【第1015回】文化財管理を徹底し韓国による窃盗を防ごう
国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子 長崎県対馬の観音寺から盗まれ韓国政府が保管している仏像をめぐり、韓国の浮石寺が所有権を主張して引き渡しを求めている裁判で、韓国の2審の大田高等裁判所は2月1日、浮石寺の所有権を認めた1審判決を破棄し、請求を退けた。 この仏像は長崎県有形文化財に指定されている「観世音菩薩坐像」で、 2012年10月、韓国人窃盗団によって盗まれた。翌年...
【第1014回】無限定の「LGBT差別禁止」の危険
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 先進7カ国(G7)でLGBTなど性的少数者の差別禁止法が無いのは日本だけという主張があるが、事実に反する。 米国では、「性、性自認、性的志向に基づく差別の禁止」を謳った民主党提出のLGBT差別禁止法案(名称は平等法)は共和党議員のほぼ全員が反対しており、成立の見込みはない。反対理由の柱は、差別の定義が曖昧で濫訴や逆差別...
【第1013回】「植田日銀」の成否を左右する財政政策
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 岸田文雄首相は黒田東彦日本銀行総裁の後任に経済学者の植田和男氏を起用する人事案を14日、国会に提示する。政府、日銀は異次元金融緩和政策の軌道修正を学者総裁の手腕に委ねることになるが、国家と国民にとっての最大の懸案は日本経済再生である。そのカギになる脱デフレは、金融政策一本やりでは達成できないことが過去10年間を見ても歴然としている...
【第1012回】バイデン一般教書演説に覚えた危惧
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 バイデン米大統領の7日の一般教書演説は、インド太平洋戦略を共に担う日本にとって不安を覚えざるを得ない内容だった。まず、中国に言及しながら「台湾」が一言も出なかった。「力による台湾の現状変更を許さない」どころか「台湾海峡の安定」といった表現すらなかった。 ●台湾への言及なし バイデン氏は過去4度にわたり、中国が台...
【第1011回】党員除名で異質さを露呈した共産党
国基研評議員長・尚美学園大学名誉教授 梅澤昇平 いま日本共産党が揺れている。震度は3、4くらいであろうか。余震が続いているようで目が離せない。共産党は2月6日、党首公選制を提唱した松竹伸幸氏を除名にした。元共産党政策委員会外交防衛部長で、ジャーナリストだ。この処分はやり過ぎではないかと、いつもは左寄りの論調が目立つ朝日新聞、毎日新聞も社説でかみついた。 ●なおしがみ...
【第1010回】中国の反発を恐れて輸出管理の基本を歪めるな
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 2月6日の本欄で、日本も国際協調の下で行おうとする半導体輸出規制の対象が中国であることを明確にすべきだと提言した後、多くの問い合わせをいただいた。輸出管理という一般になじみの薄い分野だけに説明を補いたい。 日本政府は中国を刺激することを避けたいので、中国だけが対象にならないよう処理しようとしているようだ。外為法上、従来あるワッセナ...
【第1009回】日本も気球対処の法整備が必要
国基研評議員兼企画委員 太田文雄 米国上空に飛来した中国の偵察バルーン(気球)を米空軍はF22戦闘機で撃墜した。同様な領空侵犯が日本でも起きた場合の法整備は遅れている。 自衛隊法84条の領空侵犯に対する措置には、侵犯機を「着陸させる」か領空外に「退去させる」の2選択肢しかなく、撃墜する権限は明示されていない。82条の3に弾道ミサイル等に対する破壊措置規定があるが、落下に...
【第1008回】尖閣の生態系保護に必要な上陸調査
国基研理事・東海大学教授 山田吉彦 尖閣諸島は、中国による領土侵略の危機にあり、海上保安庁の徹底した警備下に置かれている。しかし、無人島であり、日本政府は国家公務員以外の上陸を認めず、管理行動と言えば、魚釣島灯台の保守点検程度である。これでは、世界の国々が日本の施政下にあると認識することは難しいだろう。 米国は、日米安全保障条約の防衛義務が尖閣諸島に及ぶと明言しているが...
【第1007回】日本の原子力活用が称賛された
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 1月30日から2月2日まで米フロリダ州フォートローダーデールで開催された職業被ばく情報システム(Information System on Occupational Exposure=ISOE、アイゾエ)の北米シンポジウムに参加した。ISOEは、世界の430基を超える原子力発電所の事故・トラブル情報を共有し、原発で働く人たちの職業...
【第1006回】対中半導体規制で「輸出管理の新時代」直視を
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 先月末、米国の先端半導体の対中輸出規制に日本、オランダが同調することで合意したと伝えられた。正式発表をしないのは、日蘭が米国に同調することへの中国の反発を懸念したからだとされている。 米国の規制は従来とは次元が異なる。トランプ前政権では中国通信機器最大手ファーウェイ(華為技術)など特定企業を標的にしたのに対して、今回は中国全体を対...