【第36回】いまこそ憲法論議の深化を
国基研理事・駒澤大学教授 西 修 まもなく日本国憲法が施行されてから63年目の5月3日を迎える。5月18日には、憲法改正国民投票法が施行される。この日は、国会による憲法改正の発議が解禁される日でもある。しかしながら、憲法改正原案を審査すべき憲法審査会がいまだに衆参両院に設置されていない。参議院民主党は、4月27日の常任役員会で憲法審査会規程の制定を今夏の参議院選挙後に先延ばしすることを決定し...
【第35回】韓国哨戒艦撃沈で分かった李政権の本質
国基研客員研究員・統一日報論説委員 洪熒ホン ヒョン 韓半島(朝鮮半島)西部の海上休戦ラインである北方限界線(NLL)を哨戒中だった韓国海軍の天安号が3月26日にNLL南側の白翎島付近で撃沈されてから1カ月が過ぎた。この事件で韓国軍の47人が死亡または行方不明となり、捜索作業に参加した民間人からも9人の犠牲者が出た。軍艦が武力攻撃を受けるのは宣戦布告の事由に当たる。北側の攻撃なら停戦協定の破...
【第34回】「新党」への国民の期待とその課題
国基研理事・拓殖大学教授 遠藤浩一 平沼赳夫氏が与謝野馨氏らと組んで設立した新党「たちあがれ日本」に対する冷笑的なコメントや腰の退ひけた対応が目につく。自分も疾とうに70歳を超えた人が「立ち上がるにはギプスと杖つえが2、3本いるのとちやいますか」(谷川秀善自民党参議院幹事長)などと嘲あざけるのは見苦しい。 無視できない2割の評価 読売新聞の世論調査によると、新党に対して「期待する」と...
【第33回】北朝鮮による攻撃の可能性強まる―韓国軍艦爆発
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 3月26日午後9時22分、北朝鮮に近い黄海上の白翎島近くで韓国海軍哨戒艦天安号(1200トン)が爆発し、船体が真っ二つに割れ、沈没した。乗組員104人のうち46人が行方不明となり、悪天候の中の捜索活動で軍、民間人に死者が出て、家族らの要請で捜索活動は中断した。船体引き上げ作業が進まない中、原因を巡って激しい論戦が続き、北朝鮮潜水艇や半潜水艇の魚雷か...
【第32回】「親子別姓」反対運動を提唱する
衆議院議員 松浪健太 「選択的夫婦別姓反対」というスローガンを掲げたとき、その反対運動は半ば以上、敗北している。法務省をはじめとする推進派が、わざわざ「選択的」という言葉を夫婦別姓に冠する意図は何か。「選択的」と聞く度に、人々の深層心理には「選べるんだから、個人の自由ではないか」という囁ささやきが届き、それ以上深く考えることを阻害する。反対派までが「選択的」という言葉を使うことは、相手の土俵...
【第31回】朝鮮高校の無償化を許してはならない
国基研評議員 荒木和博 元教員がヘロイン密輸を計画 福井県小浜市から地村保志さんと浜本(現姓地村)富貴恵さんが拉致される3日前の昭和53年7月4日、在日朝鮮人青年Aが成田空港で逮捕された。大量のヘロイン密輸事件だった。この事件は、広島朝鮮高校教員で朝鮮青年同盟県委員長でもあった金徳元という在日朝鮮人が計画したものである。Aの弁護人になったのが川人博・現特定失踪者問題調査会常務理事だが、川人...
【第30回】金正日の病状悪化、高まる北住民の不満
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 糖尿病による腎不全 北朝鮮の独裁者、金正日の病状はかなり悪い。糖尿病からくる腎不全のため透析を受けているという情報はほぼ間違いない。2月3日、ソウルでキャンベル米国務次官補は「生物学的時間がない」と話した。糖尿病からくる腎不全は最高度の医療環境でも5年以内に半分以上が死亡するという。三男ジョンウンを後継者とする作業を急いでいる背景がまさに金正日の...
【第29回】温暖化法の拙速な制定は「京都」の二の舞いだ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 政府は、1月末、2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減する中期目標を国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出し、3月12日には、温暖化対策の基本方針を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案を閣議決定した。中国も米国も、不調に終わった昨年の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)に提出したものと同じ目標を事務局に提出...
【第28回】レーガン保守と中共の関係を注視せよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 先月、オバマ米大統領は、ホワイトハウスでチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と面談した。もっともメディアは一切入れず、民主党寄りのAP通信が「かつてないほどの透明性を約束した大統領の対応が、これである」と皮肉るほどの情報管理ぶりだった。また、中国政府に気を使う余り、法王をゴミ袋が並ぶ裏口から出入りさせる非礼を犯し、保守派から弱腰と非難されてもい...
【第27回】地球温暖化騒ぎから学ぶこと
アラスカ大学国際北極圏研究センター所長・国基研客員研究員 赤祖父俊一 残念ながら、地球温暖化問題は「気候学」という地味な純学問が特殊な政治目的に利用され、悪用され、翻弄ほんろうされた良い例として科学史上に残るであろう。気候学者ばかりでなく、他の分野の科学者も多く参加したので、問題は科学全体に及ぶ。こんな騒ぎを起こした科学と科学者は、一般市民の信用を失う可能性さえある。 ●記録を操作した...