【第943回】憲法改正を必ず成し遂げる
自民党政務調査会長・衆院議員 高市早苗 第1次安倍内閣退陣の後、福田内閣、麻生内閣を経て、平成21年秋の衆議院選挙では民主党が政権を取り、自民党は下野した。翌平成22年2月5日、同志議員とともに、既に体調が回復しておられた安倍晋三議員を会長に据えて「創生『日本』」という派閥横断型のグループを発足させた。 私は副会長だったが、同じく副会長には古屋圭司議員、下村博文議員、菅...
【第942回】安倍氏の遺志を継ぐことが首相の務めだ
国基研理事長 櫻井よしこ 安倍晋三元首相が暗殺された。最強の指導者を奪われたことへの不安、テロへの心からの憎しみと憤り、テロを許す国であってはならないとの国民の危機感が、暗殺直後に行われた参議院議員選挙で自民党に歴史的大勝をもたらした。 ●動画が映し出す弛緩した日本 安倍氏暗殺の現場を撮った動画には、わが国の弛緩しきった姿が写されている。1発目の銃弾は外れ、2....
【第941回】政権批判だけの野党はいらない
国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志 自民党の大勝に終わった参院選は、同時に野党の存在意義を問い直すこととなった。野党第1党の立憲民主党が改選23議席を大きく割り込んだのは、現実的な安全保障政策を打ち出さなかったことも大きい。 ●ドイツ社民党との違い 立憲民主党の泉健太代表は記者会見で「今の自民党の政治に不満はあれども、それ以外に政権を任せられる...
【第940回】サハリン2の権益維持へ日本は踏ん張れ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 6月30日、ロシアのプーチン大統領は、日本の商社が出資する極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の運営権をロシア政府が設立する新法人に移行する大統領令に署名した。現在サハリン2の権益すなわち株式資産を有する外国企業は、ロシア側が示す条件に同意すれば新法人の株主として参画できる。同意しなければ、サハリン2からの撤退を余儀なく...
【第939回】過度の再エネ優先が招いた電力逼迫
国基研理事・北海道大学名誉教授 奈良林直 6月下旬の35度を超える酷暑の中で、東京電力管内に電力需給逼迫ひっぱく注意報が連日発令された。寒波が到来した3月に一段上の「警報」が出されたのに続く事態だ。電力が不足する根本的な原因は、静岡県の浜岡原子力発電所から北の多数の原発が再稼働していないことにある。つまり、原発への依存度をできる限り減らし、不安定な太陽光などの再生可能エネル...
【第938回】新冷戦の「回帰不能点」を超えた
国基研企画委員兼研究員 湯浅博 欧州とインド太平洋の民主国家群が、ユーラシア大陸の専制国家を取り囲むように手を結んだことは歴史的な前進であった。北大西洋条約機構(NATO)が採択した今後10年の指針「戦略概念」は、ロシアを「直接的な脅威」に、中国を「体制上の挑戦」と位置付けて、新冷戦の回帰不能点を超えた。その中露枢軸と東で対峙する日本は、対露制裁で欧州と足並みをそろえ、イン...
【第937回】習氏の対露協力を放置したG7サミット
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 先週は欧州で先進7カ国首脳会議(G7サミット)がドイツで、続いて北大西洋条約機構(NATO)拡大首脳会議がスペインで開かれ、岸田文雄首相が出席した。最大の懸案はウクライナへの侵略を続けるロシア対策だが、一連の首脳声明は威力に欠ける。プーチン・ロシア大統領の盟友でロシアの外貨確保に協力する習近平中国国家主席(共産党総書記)を押さえ込...
【第936回】新領域での戦いに自衛隊は取り残される
国基研企画委員・麗澤大学特別教授 織田邦男 参院選が始まり、各党の舌戦が続く。防衛力増強については、共産党と社民党を除き、概ね認めているようだ。だが、相変わらず論議は表層的であり、自衛隊は現代戦が戦えるのかといった本質的な問いかけをする政党はない。 ●サイバー戦を戦えない 例えばサイバー戦である。現代戦では、旧来の陸海空といった戦闘領域(ドメイン)に加え、宇宙、...
【第935回】輸出管理問題解決のボールは韓国側にある
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 韓国の新政権が発足し、戦後最悪とまで言われる日韓関係の関係改善へ期待が高まっている。そのためには朝鮮人戦時労働者の問題をはじめとする日韓間の懸案解決が不可欠だ。懸案の一つが3年前に日本が韓国に対して発動した輸出管理の厳格化措置だ。 ●「空騒ぎ」に過剰反応 相手国の輸出管理が信頼できる場合、その国に対して簡便な手続きで輸出で...
【第934回】国を憂える政治家はいるか
国基研副理事長 田久保忠衛 参院選の公示が終わり、各党とも一斉に選挙へ向かって走り出したが、日本が国際情勢下でいかに厳しい立場にあるかの認識が欠落しているせいか、取り上げるべき問題の優先順位が明確ではない。特に、国家的危機と個人的危機の区別もないまま大声で何かを怒鳴っているだけなのが現状だ。日清戦争前夜の朝鮮半島における列強の恐ろしい外交について、陸奥宗光は「蹇蹇けんけん録...