【第205回・特別版】「麻生発言」に対する我々の立場
国基研事務局長代理・企画委員 石川弘修 国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)が7月29日、東京・平河町の都市センターホテルで開催した「日本再建の道」と題した月例研究会で登壇者の一人、麻生太郎副総理兼財務相が行った発言の片言隻句が捉えられ、メディア上で一人歩きしている。外国人を含め多くの方には、どういう状況で発言がなされたのか、討論会全体の流れが分からないとの声もあり、...
【第204回】「防衛力の在り方検討に関する中間報告」を読んで
国基研客員研究員・川村純彦研究所代表 川村純彦 7月26日、防衛省は「防衛計画の大綱」見直しに向けた「防衛力の在り方検討に関する中間報告」を発表した。今回の報告では、初めて実戦シナリオに基づき必要な防衛力が示され、自然災害を含む有事シナリオに沿って自衛隊の能力を評価した結果を基に、防衛力を一元的に整備する統合防衛戦略の策定も図られた。また、①警戒監視能力の強化②島嶼部攻...
【第203回】「強い国を取り戻す」には憲法改正が必須
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 自民党の安倍晋三政権は発足から半年で参院選挙に圧勝し、ついに衆参のねじれ現象を解消した。安倍首相が自ら衆院解散を仕掛けない限り、向こう3年間は国政選挙がない。貴重なこの期間に、首相がどこまで持論の「強い日本」を取り戻せるかが焦点になる。参院選後に安倍政権が取り組むべき課題は多い。内政では経済成長戦略、消費税の増税、環太平洋戦略的...
【第202回】日本の海峡管理の弱さを憂える
国基研理事・東海大学教授 山田吉彦 防衛省は7月14日、中国の軍艦5隻が北海道の宗谷海峡を通過したのを確認したと発表した。この海峡はロシアの軍艦も頻繁に通過している。また、6月には鹿児島県の大隅海峡を2隻の中国軍艦が通過した。日本の海洋管理、とりわけ海峡管理体制の脆弱性に危機感を持つ。 ●不合理な領海放棄 日本は領海を沿岸の基線から12カイリ(約22キロ)幅...
【第201回】教育再生実行会議に欠ける危機意識
国基研理事・明星大学教授 髙橋史朗 政府の教育再生実行会議がいじめ・体罰、教育委員会制度と大学教育についての提言を出したが、日本の教育は根が枯れ幹が腐りかけているという危機意識と、「文明の衝突」という世界認識が欠落している。民主党政権は目先の費用対効果で事業仕分けをしたが、教育改革は国家百年の大計に立って「未来への投資」を重視する必要がある。 ●いじめ予防と道徳...
【第200回】シリア問題の重要性に目を向けよ
国基研副理事長 田久保忠衛 一貫してオバマ大統領を支持してきたリベラル系のニューヨーク・タイムズ紙としては異例だと思う。6月16日付の1面で、オバマ外交が世界中から冷ややかに扱われていると批判的な記事を書いた。特に2期目に入ってからのオバマ大統領は海外での戦いに巻き込まれたくないとの気持ちが強く、大事な局面での判断はどうしても腰が引けてしまう。ただし、6月に北アイルランドで開かれた主要...
【第199回】「低投票率の中での自公圧勝」の意味するもの
国基研企画委員・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一 6月23日の東京都議会議員選挙で自民党と公明党が立候補者の全員当選を果たし、過半数(64議席)をはるかに超える82議席(自民59議席、公明23議席)を確保、圧勝した。民主党は改選前の43議席から15議席に激減し、第4党に転落してしまつた。日本維新の会は2議席と苦戦したが、みんなの党は躍進して7議席を確保した。共産党は改選前の...
【第198回】アベノミクスの建設的な議論と実行を
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 アベノミクスへの批判がやかましい。目先の株価や為替の変動に気を取られ、性急に結論を求める不毛な議論の応酬に終始している。日本経済が20年間の長い停滞から再生するには時間がかかる。重要なのは、アベノミクスがもたらした経済再生の最後の好機を逃さず、生かすための政策論議とその実行に全力を注ぐことである。 ●株価・円相場は調...
【第197回】米中2極体制を日本がはね返す手はあるか
国基研企画委員 冨山泰 6月7~8日に米カリフォルニア州の保養施設サニーランズで行われたオバマ大統領と習近平国家主席(共産党総書記)による米中首脳会談は、21世紀の国際社会が米中主導の2極体制で運営されかねず、日本は脇役に甘んじることを強いられる可能性が否定できないことを思い起こさせた。 ●「新型の関係」で意気投合 習主席は7日の第1回会談後の記者会見で、既...
【第196回】「強い日本」に憲法96条の先行改正は必須
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 戦うべき時に攻めの姿勢を放棄すれば、政局運営の主導権が離れていくことは憲政の常である。自民党が参院選の公約原案に憲法改正の発議を定める96条の先行改正を盛り込まず、守りに入ってしまった。安倍晋三首相は憲法改正で「強い日本」にするとの決意を前面に打ち出して参院選に臨もうとしていたのではなかったのか。 ●揺らぐ指導力への期待...