公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2019年6月の記事一覧

国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    リーマン・ショック後の多国間協調を図る20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は調整機能が低下しており、米中対立の行方が会議全体の流れを支配する。再選を目指すトランプ大統領は米中首脳会談での決裂を避け、関税戦争では表面的な歩み寄りを図るだろう。だが、ハイテク覇権争いは持ち越され、相互不信から「価値観の衝突」へと突き進んで、対立がより深く長...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    香港で中国共産党の抑圧体制下に入ることを拒否する大規模な抗議行動が起きた。香港政庁が進める「逃亡犯条例」改正案が実現すると、自由を求める香港人が中国共産党に引き渡されかねないため、人口700万人の香港で100万人以上が街頭デモに参加した。香港政庁は15日、改正案の審議の延期を決めたが、撤回ではない点や、デモを「暴動」と位置づ...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    ホルムズ海峡近くで日本のタンカーなど2隻を攻撃したのは誰か。米国はイランを非難し、イランは関与を否定する。安倍晋三首相のイラン訪問中に起きたこの事件は、イランと日本を引き裂こうとする勢力の仕業であろう。しかし、安倍首相のイラン外交は、米国とイランによる偶発戦争を回避し、緊張を緩和するための重要な一歩であった。両国間の緊張を高め、軍事衝突を...

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国基研企画委員兼研究員 太田文雄    6日、北方領土を戦争で取り戻す趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)に対する糾弾決議が衆院で可決された。実際には、核兵器を持たない日本が核大国のロシアとの戦争で北方領土を取り戻せる可能性はゼロに等しい。  一方、2日、シンガポールにおけるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で、中国の魏鳳和国防相が台湾独立の動きに対して...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    初の米朝首脳会談がシンガポールで行われてから12日で1年となる。会談結果には多くの批判が向けられた。だが、私は米国が安易な譲歩をしなかったことを肯定的に評価した。私の評価が大枠で正しかったことは今や明らかになったと考える。  ●安易な譲歩を排した首脳会談  当時、多くの論者が、トランプ米大統領は北朝鮮のグロテスクな個...

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国基研企画委員・国際基督教大学上級准教授 近藤正規    インド総選挙での与党人民党(BJP)の圧勝を受け、第2期モディ政権が発足した。外交政策は1期目と大きく変わらないとみられるが、とりわけ注目されるのは中国との関係だ。「強いインド」を掲げて選挙に勝ったBJPだが、そのマニフェストはインドの潜在的脅威である中国について一度しか触れていなく、それも日米印の3カ国協力と並んで記載さ...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    世界を震撼させた天安門の虐殺事件は、中国共産党100年史の中で今も隠された歴史の暗部である。1989年6月、共産党の人民解放軍は学生と市民に銃を発砲し、戦車で民主化運動を蹂躪じゅうりんした。天安門事件から30年を経て、その全体主義的な支配構造は少しも変わっていない。やがて経済力と軍事力で米国をしのぐとの予測があり、果たして世界は中国を頂点...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    シャナハン米国防長官代行がシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で米国のインド太平洋戦略を発表し、アジア地域への関与継続と同盟関係を重視したマティス前長官の基本路線を継承することを表明した。シャナハン氏は議会の承認を経て正式に国防長官に就任する見込みで、同盟国からの信頼が厚かった前長官の路線の継承は、日本はじめインド太平...

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