公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2022年3月の記事一覧

国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    北朝鮮が3月24日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行った。最高高度などから計算すると、通常軌道で発射すればワシントンやニューヨークのある米本土東海岸まで届く。日本では、落下地点が日本に近く危険だったという議論が多いが、今回の試射で一番の焦点は、北朝鮮がICBM弾頭の大気圏再突入技術を獲得したかどうかである。 ...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    2011年3月の東京電力福島第一原発事故以降、我が国は太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー優先政策を推進してきた。しかし、太陽光や風力発電は変動電源と呼ばれ、出力低下を補うために火力発電所が需給調整をしている。これでは、二酸化炭素の排出を効果的に減らすことはできないし、需給調整がうまくいかないと大停電を引き起こしかねない。3月...

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国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志    主体性を持って国防力の強化を図る―。主権国であるならば当然のことを、戦後の日本は長らく怠ってきた。「自国の防衛に努力しない国のために一緒に戦う国はない」と明言したのは安倍晋三元首相である。当然の主張である。日米同盟は大事だが、それに安住すべきでない。  安倍氏は産経新聞のインタビュー(3月26日付)で、「自民党は(昨年...

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国基研理事長 櫻井よしこ    プーチン・ロシア大統領によるウクライナへの侵略戦争を止める為に、中国を仲介者に推す意見がある。しかし、絶対的専制君主となりつつある習近平中国国家主席の本質はプーチン氏とそっくりである。プーチン氏の侵略戦争を止めるのに習氏ほど不適切な仲介者はいないだろう。  中露両国は、日米欧をはじめとする西側諸国が尊重し、守ろうとする価値観の対極にある。人間の自...

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国基研企画委員 田村秀男    新型コロナウイルス不況からの景気回復にウクライナ侵略の産油国ロシアへの経済制裁が重なって、エネルギー価格が高騰している。世界的にはインフレ局面だが、日本だけは違う。逆に物価が下がり、所得が減り続けるデフレ不況が深刻化している。にもかかわらず、岸田文雄政権は財務官僚の均衡財政主義に引きずられ、日銀審議委員人事では反金融緩和派を指名する始末である。 ...

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国際政治学者 グレンコ・アンドリー    3月16日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米議会向けにオンラインで演説した。米国に連帯を呼び掛け、ロシアから侵略を受けているウクライナの悲劇に無関心でいてはいけない、と主張した。全体的に素晴らしい演説だったが、一点だけ、日本人が看過できない問題があった。問題の部分は以下である。  「アメリカの皆様。あなた方の歴史で、今のウクライナ人の...

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国基研評議員 岩田清文    平成18年10月15日、当時の中川昭一自民党政調会長がテレビ番組で「核議論を尽くすべきだ」と発言し、国内外で大きな反響を呼んだ。中川氏はその本意を後日、週刊誌においてこう述べている。「そもそも、私は核保有議論はしていません。核の議論をしましょうと言ったのです。もっと言えば、核の抑止力の議論を提言したいと言ったのです。それは、拉致も含めて日本の平和と安...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    米国がロシア産の石油、天然ガスの輸入禁止に踏み切った。ウクライナに侵攻したロシアの資金源を断つことは重要だとして、バイデン政権が米国世論、議会の要求に応えたものだ。日本としては、国際協調は重要であるものの、自国のエネルギーの安定供給を揺るがすならば簡単に同調できない。冷静に自国のエネルギー安全保障について判断することが必要だ。  一...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    9日の韓国大統領選挙は、野党の尹錫悦候補が得票率わずか0.7ポイント差で勝利を収めた。事前の世論調査では尹氏が5~10ポイント優勢だった。予想を覆す僅差は、韓国の国内分裂、政治的内戦の深刻さの表れだ。  私は2005年に『韓国分裂 親北左派vs韓米日同盟派の戦い』という本を書いて韓国内の分裂を指摘した。その私でも、過激な親...

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国基研副理事長 田久保忠衛    トルーマン、アイゼンハワー、ケネディなど、戦後の米国の歴代大統領が民主主義、自由主義の大義名分を掲げ、颯爽さっそうと先頭を切って走った時代はどこへ去ってしまったか。  小国ウクライナが大国ロシアの大軍10万人以上によって侵略を受けているにもかかわらず、バイデン米大統領はウクライナ周辺の北大西洋条約機構(NATO)加盟国に限定的な派兵をした以外に...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    ロシアのプーチン大統領はウクライナ軍事侵攻で、冷戦後の欧州秩序を破壊するため武力行使をためらわないことを行動で示した。プーチン氏がロシアの独裁者にとどまる限り、米国は欧州の北大西洋条約機構(NATO)同盟国の安全保障に一層の力を注がざるを得ないだろう。少なくともバイデン政権の残り3年間、台頭する中国への対処を目的とする「アジア重視」政策は、修...

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国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志    核による恫どう喝を許してはならない。仮に恫喝されたとしても、国を守れる態勢をつくり上げるのが指導者の役割だが、残念ながら岸田文雄首相からはその気概が見えてこない。  岸田首相は3日の記者会見で、「(持たず、つくらず、持ち込ませずの)非核三原則を堅持することによって国民の命を守れるか」と聞かれると、「自らの防衛力と日米同...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    3月4日未明、ロシア軍がウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の敷地内に侵入し、同原発を制圧した。ここはウクライナにある原子炉15基のうち6基を持ち、合計出力600万キロワット(kW)の欧州最大の原発だ。ウクライナでは電力の51%を原発が供給している。ロシアはウクライナの石油施設や天然ガスパイプラインも攻撃しており、国内のエネル...

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