【第801回】米英関係に程遠い日米関係
国基研副理事長 田久保忠衛 バイデン米大統領の表現に従えば、「民主主義体制と専制政治体制の対立」の中で、とかくぼやけがちな印象を与えていた民主主義陣営が、米国を中心にようやく形を整え始めたと見ていい。6月13日に発表された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言には、世界が当面する諸問題が盛り込まれたが、中心は「台湾海峡の平和と安定」ならびに「新疆ウイグル自治区での人権...
【第800回】万全の感染対策で東京五輪を成功させよう
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 東京五輪の開催が1カ月半後に迫り、「命と五輪とどちらが大事か」という二者択一の議論が国会やマスコミをにぎわしているが、五輪の感染対策を万全にすることで、命と五輪を両立させるという三つ目の選択肢があることを指摘したい。なぜ、国会で「あらゆる感染対策をして五輪を成功させよう」という議論がされないのであろうか。国基研の櫻井よしこ理事長が...
【第799回】英国の太平洋戦略に中国の焦り
国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博 インド太平洋に目を向けた英国が、欧州勢の先陣を切って大きな一歩を踏み出したことを歓迎したい。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)11カ国は英国の加盟申請を受けて6月2日、閣僚会議で英国との交渉開始を決めた。その10日ほど前には、英空母打撃群が米海軍の駆逐艦とオランダ海軍のフリゲート艦を従え、インド太平洋へ向け7カ月間の航海に出た。米中間の...
【第798回】東京五輪開催に賛成する
国基研理事長 櫻井よしこ 東京五輪・パラリンピック中止論が叫ばれている。中止要求の主たる理由は以下の点に絞られる。➀多数の外国人選手や関係者の来日で、コロナウイルスの感染が拡大する➁日本人医師を五輪関係者の医療にとられて、国内医療体制が崩壊する➂五輪開催の莫大な出費を国民のために振り向けるべきだ➃緊急事態宣言で国民生活へのしわ寄せは甚だしく、五輪開催の意味はあるのか。 ...
【第797回】発電プラント製造能力は存亡の危機
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 4月12日付で国基研政策提言「脱炭素の答えは原発活用だ」を発表し、①24基の原発の新増設②日本の進んだ火力発電技術の輸出により二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献すること―を提案したが、どちらも実現のめどが立たない。その結果、日本を代表する重電メーカーの発電プラント製造能力は存亡の危機に直面している。 ● 原発も火力発電も頓...
【第796回】価値観外交を拒否した文政権の韓国
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅政権の韓国は、価値観外交を拒否した。21日の米韓首脳会談を見ると、そう結論せざるを得ない。 ●中国の名指し非難避ける まず、米韓共同声明には中国という言葉が一度も出てこない。菅義偉首相の訪米時の日米共同声明(4月16日)では、中国という言葉が5回登場し、そのうち2回で「威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩...
【第795回】ユニクロ輸入停止は「及び腰」人権政策への警鐘
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 5月10日、米国の税関当局がユニクロのシャツ輸入を差し止めたことが公表された。人権問題を巡る米欧と中国の対立によって日本企業も深刻なリスクに直面している。 27日~28日には主要7カ国(G7)貿易相会合が予定されている。議長国の英国は強制労働問題も議論する意向だ。中国の人権問題を最優先するタイ米通商代表とこの問題で共振し、及び腰の...
【第794回】入管法改正を実現せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 私は5月17日付の本欄で、送還忌避者(退去命令を受けながら送還に応じない外国人)の処遇などに関する出入国管理法改正案に関する論議に国益への目配りが不足しているとの問題提起をした。しかし、政府・与党は18日、今国会での改正案成立を断念した。その結果、送還忌避者の増加による収容長期化や仮放免者逃亡などの懸案が解決できず、収容者の...
【第793回】入管法改正議論に欠ける国益への目配り
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 今、国会では、送還忌避者(退去命令を受けながら送還に応じない外国人)の処遇などに関する出入国管理法改正案をめぐり、与野党が激しく対立している。 国基研は平成30年12月、外国人労働者の受け入れを拡大する前回の入管法改正の際、中国人永住者が急増していることに危機感を持ち、永住許可条件の厳格化を求める提言を行い、参議院はその...
【第792回】警戒すべき「EUの中庭」の中国傾斜
追手門学院大学教授 佐藤伸行 中国に対する危機意識があまりにも希薄ではないかと批判されていた欧州が、ようやく目を覚ましつつある。 5月初めの主要7カ国(G7)外相会議共同声明は中国の軍事的圧力が強まる台湾情勢に言及し、欧州が中国牽制で日米と足並みを揃えた。それに続き、インド太平洋地域の戦略的重要性を再認識したフランスは日米と共に離島防衛の合同演習を実施した。欧州連合(E...