【第17回】景気低迷は鳩山政権の不作為によるものだ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 12月8日、今年度第2次補正予算案による緊急経済対策がようやく決まった。鳩山政権の初めての経済政策であるが、執行の一部を停止した前政権の1次補正と比較して、とくに画期的な内容も見当たらない。それどころか、もともと鳩山政権が配慮をしてこなかった景気対策や「二番底」懸念、またマニフェストには全く触れていない財政再建とのつじつま合わせに終始し、相変わら...
【第16回】国益損なう鳩山疑惑
産経新聞与党キャップ 榊原智 何という皮肉だろう。金権政治からの決別、政治資金の透明化を唱えて平成5年に自民党を飛び出し、新党さきがけ、民主党の結党を主導して、ついには首相の座を射止めた鳩山由紀夫首相が、自らのカネ絡みの疑惑にがんじがらめとなっている。 事は深刻だ。首相の一連の疑惑は単なる「政治とカネ」の問題にとどまらず、米軍普天間飛行場の移設問題の早期決着を妨げ、日本の国益、安全保障...
【第15回】北方領土問題、家康の手法に学べ
産経新聞 SANKEI EXPRESS 副編集長兼論説委員 内藤泰朗 鳩山由紀夫首相は首相就任直後、北方領土問題について「半年でめどをつけたい」と述べ、問題解決に並々ならぬ意欲を示した。しかし、プーチン、メドベージェフ双頭体制下のロシアは、領土問題解決にメリットを見いだしてはおらず、日本側がいくら働きかけても、ロシアが北方四島を返還する状況にはない。ロシア側の戦略が、時間稼ぎにすぎないことを...
【第14回】返済猶予法案は、問題先送り法案だ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 20日未明、民間金融機関に中小企業向け融資の返済猶予を促す「中小企業者等金融円滑化臨時措置法案」(モラトリアム法案)が、強行採決によって衆院を通過した。この法案は、問題の先送りに過ぎず、日本の市場経済に対する内外の信頼を毀損するリスクを考えた場合、その弊害の大きさは計り知れない。 市場を欺くことはできない この法案は、①民間金融機関に対し...
【第13回】懸案先延ばしの日米首脳会談
国基研副理事長・杏林大学客員教授 田久保忠衛 案の定と言ってよかろう。11月13日夜開かれた鳩山由紀夫首相とオバマ大統領の日米首脳会談で、沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題は結論が先延ばしにされた。13年間引きずってきてようやく日米合意案通りに落ち着くと思ったら、さにあらず。民主党政権で「県外、国外」移設、さらに岡田克也外相が嘉手納基地への統合について「案になるかどうか検討す...
【第12回】首相は政治資金問題で説明を拒むな
産経新聞首相官邸キャップ 阿比留瑠比 鳩山政権が発足して2カ月弱がたってみて、つくづく感じるのは、鳩山由紀夫首相の甘ったれぶりの度し難さだ。それは、自分でも中身をきちんと説明できない曖昧模糊あいまいもことした東アジア共同体構想への固執や、「対等」を強調する一方でやるべきこともやらずに時間稼ぎに明け暮れる対米外交にも如実に表れている。根拠もなく「僕の気持ちはきっと分かってもらえる」と信じている...
【第11回】東アジア共同体構想をお蔵入りにせよ
国基研企画委員・主任研究員 冨山泰 鳩山由紀夫首相の「東アジア共同体」構想が不評である。どのような共同体を目指すのかあいまいなまま観念が先行し、関係国の不信を増幅させている。このような構想を推進することは、日本の国益に反する。 けん制する関係国 米国が東アジア共同体構想への批判を強めているのは、インド洋における自衛隊の給油活動の延長拒否、米軍普天間飛行場の移設合意の履行先送りと並んで...
【第10回】無神経極まる鳩山政権の対米姿勢
国基研副理事長・杏林大学客員教授 田久保忠衛 鳩山由紀夫首相、岡田克也外相、北沢俊美防衛相ら現内閣首脳が米国に文句を付けること自体に、私はとやかく言うつもりはない。が、「まさかの友は真の友」の逆を行く言動はあまりにも無神経で、見ていられない気がする。とりわけ、インド洋で給油活動に従事している海上自衛隊を来年1月に引き揚げ、普天間飛行場の県外移設に異常にこだわっていることは、日米関係を既に修復...
【第9回】活発化する北朝鮮の対日攻勢
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 鳩山政権に対する北朝鮮の政治攻勢が活発化している。朝鮮総連が民主党の地方組織や、支持組織である労組などへ働きかけを強めている。それと連動する形で、蓮池透・家族会前副代表が取り込まれ、全国を回って制裁解除と早期国交正常化を求める世論作りの先頭に立っている。北朝鮮の工作を甘く見てはならない。 総連へ「民主党攻略指令」 北朝鮮の対日政治攻勢をまと...
【第8回】核大国へ成長する中国
国基研評議員 平松茂雄 10月1日、中国の首都北京の天安門広場で、建国60周年記念の軍事パレードが盛大に挙行された。陸海空軍の各種部隊の隊員約5000人、戦車、装甲戦闘車、各種兵器・装備を搭載した車両約500両、各種戦闘機、爆撃機、ヘリコプター、空中給油機、早期警戒管制機など120余機が参加した。 軍事パレードにハイテク兵器 展示された兵器・装備で注目されたのは次の二点である。一つは...