公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    10日に河野太郎氏が自民党総裁選挙への立候補を表明し、候補者は岸田文雄氏、高市早苗氏を含めた3人となった。これまでになく厳しい安全保障環境の下で、3候補の国家安全保障に取り組む姿勢や政策について評価してみたい。  ●イージス・アショアを葬った河野氏  昨年6月、当時の河野防衛相は秋田県と山口県の2カ所で進められていた陸上配備型弾道ミ...

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産経新聞月刊正論発行人 有元隆志    自民党総裁選(29日投開票)に出馬している各候補に問われるのは、日本を取り巻く安全保障環境の悪化に対処する覚悟があるかだ。  中国・武漢発の新型コロナウイルス対策に当面全力を注ぐべきことは言うまでもないが、急速に軍備を拡張する中国は力による台湾の統一も辞さない構えを示している。各候補は中国の脅威が明白になってきた現状について語り、そのうえ...

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産経新聞月刊正論発行人 有元隆志    菅義偉首相の退陣表明に伴う自民党総裁選に河野太郎行政改革担当相が出馬の意向を示している。河野氏は世論調査でも「ポスト菅」の上位に位置し、有力視されている。自民党は国会で多数を占め、次期総裁は直ちに首相に就任する。人気は高い河野氏だが、以下の理由から首相にふさわしくないと指摘したい。  ●女系天皇を容認  河野氏は1月からワクチン担当...

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国基研副理事長 田久保忠衛    外務省も防衛省も頭が痛いだろう。アフガニスタンからの邦人等退避措置をめぐって、日本大使館員は現地の邦人を置き去りにして逃げた、自衛隊派遣が遅かった、救出できた邦人は1人だけだったなど、マスメディアからさんざんたたかれ、これから野党の追及も始まるだろう。が、見当外れの政府批判は御免被りたい。問題の根源は深いところにあるのだ。  ●空白の10日...

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産経新聞月刊正論発行人 有元隆志    9月17日告示、29日投開票の日程が決まった自民党総裁選で、候補者たちに問いたいことがある。それは日本を取り巻く現状をどのように分析し、日本をいかなる方向に導いていこうとしているのかということだ。  野党第一党の立憲民主党は日本を壊滅の危機に陥れた旧民主党政権の残党が中心メンバーであり、政権担当能力はない。次期自民党総裁には日本の首相とし...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    アフガニスタンの地下には、膨大な量の鉱物資源が眠っている。バイデン米政権がアフガニスタンから米軍の拙速な撤退を行い、タリバンの実権掌握を許したことで、この鉱物資源が中国の手に転がり込む恐れが出てきた。  ●レアアースも確認  アフガニスタンの鉱物資源の調査は、米地質調査所(USGS)のジャック・メドリン氏のチームによって2...

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産経新聞月刊正論発行人 有元隆志    イスラム原理主義勢力タリバンがアフガニスタンで20年ぶりに実権を掌握した。米国に歩調を合わせて、これまで総額約7000億円をつぎ込み、アフガニスタンの「自立」を支援してきた日本にとっても、今回の事態は「敗北」と言ってもいい。  筆者は2001年9月11日、米ニューヨークのダウンタウンに住んでいた。世界貿易センタービルに2機目の飛行機が突入...

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国基研副理事長 田久保忠衛    要するに、軍事力では世界最強の米軍が、イスラム原理主義勢力の一つに過ぎないタリバンに、20年間戦って敗北を喫したということだ。タリバンはスポークスマンの会見で、国際社会に柔軟に対応していくかのような姿勢を取っているが、かつて偶像破壊と称してアフガニスタン中部バーミヤンの石仏を破壊する暴挙を働いたタリバンが急に穏健路線に転ずるとは考えにくい。あると...

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国防安全研究院(台湾)准研究員 林彦宏    中国の軍事活動拡大により、台湾海峡の緊張が高まっている。台湾国防省の発表によると、中国人民解放軍の軍用機が台湾南西の防空識別圏(ADIZ)に侵入した回数は、2021年1月1日~8月8日に計125日、367機に達した。台湾空軍は、戦闘機を常時上空待機させる「空中哨戒」で対応しているほか、地上から無線警告を発し、地対空ミサイルのレーダーシ...

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麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン    戦場での超現実的な経験を説明するのに、「戦争の霧」という言葉が復員軍人によってしばしば使われる。戦闘を体験した人は、周囲の状況からの断絶感、方向感覚の消失、周りの出来事や時間の経過についての認識の喪失について語る。  戦勝国の米国にとって、第2次世界大戦の「戦争の霧」はずっと前に晴れた。一方、敗戦国の日本は長く「戦後の霧」に包まれてき...

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