【第184回】理性的な震災復興策で国民に勇気を
国基研理事長 櫻井よしこ 東日本大震災から丸二年が過ぎた。あのとき私たちは、日本人は自己の利益よりも他者への思い遣りを優先し、究極の困難の中で助け合う、礼儀正しく忍耐強く、真の勇気を持つ人々であると、国際社会から高い評価を受けた。いま私たちは、その賞讃に値する国民であるのかが厳しく問われている。 ●放射能への過度の恐れ 岩手、宮城、福島3県の復旧・復興は...
【第183回】既得権益にしがみつくJA全中
国基研理事・政治評論家 屋山太郎 安倍晋三首相はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する腹を固めたようである。昨年12月の総選挙前から自民党が言っていたのは「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉に参加しない」というものだ。そもそも例外のない取り決めなどあり得ない。先月の日米首脳会談で「例外はある」と認め合ったのは当たり前のことで、既に米国はオーストラリアとの協定...
【第182回】首脳会談を弾みに果断な実行を
産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博 日米首脳会談でみせた安倍外交が、「周到な準備」と「一気の決断」で、オバマ大統領から満額回答を引き出したことを高く評価する。安倍晋三首相の積極姿勢が日米同盟の「きずな復活」を強く印象づけ、対中抑止力を確かなものにした。 ●TPP参加へ環境整う 安倍首相にとっての難関は、米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉...
【第181回】 「日本にも核オプションあり」と言ったらよい
国基研企画委員・研究員 冨山泰 北朝鮮が2月12日に3度目の核実験を強行したことに対し、オバマ米大統領の演説や発言からは、北朝鮮の核武装を何としても阻止するという強い意志が伝わってこない。北朝鮮に核兵器を放棄させることを既にあきらめ、「核武装した北朝鮮」にどう対処するかに早くも関心が移ったのではないかと思えるほどだ。 ●米は北の核武装阻止を断念? ホワイトハウ...
【第180回・特別版】 北朝鮮の核武装を許してはならない
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 2月12日、北朝鮮が核実験を強行した。国連安保理決議に対する明白な違反であり、国際社会への許し難い挑発行為と言える。 北朝鮮はかつて核拡散防止条約(NPT)に加入し、核保有国から核技術の支援を受けた。その後、一方的にNPT脱退を宣言して核武装を進めた。NPTに最初から入っていないインドやパキスタンと異なる。北朝鮮のようにNP...
【第179回】 日本は国土防衛の強い意志を示せ
川村純彦研究所代表・国基研客員研究員 川村純彦 尖閣諸島周辺の東シナ海における中国の攻勢は、実効支配の既成事実化を狙う中国公船の度重なる領海侵犯に加えて、領空侵犯から更に海上自衛隊護衛艦に対する射撃管制レーダーの照射へと、エスカレートを続けている。 東シナ海への米海軍の進入を拒否し、或いは外洋での接近を阻止することは、中国にとって南シナ海を聖域化して、米本土を狙えるミ...
【第178回】 米中間で日本も覚悟の時期に
国基研副理事長 田久保忠衛 旧同盟通信の上海支局長時代に、蒋介石が張学良に監禁された西安事件の世界的大スクープをものにし、戦後は初代の国際文化会館理事長になった松本重治氏が「日中関係は日米関係なのだ」と言っていたのを思い出す。戦前から現在に至るまで、日米中3カ国には一貫して政治力学が働いている。中国だけ、米国だけ、日本だけを観察していては、風がどの方向に吹いているのか見当...
【第177回】 テロに屈しない日本国を築こう
国基研理事長 櫻井よしこ 1月16日に発生したアルジェリア人質事件の本質は、2001年に米国を襲ったアルカイダなどのテロ勢力が、10年余の間にアフリカに新たな拠点を築いて勢力を盛り返しているということだ。 ●アフリカが過激派の拠点に 「アラブの春」で民主化運動が広がり、北アフリカの独裁政権が倒れたが、民主的体制は樹立されていない。イスラム過激派やテロ勢力が混乱に...
【第176回】 妥当だった首相の危機管理
初代内閣安全保障室長 佐々淳行 平成25年(2013年)の干支(えと)は「巳」(蛇)である。故安岡正篤氏の干支占いによると、天下大乱の年である。 20世紀を12年ごとに振り返ってみると、不気味にもこの占いが当たっていることは歴史が証明している。1905年=日露戦争(2年目)、1917年=ロシア革命、1929年=世界大恐慌、1941年=独ソ開戦、ゾルゲ事件、太平洋戦争開始...
【第175回】 政府はTPP交渉参加を即決せよ
国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 政府は「聖域なき関税撤廃」に反対するとの政権公約を理由に、依然、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に曖昧な態度を取っている。交渉参加の目的は、中長期的な国益の確保である。では、政府の言う「聖域」とは具体的に何を意味するのか。その聖域を守ることは国益に適うのか。 ●既得権益の保護は国益に非ず 聖域として考えられてい...