【第11回】東アジア共同体構想をお蔵入りにせよ
国基研企画委員・主任研究員 冨山泰 鳩山由紀夫首相の「東アジア共同体」構想が不評である。どのような共同体を目指すのかあいまいなまま観念が先行し、関係国の不信を増幅させている。このような構想を推進することは、日本の国益に反する。 けん制する関係国 米国が東アジア共同体構想への批判を強めているのは、インド洋における自衛隊の給油活動の延長拒否、米軍普天間飛行場の移設合意の履行先送りと並んで...
【第10回】無神経極まる鳩山政権の対米姿勢
国基研副理事長・杏林大学客員教授 田久保忠衛 鳩山由紀夫首相、岡田克也外相、北沢俊美防衛相ら現内閣首脳が米国に文句を付けること自体に、私はとやかく言うつもりはない。が、「まさかの友は真の友」の逆を行く言動はあまりにも無神経で、見ていられない気がする。とりわけ、インド洋で給油活動に従事している海上自衛隊を来年1月に引き揚げ、普天間飛行場の県外移設に異常にこだわっていることは、日米関係を既に修復...
【第9回】活発化する北朝鮮の対日攻勢
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 鳩山政権に対する北朝鮮の政治攻勢が活発化している。朝鮮総連が民主党の地方組織や、支持組織である労組などへ働きかけを強めている。それと連動する形で、蓮池透・家族会前副代表が取り込まれ、全国を回って制裁解除と早期国交正常化を求める世論作りの先頭に立っている。北朝鮮の工作を甘く見てはならない。 総連へ「民主党攻略指令」 北朝鮮の対日政治攻勢をまと...
【第8回】核大国へ成長する中国
国基研評議員 平松茂雄 10月1日、中国の首都北京の天安門広場で、建国60周年記念の軍事パレードが盛大に挙行された。陸海空軍の各種部隊の隊員約5000人、戦車、装甲戦闘車、各種兵器・装備を搭載した車両約500両、各種戦闘機、爆撃機、ヘリコプター、空中給油機、早期警戒管制機など120余機が参加した。 軍事パレードにハイテク兵器 展示された兵器・装備で注目されたのは次の二点である。一つは...
【第7回】鳩山対吉田の孫達の因縁
国基研理事 塚本三郎 政治とは、天命なのか。否、大衆が天命に動かされ、振り回され、大きな波動となって、政治を因縁付けて来たのではなかろうか。 公職追放が遺恨の原因 敗戦後いち早く戦前からの因縁に基づいて、鳩山家を引き継いだ鳩山一郎が中心となり、河野一郎や三木武吉が中核となって、自由党を結成した。ところが、不幸にも彼等は、戦時中の言動が問われて、公職追放の身とされた。 致し方なく...
【第6回】鳩山政権の危うい北朝鮮対応
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 国連で「福田合意」継承を宣言 自民党政治の抜本見直しを掲げる鳩山政権が、驚くほど無批判に“過去”を受け継ごうとしている問題がある。対北朝鮮政策である。9月24日、鳩山由紀夫首相は、国連総会演説で次のように語った。 「拉致問題については、昨年に合意したとおり速やかに全面的な調査を開始する等の、北朝鮮による前向きな行動が日朝関係進展の糸口となるであ...
【第5回】史上最低の新防衛相会見
国基研企画委員・評論家 潮匡人 新しい防衛相に北澤俊美参院議員が就いた。9月17日夕刻、新大臣は防衛省で初の臨時会見を行なった。その驚くべき発言内容が、防衛省公式サイトにアップされている。 以下は、その際の質疑応答である。 やはり繰り返された嘘 自衛隊のインド洋での補給支援活動に関し、「『延長しない』という判断をされた理由、この政策的な理由というのはどのようなところにあるのでし...
【第4回】鳩山氏はどこの国の首相になるつもりか
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 鳩山由紀夫民主党代表は9月7日、「朝日地球環境フォーラム2009」に参加し、22日の国連気候変動サミットで、CO2削減の中期目標として「2005年比30%減(1990年比25%減)」を表明すると発言している。そうした国際公約の前に、国民への説明責任を果たし、信任を得るべきである。 環境対策の費用と便益を提示し、国民に選択の機会を与えよ 民...
【第3回】鳩山氏は「反米」で「反資本主義」
国基研企画委員・主任研究員 冨山泰 次の首相になる鳩山由紀夫民主党代表の「脱米入亜」的な主張が米国で波紋を投じた。特に保守派の研究者やメディアから「反米」「反資本主義」と烙印を押され、日米同盟への影響について懸念が表明されている。 核廃絶は大甘 米国の保守派シンクタンク、ヘリテージ財団のクリングナー上級研究員は、8月31日付の論文で、民主党の政策の中には米国の利益に反するものが多く、...
【第2回】「自民惨敗、民主圧勝」の後にくるもの
国基研企画委員・拓殖大学教授 遠藤浩一 民主党は圧勝し、自民党は壊滅的敗北を喫した。わが国は、かつて経験したことのない政権交代劇に直面することとなる。それも、有権者自身の意思によつて。 今年に入つて、ミニ統一地方選挙や東京都議選などで「現職」が落選する事態が続出した。今回の自民党惨敗も、言つてみれば、「現職」に対する不信任である。実績の否定であり、その実績を前提として引き続き政権を委ね...