【第891回】ウクライナを教訓に日本は「脱・平和ボケ」を
国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志 国家の主権が他国の武力によって踏みにじられる光景を、我々日本人はしかと目に焼き付けるべきである。アジアでは中国が軍事的圧力を強めており、今日のウクライナは明日の日本になるかもしれないからだ。 ウクライナはロシアにクリミア半島を奪われてから8年間、兵力を約26万人に増大し、装備も充実させた。それでも、プーチン・ロシア大...
【第890回】水力と原子力の組み合わせが最強―国会で意見陳述
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 参議院の「資源エネルギーに関する調査会」に参考人として招かれ、国基研のエネルギー問題研究会による政策提言「脱炭素の答えは原発活用だ」(令和3年4月12日)の基になった具体的なデータを用いて意見陳述をした。エネルギー問題研究会は、気候変動枠組み条約の交渉に加わった有馬純東大特任教授らの参加を得て、工学分野だけでなく、経済、防衛の視点...
【第889回】北方領土でもロシアの情報戦
国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志 ウクライナ情勢をめぐって米国とロシアの熾烈な情報戦が展開されているが、ロシアは日本固有の領土である北方領土でも情報戦を仕掛けている。ロシアの独立テレビ(NTV)は「北方領土の日」の2月7日夜、元島民のビザなし訪問を利用して日本が情報収集活動を強化しているとの番組を放映した。 ●パンの中にSDカード 番組では、...
【第888回】ウクライナ危機で見えた米欧同盟変質の兆し
国基研副理事長 田久保忠衛 ロシア軍はウクライナに侵攻するのか、侵攻するとすれば戦争はどのような規模になるのか、世界は息を潜めている。それはともかく、米国と欧州主要国の対応を観察していると、中長期的には西側の防衛体制に対する路線の相違が顕在化し、米欧間の大西洋同盟あるいは北大西洋条約機構(NATO)そのものが変化せざるを得ないのではないかと考えられる。 ●英仏独が...
【第887回】混戦の韓国大統領選、二つの変数
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国大統領選挙は3月9日に投票日を迎える。2月13~14日に立候補届け出があり、15日から正式に選挙戦が始まった。与党「共に民主党」の李在明・前京畿道知事と第1野党「国民の力」の尹錫悦・前検事総長が大接戦を展開しており、選挙結果は予断を許さない。 ●野党一本化提案の衝撃 ここへ来て選挙戦に二つの変数が生まれた。第...
【第886回】石原氏は「超国家主義者」か
麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン 故石原慎太郎氏に関する英語メディアの追悼記事の多くは、石原氏を説明するのに「超国家主義者」という決まり文句を使った。 例えば、日本に拠点を置く作家ロバート・ホワイティングは、1990年に石原氏とインタビューをした時のエピソードをアジア・タイムズに寄稿し、その中で石原氏が海外で「超国家主義者」として知られていた、と書いた。 マシュ...
【第885回】5人の元首相の歴史捏造
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が原子力発電への投資を促進する方向を打ち出したのに対し、脱原発を主張する小泉純一郎氏ら日本の元首相5人が「(原発事故で)福島の多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」との書簡を欧州委のフォンデアライエン委員長宛てに1月27日付で送った。5人は小泉氏のほか、菅直人、鳩山由紀夫、細川護熙、...
【第884回】日本の主権を行動で示す尖閣海洋調査
国基研理事・東海大学教授 山田吉彦 1月31日、尖閣諸島を行政区域内に持つ沖縄県石垣市は、尖閣海域の海洋調査を実施した。この海域での海洋調査は、東京都が2012年に実施して以来である。 当時、石原慎太郎都知事は、東京都が尖閣諸島を購入して、商船や漁船の安全を守る通信施設や灯台を建設し、国際的な海洋環境研究所を設置することを計画した。しかし、民主党政権は都の購入を嫌い、計...
【第883回】国は企業を「人権リスク」から守れ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 自民党が「人権とビジネス」について提言を検討しているようだ。報道によれば、新疆ウイグル自治区などの人権状況が懸念される中国などを念頭に、企業が取引先等での人権侵害のリスクを調べて予防・対処する「人権デューディリジェンス(DD)」に焦点を当てるという。 欧州では人権DDを義務化する動きがあり、日本も企業の取り組みを進めるべく、政府と...
【第882回】理事就任を快諾してくれた石原慎太郎氏
国基研副理事長 田久保忠衛 2月1日の夜7時のニュースで石原慎太郎氏死去を耳にした時はギョッとした。同じ年で、華麗な活躍を続けてきた彼が元気になって軽いランニングもできるようになり、その動画を見たばかりだったから、衝撃も大きかったのかもしれない。 ●創成期の活力源に 何よりも、石原氏にはわが国家基本問題研究所が大変お世話になった。発足前の平成18年だったと思う。...