【第80回】日本の真価が問われている
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 有史以来、地球上の全ての地震の2割が日本で起きたとか、今回の大震災は千年に1度の大地震だなどといわれている。天災は避けることができないが、起きた後の対応は人間の領域だ。日本政府、いや日本国の真価が問われている。 称賛される国民の沈着さ 国内では部分停電の発表の仕方や、それに伴う交通機関の混乱などで、菅政権への批判が高まりつつある。一方、海外...
【第79回】人選を誤った民間初の中国大使
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 外相の突然の交替劇で、少なくとも一時、出先の大使の重要性は増すだろう。丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事社長)が駐中国大使に任命された直後、北朝鮮政策に関する発言を見て、危ういと思った。 「拉致問題の解決だけでなく、日本と北朝鮮との国交回復とか、最終的な目的はそういうところにあるだろうから、それに向けた努力は引き続き必要だ」(SankeiBiz、20...
【第78回】中国でジャスミンの花は開くか
国基研副理事長 田久保忠衛 2月28日付の朝刊各紙は、前日に中国で行われた民主化を求める「中国ジャスミン革命」が封じ込められたと報じた。詳報は新聞に任せるが、2週間前に呼び掛けられた前回20日の集会に比べてはっきりしているのは、①20日の13都市が27日は27都市に拡大した ②当局による事前の取り締まりがますます強化されている―の2点だろう。 3月5日に全国人民代表大会(全人代)を控え...
【第77回】民主党政権の断末魔――もはや解散・総選挙しかない
国基研理事・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一 民主党の親小沢系と目される比例選出衆院議員16人が、「民主党政権交代に責任を持つ会」なるグループを結成し、衆院会派からの離脱を願ひ出た。「菅政権に正統性なし!」と威勢はいいものの、党籍はそのままで、一昨年の衆院選で掲げたマニフェスト実現に取り組むのださうな。 中山義活経済産業政務官や松原仁衆院議員らも「2009年マニフェストへの原点回帰」を要請...
【第76回】ロシアの砲艦外交に無力な日本 田久保忠衛
国基研副理事長 田久保忠衛 日本国憲法を中心にした「戦後体制」は、国際環境の現実を前に音を立てて崩れつつあると思う。尖閣諸島沖における中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事件で、われわれは日本外交が何の役にも立たないことを思い知らされた。 ところが、中国と歩調を合わせるかのように、ロシアが爪と牙を剥むき出しにしてきたのである。 北方領土周辺の軍備強化へ 前原誠司外相の2月10...
【第75回】イスラム過激派活性化の危険―エジプトの混乱で
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 サダト大統領(1981年、イスラム過激派により暗殺)以来、イスラエルとの平和共存路線を取り、イランのごとき神権政治とは一線を画してきた中東の大国エジプトの政治体制が揺れている。ムバラク政権打倒が、イランや北朝鮮と結ぶようなイスラム・ファシズム勢力の跳梁につながらず、健全な民主化に帰結するか、重要な局面が続いている。 その中で要注意なのが、反ム...
【第74回】中国軍の文民統制崩壊の恐れ
国基研副理事長 田久保忠衛 正確に記そう。ゲーツ米国防長官が北京に到着したのは1月11日だ。中国の次世代ステルス戦闘機「殲20」試作機の試験飛行を示す情報が中国内のウェブサイトで流れた。同長官がこの日に行われた胡錦濤中国国家主席との会談でこれを持ち出したら、胡主席はこの情報を知らなかったようだ。米政府高官が同行記者団にそのように語った。 胡主席も知らなかった?試験飛行 帰国の途次、東...
【第73回】インドを武器輸出緩和の対象にせよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 菅政権は昨年12月17日に決定した新防衛大綱に、「アフリカ、中東から東アジアに至る海上交通の安全確保等に共通の利害を有するインド」との「協力を強化する」と明記した。中国の危険な台頭をまがりなりにも意識した結果であろう。 ところが「有言実行」どころか、日本側から人為的に障害を作り出し、協力に積極的なインド側を失望させているのが現状だ。昨年末、国...
【第72回】無意味な内閣改造――消費税を玩具にするな
国基研理事・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一 今回の内閣改造及び党役員人事の中身は、①仙谷由人、馬淵澄夫の両〝問責大臣〟及び反日デモ参加を反省しない岡崎トミ子国家公安委員長の更迭、②しばらく前まで「民主党が日本経済を破壊する 」と広言してゐた与謝野馨氏の閣内取り込み、の二つである。あとはそれに付随する〝玉突き人事〟でしかない。さうさう、〝玉突き〟の余波で、参院議長を務めた江田五月氏が法相に就任す...
【第71回】インドが警戒する新「悪の枢軸」
国基研副理事長 田久保忠衛 昨年12月に国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)の訪印団の一員としてニューデリーを訪れた私の関心は、インドが安全保障上、何を「脅威」と考えているかを確かめることであった。 シブシャンカル・メノン首相補佐官(国家安全保障担当)やガウタム・バンバワリ外務省東アジア局長ら政府当局者は、温家宝中国首相の訪印と重なったこともあって直接「脅威」を口にしなかったが、研究...