【第126回】「弱者の恫喝」に経済制裁で対抗せよ
国基研副理事長 田久保忠衛 「弱者の恫喝」という点で北朝鮮とイランは同じだと思う。国際原子力機関(IAEA)が報告書を出して、イランの核開発が進んでいるとの具体例を世界に示したあと、米オバマ政権は昨年12月にイラン中央銀行を狙い撃ちにし、同行と取引をしている外国銀行は米市場から締め出すと発表し、次いで1月23日には欧州連合(EU)がイラン原油を輸入しない措置を取った。 普通の国家であれ...
【第125回】TPP興国論
大樹総研特別研究員 松田学 環太平洋経済連携協定(TPP)賛成論者を売国奴と決め付ける「亡国論」が、ここまで日本を席巻する姿はやや異常である。正確な情報と事態への分析的な認識を持てば、例えば米国陰謀説が空想であることはすぐに分かる。 すでに日本は世界で最も開かれた国の一つであり、「開国」という言い方もやめるべきだ。TPPそれ自体が米国の対日輸出を大きく増やすものでもない。打撃を受けるの...
【第124回】野田改造内閣は選挙管理に徹すべきだ
国基研理事・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一 「田中直紀防衛相」に唖然とした国民は少なくないと思ふ。唖然どころか、筆者は呆然とした。 奇妙奇天烈な防衛相人事 「社会保障と税の一体改革」を進めるために内閣改造を断行し、解散まで示唆し始めた野田佳彦首相だが、国防・安全保障の立て直しもそれに匹敵する、いや、それ以上に重大な政策課題である。前者については、岡田克也元外相を副総理格で入閣させること...
【第123回】中国を牽制する日印の絆
インド世界問題評議会研究部長 ビジャイ・サクジャ 日印関係は順調なまま年を越した。インドのシン首相と野田佳彦首相は昨年12月28日にニューデリーで会談し、両国民の「絆」に基づき二国間関係と戦略的パートナーシップをさらに強化することを再確認した。 首脳会談で連携強化 両首脳は、二国間の経済協力と安全保障協力を深める幾つかの構想を発表した。双方は両国間の貿易を促進し、現在140億ドルにと...
【第122回】対北政策で拉致被害者救出を最優先せよ
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の独裁者金正日が死んでから今日で9日になる(北朝鮮が発表した17日死亡が正しいなら)。これまでのところ、三男の金正恩を筆頭葬儀委員とした諸行事は、順調に進んでいる。 特別放送で死亡を公表したこと、遺体をガラスケースに入れ公開したこと、死亡から11日後に永訣式(葬儀)、12日後に追悼大会を行うことなど、すべてが父の金日成死亡時と同じだ。 ...
【第121回】金正恩政権は長続きしない
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の金正日(労働党総書記)が死んだ。後継者に指名されていた三男正恩の政権が安定的に成立するかどうかが当面の焦点だ。大胆に予測するなら、正恩政権は長続きしないと見る。金正日が正恩を後継に指名したのは、自分の死後に批判が起きるのを恐れてのことだ。 軍事優先路線を取って住民の15%を餓死させた結果、反感が拡大していることを金正日はよく知っていた...
【第120回】野田首相のアジア外交を憂慮する
国基研副理事長 田久保忠衛 弱腰外交、弱腰外交と騒ぎ立てるのは気が引けるが、それにしても12月18日の野田佳彦首相と韓国の李明博大統領との会談では、慰安婦問題で押しまくられた印象を受ける。韓国側は「誠意ある措置がなければ第2、第3の(慰安婦)像が建つ」と述べたそうだ。 恫喝をピシャリはね返してこなかった自民党政権時代と同じく、たたかれ放題の「サンドバッグ」に甘んじて、世界の激流をどうし...
【第119回】女性宮家創設は禍根残す
国基研理事長 櫻井よしこ 野田内閣が女性宮家創設についての勉強会を発足させた。ご高齢の天皇・皇后両陛下のご負担軽減のためとして、女性宮家創設を推進する考えだと仄聞そくぶんする。 だが、女性宮家創設は皇室と日本が直面する問題の解決にはつながらない。むしろ、皇統の継承を男系天皇から女系天皇に一大転換させる結果を招き、将来に禍根を残すことを憂うるものだ。 「女系天皇」への転換も 皇室...
【第118回】日米同盟関係は重要だ。しかし…
元経済産業省通商交渉官・前仙台市長 梅原克彦 この1、2か月、私はいろいろな方に「梅原さんは以前、経済産業省で自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の交渉を担当していたのでしょう? それにワシントンの日本大使館にも勤務していたわけだし、普段から中国に対して毅然とした外交を主張し、日米関係を重視する立場からして、当然、環太平洋経済連携協定(TPP)推進派ですよね」と聞かれる。 「...
【第117回】米が中国・ミャンマー関係に楔
国基研副理事長 田久保忠衛 米国とミャンマーの間で事態が急速に進展しているように思われる。 クリントン米国務長官は11月30日から12月2日までの3日間ミャンマーを訪問する。米国の国務長官がこの国を訪れるのはアイゼンハワー政権時のダレス長官以来だから、57年ぶりだ。 これに先立って米国ではミッチェル国防次官補代理(アジア・太平洋安全保障問題担当)がミャンマー特別代表・政策調整官(...