【第101回】竹島問題を日韓で議論しよう
衆議院議員 稲田朋美 自民党の「領土に関する特命委員会」で韓国鬱陵島を視察することになった。目的は、我が国固有の領土である竹島を事実上支配している韓国が竹島の領有問題についてどのような認識でいるかを、鬱陵島に存在する独島記念館を視察することにより知ることだった。その上で韓国の政治家や学者と意見交換しようという企画で、国会議員として何の問題もない視察だった。 私が参加を決めたのは7月初め...
【第100回】拉致問題を政権延命に利用するな
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 菅直人首相が自らの政権延命策として北朝鮮訪問を模索している。首相の意を受けて中井洽・元拉致問題担当相が7月21日と22日に、中国長春で北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と極秘接触をした。政府の拉致対策本部の職員(外務省からの出向者)が同席した。拉致問題で進展はなかったが、話し合いを続けることで合意したという。 中井氏は訪中直前に政府首...
【第99回】六者協議再開を誘う対北支援に反対せよ
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 7月22日、2年7カ月ぶりに北朝鮮の核問題に関する六者協議の南北朝鮮首席代表が会談した。米政府内には、北が求める食糧支援に応じ協議再開につなげようとの動きもある。 7月12日、拉致議連・家族会・救う会訪米団(筆者も参加)と面談したキング北朝鮮人権問題特使は、「食糧支援は北によるモニター(監視員)受け入れが条件となる。例えば、支援前と支援後に子...
【第98回】原発保有の意義を再認識せよ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 菅直人首相の「脱原発依存社会」へ向けた世論操作がわが国の経済のみならず、政治、外交における交渉力を弱体化させる危険性は、計り知れないほど大きい。 エネルギー政策の本質はエネルギー安全保障(国民生活、経済・社会活動、国防等に必要な量のエネルギーを受容可能な価格で確保すること)にあることを肝に銘ずるべきである。 目指すべきはエネルギーのベ...
【第97回】玄海原発問題で見える政権延命の下心
国基研理事長 櫻井よしこ いま、国家の基本的政策に心を砕いているのは誰か。本来、その責務を担うべき菅直人首相ではなく、地方自治体の首長らではないか。玄海原子力発電所の再稼働問題から菅首相の国益なき私益追求の姿が見えてくる。 町長が再稼働の決断 佐賀県玄海町の岸本英雄町長は7月4日、九州電力に定期検査で停止中の原発2号機と3号機の再稼働に同意する旨を伝えた。町長は再稼働決定前に、議会と...
【第96回】中国新幹線の特許出願に国を挙げて対抗せよ
国基研理事・弁護士 髙池勝彦 6月30日、中国の北京と上海を結ぶ全長1318キロの新幹線が開業した。予定より1年早い開業とのことだ。これは翌日の中国共産党創立90周年記念日に合はせたものである。 東北新幹線「はやて」の盗用 新幹線は我が国が独自に開発し発展させてきたものであり、そのことは世界的に周知の事実である。我が国に刺激されて、フランスやドイツも別の技術を開発してきた。 中...
【第95回】原発問題で肩すかしの提言
国基研主任研究員 冨山泰 菅直人首相の諮問機関「東日本大震災復興構想会議」が6月25日に発表した提言で、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応や将来のエネルギー戦略に関する記述は不十分と言わざるを得ない。原発問題こそ最重要である今、今回の提言は肩すかしである。 欠落した冷静な分析 復興構想会議の『復興への提言』の本文39ページのうち、原子力災害に関する章はわずか3ページだ。しかもそ...
【第94回】「ポスト冷戦後」に大乱の兆あり
国基研副理事長 田久保忠衛 冷戦終焉から10年経った今年、2011年は国際政治の分水嶺になるのかもしれない。冷戦、米一極時代の国際秩序が崩壊し、世界の警察官の役割を戦後一貫して演じてきた米国が、東アジアは別として一種の孤立主義に陥っていく傾向が次第にはっきりしてきた。 迫る米軍のアフガン撤退開始 すでにイラクからの撤兵に着手したオバマ米政権は、アフガニスタンからの撤兵を7月に開始す...
【第93回】よみがえった内モンゴル抵抗運動
国基研理事長 櫻井よしこ 内モンゴル人はもはや抵抗のために立ち上がることさえできない――。内モンゴル人自身がそう考えてきたほど、彼らは漢民族によって徹底的に弾圧され、粛清され、虐殺されてきた。 大部の『内モンゴル自治区の文化大革命 モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料』をまとめた静岡県立大学教授、楊海英氏は、内モンゴル人の家族で中国共産党の弾圧により一人の死者も出していない家族は皆無...
【第92回】〝ポスト菅〟内閣の役割
国基研理事・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一 ここで「策士策に溺れる」といふ諺を持ち出せば、諸葛孔明は苦笑し、曹操は舌打ちするに違ひない。菅直人氏の策はあまりにも浅ましく、小汚かつた。 が、それも、わづか一日で破綻した。そのうち辞めるから不信任案に賛成しないでくれと民主党代議士諸侯に泣きついておいて、不信任案が否決されたと見るや、言を左右にして居座りを図らうとする。これで一気に党内外の反菅...