【第176回】 妥当だった首相の危機管理
初代内閣安全保障室長 佐々淳行 平成25年(2013年)の干支(えと)は「巳」(蛇)である。故安岡正篤氏の干支占いによると、天下大乱の年である。 20世紀を12年ごとに振り返ってみると、不気味にもこの占いが当たっていることは歴史が証明している。1905年=日露戦争(2年目)、1917年=ロシア革命、1929年=世界大恐慌、1941年=独ソ開戦、ゾルゲ事件、太平洋戦争開始...
【第175回】 政府はTPP交渉参加を即決せよ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 政府は「聖域なき関税撤廃」に反対するとの政権公約を理由に、依然、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に曖昧な態度を取っている。交渉参加の目的は、中長期的な国益の確保である。では、政府の言う「聖域」とは具体的に何を意味するのか。その聖域を守ることは国益に適うのか。 ●既得権益の保護は国益に非ず 聖域として考えられてい...
【第174回】 首相は歴史問題で正しい情報発信を
国基研理事長 櫻井よしこ 安倍晋三首相を待ち受ける課題は、歴史認識、安全保障、経済停滞などどれも容易ではない。とりわけ歴史問題は中韓のみではなく、同盟国の米国をも念頭に置いた対処が必要だ。 ●無知を露呈した米紙社説 1月3日、ニューヨーク・タイムズ紙は社説で、安倍首相の産経紙上でのインタビュー発言を、ロイター電を基に激しく非難した。日本の過去の「侵略」を詫びた19...
【第173回】 中国共産党のXデーはいつか
国基研副理事長 田久保忠衛 過去1年間の国際情勢を振り返って考えたのは、①世界の主要なプレーヤーが米国と中国の2カ国になってきた②ロシアは主役から脇役に移行しつつある③軸足をアジアに置いた米オバマ政権のピボット(軸足)政策の北東アジア部は日本の安倍晋三政権と韓国の朴槿恵政権の誕生によってようやく体制が整った―の3点だ。 ●冷戦とは違う米中関係 わけても米中両国を...
【第172回・特別版】朴槿恵氏の歴史的使命は日米との関係強化
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 得票率51.55%対48.02%、108万票の差で朴槿恵候補が当選した。12月19日に行われた韓国大統領選挙の結果だ。1987年の現行憲法施行以来、初めて過半数を得票した大統領となる。女性大統領の誕生も韓国史上初めてだ。 従北勢力を韓国民が拒否 野党の文在寅候補は、選挙戦で「北朝鮮人権法反対、国家保安法廃止、低い段階の連邦制統一実現」とい...
【第171回】脱原発を拒絶した国民の選択
国基研理事長 櫻井よしこ 「原発ゼロ」と大書したビールケースに立って選挙を戦った菅直人前首相(民主)の敗北は、国民が日本国の進路としてどちらを向いているかを明確に示したものだ。比例区で復活当選を果たしたとはいえ、前首相たるベテランが選挙区で拒絶されたのだ。それは脱原発、対中妥協、反憲法改正路線への峻拒である。 立地選挙区で自民圧勝 例えば原発が立地する13選挙区の内、11選挙区で自民...
【第170回】独裁者が若さ露呈、北朝鮮統治に乱れ
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の金正恩政権がおかしい。独裁システムは維持されているが、肝心の独裁者の統治能力が著しく低いため、この1年間、さまざまなところで統治の乱れが顕在化している。 無謀な酷寒期のミサイル発射 今回のミサイル発射騒ぎもその一つだ。北朝鮮は12月10日から22日までの期間に彼らの言うところの人工衛星打ち上げを行うと1日に予告していた。ところが8日...
【第169回】金融緩和だけでは経済を再生できない
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 各党の公約案が出揃うなか、安倍晋三総裁の発言に端を発した自民党の金融緩和策が注目を浴びている。しかし、日本がデフレを脱却するために必要なのは、金融緩和によって金融システムに溢れている資金を実体経済に流す構造改革、規制緩和、税制改革といった政策である。 量的緩和の効果は限定的 リフレ派(政策的にインフレを起こす考え方)の人は、日本の量的緩和...
【第168回】ミャンマーの対中依存を減らすための支援を
国基研企画委員・ジャーナリスト 石川弘修 国家基本問題研究所の髙池勝彦副理事長ら企画委員4人は11月11日から18日までミャンマーを訪れ、大統領府、外務、国防両省などの高官と会見、動き始めたシンクタンク数ヶ所の幹部と意見交換した。直後に米大統領による初訪問を控えて民主改革推進への期待は膨らんでいたが、まだ「中国への偏り過ぎから外交バランスを回復する」(コ・コ・ライン大統領政治顧問)途上に...
【第167回】チベット支援に踏み出した日本を誇る
国基研理事長 櫻井よしこ 11月13日、参議院議員会館の講堂は熱気に溢れていた。チベットのダライ・ラマ法王14世の講話「普遍的責任と人間の価値」を聞く会には、国会議員134名、代理98名の計232名が出席した。 民主党有志を代表して牧野聖修衆議院議員が、自民党を代表して安倍晋三総裁が挨拶し、安倍氏は「人権が弾圧されている現状を変えていくために全力を尽くすことを誓う」と述べた。講堂には共...