【第885回】5人の元首相の歴史捏造
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が原子力発電への投資を促進する方向を打ち出したのに対し、脱原発を主張する小泉純一郎氏ら日本の元首相5人が「(原発事故で)福島の多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」との書簡を欧州委のフォンデアライエン委員長宛てに1月27日付で送った。5人は小泉氏のほか、菅直人、鳩山由紀夫、細川護熙、...
【第884回】日本の主権を行動で示す尖閣海洋調査
国基研理事・東海大学教授 山田吉彦 1月31日、尖閣諸島を行政区域内に持つ沖縄県石垣市は、尖閣海域の海洋調査を実施した。この海域での海洋調査は、東京都が2012年に実施して以来である。 当時、石原慎太郎都知事は、東京都が尖閣諸島を購入して、商船や漁船の安全を守る通信施設や灯台を建設し、国際的な海洋環境研究所を設置することを計画した。しかし、民主党政権は都の購入を嫌い、計...
【第883回】国は企業を「人権リスク」から守れ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 自民党が「人権とビジネス」について提言を検討しているようだ。報道によれば、新疆ウイグル自治区などの人権状況が懸念される中国などを念頭に、企業が取引先等での人権侵害のリスクを調べて予防・対処する「人権デューディリジェンス(DD)」に焦点を当てるという。 欧州では人権DDを義務化する動きがあり、日本も企業の取り組みを進めるべく、政府と...
【第882回】理事就任を快諾してくれた石原慎太郎氏
国基研副理事長 田久保忠衛 2月1日の夜7時のニュースで石原慎太郎氏死去を耳にした時はギョッとした。同じ年で、華麗な活躍を続けてきた彼が元気になって軽いランニングもできるようになり、その動画を見たばかりだったから、衝撃も大きかったのかもしれない。 ●創成期の活力源に 何よりも、石原氏にはわが国家基本問題研究所が大変お世話になった。発足前の平成18年だったと思う。...
【第881回】骨抜き人権決議で終わらせるな
国基研企画委員・産経新聞月刊正論発行人 有元隆志 中国の新彊ウイグル、チベット、南モンゴルや香港での人権問題に関する決議が1日、衆院本会議で採択された。国会はこの決議採択で終わることなく、日本在住のウイグル人らから被害の実態を聴取し、人権報告書として公表すべきだ。 もともとこの決議は中国による人権弾圧への非難と、被害者救済の法整備へ向けた衆院としての決意を表明するはずだ...
【第880回】堂々と歴史戦を戦おう―佐渡金山
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 「聞く力」をぎりぎりまで発揮するせいか、「決める力」がないように見える岸田文雄首相だが、2月1日の期限を目前にした1月28日、「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦すると正式に表明した。 今後の焦点は、国際舞台において日本政府がどこまで事実に基づく主張を展開できるかに...
【第879回】ドイツはロシアの同盟国か
国基研副理事長 田久保忠衛 米保守系誌ワシントン・エグザミナーのトム・ローガン氏は「ドイツはもはや信頼できる同盟国ではなくなった」と突き放し、リベラル系のニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ロス・ドゥザット氏は「ドイツは一再ならずロシアの事実上の同盟国のように行動してきた」と、北大西洋条約機構(NATO)の裏切り者であるかのような表現をしている。2月7日にドイツのショル...
【第878回】経済・防衛同時デフレから脱出せよ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 25年間にも及ぶ日本のデフレーション(収縮)は国内総生産(GDP)のみならず、防衛支出にも及ぶ。経済と軍事が二本柱である国力が衰退し続けている。対照的に全体主義中国の国力膨張はめざましく、日本を飲み込む勢いだ。日本が安全保障を確保するためには、経済・防衛デフレから脱出するしかない。 ●「戦後レジーム」の呪縛 ストックホ...
【第877回】成長戦略・経済安保を妨げる電力コスト
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 日本経済の停滞が言われて久しい。今後の経済見通しでも、日本は先進国の中でも依然低迷している。政府も危機感を持ち、成長戦略は常に政権の重要政策となって、政府における会議や計画は枚挙にいとまがない。未来投資会議、成長戦略会議、成長戦略実行計画、グリーン成長戦略などなど。しかし、単なる看板の付け替え、お化粧直しの感も否めない。 経済成長...
【第876回】岸田首相は軍事力強化に邁進せよ
国基研企画委員・産経新聞月刊正論発行人 有元隆志 岸田文雄首相は中国が軍事的圧力を強める台湾の有事に備えるため、敵基地攻撃能力の保有を含めた日本の軍事力強化に邁進すべきだ。21日の日米オンライン首脳会談で、岸田首相は年内に策定する国家安全保障戦略などにおいて、敵基地攻撃能力の保有も含めあらゆる選択肢を排除せずに検討する方針を伝え、バイデン米大統領も「歓迎した」という。 ...