【第156回】拉致被害者全員の帰還は譲れない
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 8月29日、北京で4年ぶりに日朝政府間協議が行われた。課長級の予備協議という位置づけで、協議は予定より1日延び、31日に、双方の関心がある事項について本協議を持つことで合意した。日本側は当然、そこには拉致問題が含まれると発表したが、北朝鮮はそのことを明言していない。 遺骨1体400万円を要求? そもそも今回の政府間協議は、北朝鮮が日本人戦没...
【第155回】アーミテージ=ナイ報告の意義と二つの疑問点
国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一 米国の超党派の知日派がまとめ、8月15日に発表されたアーミテージ=ナイ報告は、日米両国が経済的にも軍事的にも強国であり続けねば、自由、民主、法の支配、人権といった価値観に基づく国際秩序は確保できないと主張する。非常に優れた提言集と評価したい。慰安婦問題などで日韓が揉めれば敵を利するだけとの認識も誠に正しい。その上で、議論の活性化のため、あえて率直な...
【第154回】尖閣防衛策に直ちに取り掛かれ
川村純彦研究所代表・国基研客員研究員 川村純彦 8月17日、野田政権は、尖閣諸島の魚釣島に不法侵入した中国人14人を送検せず、簡単に本国へ送還した。この法治国家としてあるまじき愚行が、中国側に「日本与くみし易し」との認識を与えたことは確実であり、今後、侵犯行為が繰り返されるとともに、事態が更にエスカレートするのは疑いない。 可能性高い中国軍の上陸 尖閣には、かつて100隻以上の中国漁...
【第153回】反原発一辺倒の主要メディアは無責任
国基研理事長 櫻井よしこ 首相官邸周辺で金曜日ごとにデモが行われ始めて5か月目、参加者は福井県・大飯原発の再稼働決定以降増え始め、一時は15万~18万人に上ったと主催者は発表、他方警視庁は1万7000人と発表した。 7月30日の朝日新聞は社説で「1960年の安保闘争から半世紀。これほどの大群衆が、政治に『ノー』を突きつけたことはなかった」、「『もの言わぬ国民』による異議申し立て」であり...
【第152回】憲法改正へ国民の自覚を問う
国基研副理事長 田久保忠衛 GHQ(連合国軍総司令部)のホイットニー民政局長から「(米側の憲法草案をのまなければ)天皇の身体を保証することができない」と脅し上げられた末にできた憲法だ、と説明しても、それをどれだけ屈辱と思うかは人によって差があるのだろうと思う。だが、GHQは立派な行動によって「日本軍国主義」の息の根を止めてくれたと本気で感謝している人々は護憲派の中にも現在どれだけいるのか。 ...
【第151回】北朝鮮軍幹部解任をどうみるか
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 先週、北朝鮮で人民軍総参謀長の李英鎬が解任され、党第1書記金正恩が大将から元帥へ昇進した。その背景に関して様々な分析が出ている。 改革路線への転換は疑問 第1は、軍強硬派である李英鎬の解任は、金正恩政権が金正日時代の路線を転換し中国式改革開放政策をとるための布石だという見方だ。李英鎬解任の決定が党政治局会議で行われたことを根拠に、軍主導の先...
【第150回】祖国愛が導いた南鳥島沖での希土発見
国基研理事長 櫻井よしこ 本州から1800キロ、わが国の最東端に位置する南鳥島の排他的経済水域(EEZ)の海底で、膨大な量のレアアース(希土)泥が見つかった。レアアースの濃度が1000ppmから1500ppmという、非常に高品質な泥で、濃度が400ppmの水準にとどまる中国のレアアースより数倍、良質であることも判明した。発見したのは東大工学部の加藤泰浩教授の研究チームだ。 加藤教授らは...
【第149回】『現代の魔女狩り』と『空気の研究』
国基研理事 斎藤禎 文藝春秋の名編集者と謳うたわれた池島信平は、われわれ後輩に「いい雑誌を作りたかったら昔の雑誌の目次を見ることだ」といつも言っていた。習い性となって、現役編集者の時代はとっくに終わっているのに、ことあるごとに以前の雑誌の目次を思い起こしている。 集団妄想を暴いた匿名グループ 文藝春秋編集部に最初に配属されたのは、昭和49年、50年、51年だった。いまからもう40年近...
【第148回】オスプレイ報道で目に余る沖縄紙の偏向
国基研理事長 櫻井よしこ 沖縄の二大紙、琉球新報と沖縄タイムスは、全体像を伝える新聞の機能を果たさず、プロパガンダ紙になり果てている。年来、沖縄戦での軍の集団自決命令に関する報道に典型的に見られる両紙の偏向は目に余るが、米軍普天間飛行場に配備される垂直離着陸輸送機オスプレイに関しても同様だ。 誇張される危険性 日米両政府は8月には同機を普天間に配備する予定だ。西太平洋からインド洋、と...
【第147回】TPPで問われる「保守」の本質
国基研企画委員・横浜市立大学客員教授 松田学 日本の先を越してカナダとメキシコのTPP(環太平洋連携構想)交渉参加が承認された。だが、両国はもともと、昨年に日本が交渉参加を示唆したことを契機に参加を表明した国々だった。その理由は、TPPに入る日本との経済取引の有利性を維持するためであり、それは日本が参加した場合のTPPでの日本の立場の強さを暗示するものでもあった。 交渉参加は「親米」...