【第200回】シリア問題の重要性に目を向けよ
国基研副理事長 田久保忠衛 一貫してオバマ大統領を支持してきたリベラル系のニューヨーク・タイムズ紙としては異例だと思う。6月16日付の1面で、オバマ外交が世界中から冷ややかに扱われていると批判的な記事を書いた。特に2期目に入ってからのオバマ大統領は海外での戦いに巻き込まれたくないとの気持ちが強く、大事な局面での判断はどうしても腰が引けてしまう。ただし、6月に北アイルランドで開かれた主要...
【第199回】「低投票率の中での自公圧勝」の意味するもの
国基研企画委員・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一 6月23日の東京都議会議員選挙で自民党と公明党が立候補者の全員当選を果たし、過半数(64議席)をはるかに超える82議席(自民59議席、公明23議席)を確保、圧勝した。民主党は改選前の43議席から15議席に激減し、第4党に転落してしまつた。日本維新の会は2議席と苦戦したが、みんなの党は躍進して7議席を確保した。共産党は改選前の...
【第198回】アベノミクスの建設的な議論と実行を
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 アベノミクスへの批判がやかましい。目先の株価や為替の変動に気を取られ、性急に結論を求める不毛な議論の応酬に終始している。日本経済が20年間の長い停滞から再生するには時間がかかる。重要なのは、アベノミクスがもたらした経済再生の最後の好機を逃さず、生かすための政策論議とその実行に全力を注ぐことである。 ●株価・円相場は調...
【第197回】米中2極体制を日本がはね返す手はあるか
国基研企画委員 冨山泰 6月7~8日に米カリフォルニア州の保養施設サニーランズで行われたオバマ大統領と習近平国家主席(共産党総書記)による米中首脳会談は、21世紀の国際社会が米中主導の2極体制で運営されかねず、日本は脇役に甘んじることを強いられる可能性が否定できないことを思い起こさせた。 ●「新型の関係」で意気投合 習主席は7日の第1回会談後の記者会見で、既...
【第196回】「強い日本」に憲法96条の先行改正は必須
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 戦うべき時に攻めの姿勢を放棄すれば、政局運営の主導権が離れていくことは憲政の常である。自民党が参院選の公約原案に憲法改正の発議を定める96条の先行改正を盛り込まず、守りに入ってしまった。安倍晋三首相は憲法改正で「強い日本」にするとの決意を前面に打ち出して参院選に臨もうとしていたのではなかったのか。 ●揺らぐ指導力への期待...
【第195回】見過ごせない米国の日本批判
国基研副理事長 田久保忠衛 どこの国の、いかなる立場にある人物が、日本の誰をどのような理由で批判しているのか、頭を整理しないと理解できないような混乱が日本、米国、韓国、中国の間で続いている。気になるのは米国だ。 ●歴史認識で中韓と一致 靖国神社参拝は日本人の心の問題であることを知っているはずなのに、米国人はどうして中国や韓国と一緒になって批判するのか。シーファー前駐日米大使...
【第194回】日印協力でアジアの安全に貢献できる
国基研企画委員 冨山泰 台頭した中国が独善的な傾向を強め、他のアジア諸国とのあつれきを生む中で、アジアの二大民主主義国家である日本とインドは安全保障、産業、国際政治の各分野で協力を深めるべきであり、それによってアジアの平和と安定に貢献できるという内容の日印共同研究が、国家基本問題研究所とインドのビベカナンダ国際財団(VIF)の間でまとまった。研究報告書は21日に東京とニ...
【第193回】朴槿恵大統領の反日発言をどう見るか
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 韓国の朴槿恵大統領が訪米した。北朝鮮の核武装を許さず、挑発に断固として対応することを強調したが、そのために必要な日米韓3カ国の連携の強化については言葉を濁し、安倍晋三政権の歴史認識を問題視する発言を執ように行った。安倍政権は韓国との信頼関係構築のため外相会談や首脳会談の早期実現を働き掛けているが、朴槿恵大統領がそれを先送りにし...
【第192回】「四島一括返還」を言えない安倍首相の初訪露
外交評論家 澤英武 危惧した通りの安倍・プーチン会談だった。大型経済協力というお土産付きの安倍晋三首相の初訪露は、待ち構えるプーチン大統領に満足をもたらした。そして、日本にとっての最大の課題「北方四島」は先送りだ。「経済協力などで関係を良くすれば、領土問題解決の展望が開ける」というソ連時代からの出口論そのものである。 ●国の尊厳失わせる「ヒキワケ」解決 プー...
【第191回】今こそ敗戦の呪縛を解け
産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博 敗戦後に、日本を封じるためにつくられた日本国憲法は、手つかずのまま66年を生きた。当時の占領軍の指示でつくられた憲法は、天皇の地位を〝人質〟に、第9条で国防まで放棄するよう迫られた。日本無力化の壮大な仕掛けが占領憲法の眼目なのに、日本人はそれを「平和憲法」と読み替えて神棚に祀(まつ)った。気がつけば、改正のない憲法としては日本の...