公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    日中韓、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が参加する地域包括的経済連携協定(RCEP)が署名された。人口、国内総生産(GDP)ともに世界の3割を占める巨大経済圏ができた。世界の内向き志向の中で、貿易自由化の進展は評価できる。しかし過大評価は禁物だ。貿易自由化のレベルは環太平洋経済連携協定(TPP)に比べてかなり見劣りする。関...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議を終えた記者会見での菅義偉首相の発言が波紋を呼んでいる。これまでの「自由で開かれたインド太平洋」と言わずに、「平和で繁栄したインド太平洋」と言い換えたのだ。  ●価値観外交のキーワード  「平和と繁栄」に反対する者はいないだろう。問題はそれをどうやって達成するかだ。軍事力を背...

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産経新聞正論調査室長兼月刊「正論」発行人 有元隆志    中国海警局の公船の度重なる周辺海域侵入によって尖閣諸島(沖縄県石垣市)が危険にさらされている。尖閣の実効支配を確たるものにするため、見習うべき国がある。ほかならぬ中国である。中国共産党は2003年に人民解放軍政治工作条例を改正し、世論戦、心理戦、法律戦の「三戦」による戦術で敵の力を削ぐよう指示している。日本版「三戦」で、攻...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    米大統領選でバイデン氏の当選が確実になった。バイデン政権における日本の対米戦略を考えるうえで、カギの一つは環境問題だ。バイデン氏は2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロを打ち出し、地球温暖化対策を目玉政策としている。具体的には、気候変動パリ協定に早期に復帰したうえで、クリーンエネルギーへの投資と環境規制の強化に力点を置く。 ...

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産経新聞台北支局長 矢板明夫    米民主党のバイデン前副大統領が7日、大統領選挙の勝利宣言を行った。「開票に不正があった」と主張するトランプ大統領(共和)との法廷闘争を控え、米国の混乱はしばらく続きそうだが、中国の習近平国家主席はバイデン氏の当選確実に胸をなで下ろしているに違いない。トランプ政権との約2年にわたる対立で、習政権は内政、外交ともに大きなダメージを受け、中国の外交関...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    10月26日、菅義偉首相は所信表明演説で、「2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を目指す」と宣言した。この基本方針には野党も表立って反論できない。加えて、菅首相は「安全最優先で原子力政策を進める」と明言した。脱炭素化に原子力発電所が必要なことをにじませ、安全な原発の新増設への端緒をつくろうとす...

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産経新聞台北支局長 矢板明夫    台湾の蔡英文総統は10月31日、国防部長(国防相)や外交部長(外相)ら政権の主要幹部が出席する「国家安全会議」を開き、台湾海峡で軍事的緊張が高まっていることについて「様々な事態を想定して、万全な準備を行うよう」と指示した。  中国軍は今年夏以降、台湾海峡周辺で軍事演習を何度も実施しただけではなく、軍用機を台湾の防空識別圏(ADIZ)に頻繁に侵...

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国基研理事・北海道大学名誉教授 奈良林直    「学術会議こそ学問の自由を守れ」と題した10月5日配信の「今週の直言」は大きな反響を呼んだが、今回はその続報として、日本学術会議を事実上乗っ取り、学術会議の権威を使って我が国の防衛研究を阻害してきた左翼組織の実態を明らかにしたい。  この組織は、大学での軍事研究に反対する団体と個人が参加して2016年9月に設立された「軍学共同反対...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    菅義偉首相の先週の東南アジア訪問は、中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の修辞に貫かれていた。菅首相は安倍晋三前首相が敷いたレールの上で、日米豪印4カ国安全保障対話(クアッド)を動かし、初外遊によって東南アジア諸国連合(ASEAN)中核国との連携を強化した。中国の習近平政権が周辺国への露骨な圧力外交をやめない限り、4カ国以外にも枠組...

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ビベカナンダ国際財団所長 アルビンド・グプタ    インドが今年の「マラバール」合同海軍演習にオーストラリアを招いたのは、画期的な決定だった。日米豪印4カ国が東京で外相会議を開いた直後の招待である。マラバールは1992年に米印間で始まり、2015年に日本が正式に加わった。豪州もやがてマラバールの正式メンバーとなりそうだ。  ●インドが安保協力へ大転換  豪州はかなり前から...

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