【第46回】事実上の政権不信任
国基研理事・拓殖大学教授 遠藤浩一 民主党の獲得議席は44。改選議席を10も減らした。政権交代から1年足らずで、事実上不信任を突き付けられたと見るべきだろう。平成15年の「民由合併」以来、比例選挙では2100万票以上を獲得してきたが、今回それを大きく割り込んだ(1845万票)。実際に政権を担当させてみて、「未知への期待」が萎えてしまったということだ。「民主党バブル」は弾けつつある。 一...
【第45回】「恩師」から探る菅首相の危険思想
国基研副理事長 田久保忠衛 菅直人首相はいかなる思想の持ち主か。それを解明する材料は、6月11日の所信表明演説だろう。そこで彼は、松下圭一法政大学名誉教授と故永井陽之助青山学院大学名誉教授の2人を「恩師」として挙げている。松下氏は、戦後日本の論壇を支配した感のあったいわゆる進歩的文化人中の大御所的存在、丸山真男東大教授の直接の教え子だし、永井氏は、丸山ゼミ生ではなかったが少なからぬ影響を受け...
【第44回】正当性なき消費増税は大きな政府への回帰
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 菅首相は、先週の主要8か国(G8)首脳会議(サミット)で、消費税率の引き上げに触れなかっただけでなく、消費税という単語にすら言及しなかったと報じられた。わが国の経済・財政状況には、参院選へのそうした方便として政策論議を操る余裕はない。選挙戦術で政策を論じるのを慎み、2009年総選挙の民主党マニフェストを総括した上で、政策の根拠について、政権政党と...
【第43回】争点隠しの姑息な戦術
国基研理事・拓殖大学教授 遠藤浩一 おそらく清水の舞台から飛び降りるくらゐの覚悟だつたに違ひない。自民党は参院選のマニフェストに消費税率 10%引き上げを明記した。民主党の出方如何によつては、この消費税増税問題が争点となる筈だつた。さうなれば自民党は民主党に対して「財源無きバラマキ」と批判し、攻勢を強めることができただらう。 ところが民主党はスルリとこの問題を回避した。マニフェストに「...
【第42回】「日米同盟が基軸」を肝に銘じよ
副理事長 田久保忠衛 今世紀にアジアで主要なプレーヤーになる国は中国、インド、日本の三カ国であることに異論はなかろう。キッシンジャー元米国務長官は、さらに一カ国を加えるとなると、インドネシアだと言っている。そこで目を付けなければならない点は二つある。一つは、四カ国の中で日本だけは世界の常識である「軍隊」を持っていないことだ。システムが戦前の軍隊と違うし、自ら進んで戦えないような規制を次から次...
【第41回】李政権の自滅で終わった韓国地方選
国基研客員研究員・統一日報論説委員 洪熒ホンヒョン 鳩山由紀夫首相が辞任を発表した6月2日、韓国でも「政変」があった。李明博政権への中間評価とも言える統一地方選挙で、与党のハンナラ党が惨敗したのだ。もう少しで、ソウル市長のポストまで野党の韓明淑・元首相に明け渡すところだった。政党が選挙で負けるのはよくあることだから、与党の敗北自体は「政変」と言えない。では、なぜ「政変」と言ったのか。常識的に...
【第40回】「反民主・救国戦線」の行動計画(アジェンダ)を
国基研理事・拓殖大学教授 遠藤浩一 民主党が「マニフェスト」(政権公約)を安易につくり、安易に反故ほごにしたせゐで、この言葉に負のイメージが付いてしまつた。で、今度は「アジェンダ」(行動計画)が流行の兆しを見せてゐるのださうな。また横文字といふのは気に入らないが、政党や政治家が、その政策や行動に関する真剣な約束を求められてゐるといふ本質に変はりはない。 「みんなの党」は疑似民主党? ...
【第39回】動かぬ証拠で追い詰められた金正日政権―韓国艦魚雷攻撃
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 またしても金正日の嘘は暴かれた。韓国政府は20日、「哨戒艦天安の爆沈は北朝鮮の魚雷攻撃によるもの」とする調査結果を公表した。北朝鮮は即座に「でっち上げ」との声明を出した。しかし、中国を含むどの国も、また韓国内の親北左派ですら、北朝鮮の弁明を支持していない。 回収された決定的証拠 決定的な物証として、魚雷のスクリューとモーター部分がほぼ原形を...
【第38回】異常な国の異常なマスコミ 田久保忠衛
国基研副理事長 田久保忠衛 朝鮮半島、千島諸島、琉球諸島を含む日本、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリア(いわゆる第一列島線)を「逆万里の長城」と名付けたのは、米海軍大学で中国海軍の動向を研究しているジェームズ・ホームズ、トシ・ヨシハラの両専門家らしい。ニュー・アメリカン安全保障研究所の上級研究員ロバート・D・カプラン氏が、フォーリン・アフェアーズ誌5~6月号に書いたトップ論文「大...
【第37回】鳩山政権は中国バブル崩壊に備えよ―ギリシャ危機の教訓
産経新聞編集委員 田村秀男 「100年に一度の大津波」(グリーンスパン前米連邦準備制度理事会議長)から世界の金融市場が立ち直りかけていた矢先の「ギリシャ・ショック」である。世界金融危機はまだ収束には程遠い。 日本はここで何をすべきだろうか。ギリシャの問題は財政危機が発端なのだから、先進国中最高水準の政府債務を持つ日本は早く財政均衡化の道筋を示すのは当然としても、もっと喫緊の課題がある。...