決定ではなく、今後、政府内で総合的に検討すると注釈を付けた。2月1日がユネスコへの推薦書提出の期限だ。ところが、1月も半ばを過ぎたのに、まだ推薦が決まらない異常事態が続いている。...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員 冨山泰    ウクライナ問題をめぐりロシアと西側の緊張が続く中で、ロシアが米国に突き付けた要求の中に、日本の安全保障を脅かしかねないものが含まれていることを見落としてはならないだろう。バイデン米政権がロシアの要求を丸飲みすることはなさそうだが、それと気付かないまま日本の利益を損ねるような譲歩をしないように、わが国は交渉の行方に注意を払っていく必要がある。 ...

続きを読む

国基研評議員 岩田清文    昨年10月、台湾の国防部長(国防相)が、2025年には中国の全面的侵略が可能になるとの認識を示した。また昨年6月、米上院軍事委員会においては、2027年以降は中国の台湾侵攻が可能なレベルに上がるとの答弁が米インド太平洋軍司令官により行われた。これらを前提にすれば、最悪の場合、2025年~2027年以降、中台紛争勃発の危険度が高まる。  ●迫りく...

続きを読む

国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    英グラスゴーで昨年開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では「脱石炭」に40カ国余りが合意したが、中国や東南アジアで建設中の石炭火力発電所は200カ所に迫る。一方、天然ガスや原油の値上がりは著しく、深刻な電力不足とエネルギー価格の高騰が欧州経済に影を落としている。我が国も事情は同じだ。ドイツをはじめとして...

続きを読む

国基研評議員兼企画委員 太田文雄    7日、日本と米国の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(いわゆる「2+2」)がオンライン方式で行われた。6日には自衛隊とオーストラリア軍が相手国を訪問する際の法的地位などを定めた日豪円滑化協定が締結された。この二つの軍事的な意義について考察してみたい。  ●極超音速対抗技術を共同研究  日米両国は2+2で、中国、ロシア、北...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    1月5日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて、防衛省は、高度50キロ、飛距離500キロ、速度はマッハ5を超える新型との分析結果を示した。日本を射程に収め、核弾頭を搭載できる極超音速ミサイルが北朝鮮によって配備されるのは時間の問題と見なければならない。一方で、中国の同種ミサイルの開発は急速かつ大規模に進んでいる。  ...

続きを読む

国基研理事長 櫻井よしこ    令和4年の日本は有事の真っ只中だ。世界大激変の中で、日本国首相には歴史的使命がある。1億2000万人余りの真面目な国民の知恵の力、技術力、経済力、軍事力、勇気の全てを活かして、より良い日本、より良い世界を創るのに貢献する責任だ。岸田文雄首相の信念と実行力が問われる1年となる。  ●力強さに欠けた100日  11日で政権発足から100日を迎え...

続きを読む