公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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産経新聞正論調査室長兼月刊「正論」発行人 有元隆志    菅義偉首相は9月25日夜、中国の習近平国家主席と就任後初めて電話会談を行い、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での中国公船による挑発行為について「懸念」を伝えた。習主席の国賓来日への言及はなかった。武漢ウイルスの感染状況、香港や新疆ウイグル、内モンゴル両自治区での人権問題を考えれば、国賓来日問題を取り上げるようなタイミングではな...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    やるべきことが山積する菅義偉新首相が、逆にやるべきでないのは中国の習近平国家主席を国賓待遇で迎えることである。中国包囲網の影にいら立つ中国は、お人好しとおぼしき国家を突破口に、米国の同盟国を一つずつはがしにかかる。米欧関係にくさびを打ち込むことを試みるとともに、訪日圧力で日米同盟を弱体化させようとする。米国の中国封じ込めを失敗に終わらせる...

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国基研副理事長 田久保忠衛    「国民のために働く」とか「スピード感をもって実行する」という新味のない言葉が流行はやり、菅氏グッズまで売り出されるなど、菅義偉首相の評判は滑り出し好調だが、率直に言って不安がある。自民党総裁選を戦った菅、石破茂、岸田文雄の3候補に共通するのは国家観の欠如だ。国際情勢の中で日本がいかなる位置にあるのかを正確に把握しない限り、国家観は生まれてこない。...

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国基研評議員・元陸上幕僚長 岩田清文    「中華民族の偉大な復興」を掲げ覇権の拡大を続ける中国は、西太平洋において海空統合演習を繰り返し、将来的に米軍をこの地域から追い出そうとしている。中国が保有するとされる2000発近い中距離弾道・巡航ミサイルは、沖縄からグアムまでを射程に収め、対抗手段としては、米国の戦略核を主体とする核抑止力に頼る他ないのが現状である。加えて中国の最新の極...

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国基研評議員長・尚美学園大学名誉教授 梅澤昇平    立憲民主党が国民民主党の大部分などと合流し、野党の大きな塊が生まれたが、旧「民主党」の焼き直しにすぎず、新鮮味に欠ける。新代表選びの討論会でも、国内に目を向けた議論ばかりで、厳しい国際情勢を睨んでの発言はなかった。同じことを同時期に行われた自民党総裁選の論議でも感じたが、日本の政治家の多くは世界の戦後体制に大変化が生じているこ...

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静岡大学教授 大野旭(楊海英)    南モンゴル(中国の内モンゴル自治区)は今、大きく揺れている。小学生から高校生までの児童・生徒、そしてその保護者とメディア関係者、大学教師、公務員など、モンゴル人は民族を挙げて中国政府の文化的ジェノサイド政策に反対の声を上げている。  ●中国が企む歴史と文化の抹殺  ことの発端は6月末に明るみに出た政策だ。今秋から逐次、モンゴルの民族学...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    中国が西太平洋の米軍事拠点グアムを中国本土から直接攻撃できる中距離弾道ミサイル(IRBM)DF(東風)26を急速に増強している。米国はこれに匹敵するミサイルを保有しておらず、西太平洋における米中ミサイル戦力の不均衡が拡大している。日本は中国の軍事的脅威に対抗する民主主義陣営の一員として、米国が開発する新しい中距離ミサイルの日本国内への配備受け...

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産経新聞正論調査室長兼月刊「正論」発行人 有元隆志    安倍晋三首相の退陣表明に伴う自民党総裁選は菅義偉官房長官の圧勝が予想されている。「菅政権」には、中国・武漢発の新型コロナウイルス感染防止と経済対策に取り組むことはもちろんだが、米国が中国の脅威に対応していく構えを強めるなか、日本としても米国との同盟関係を軸に、自由主義、民主主義を中心とした国際秩序を支える一員としての役割を...

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国基研理事長 櫻井よしこ    病を得た安倍晋三首相は13年前、崩れ落ちるように政権の座から去った。だが現在の首相は見違えるようだ。病を抱えながらも強く立ち続けている。辞任に先立って、予見し得る日本国の危機に対する手も講じていた。実力者として今後の日本を睥睨へいげいするかのような頼もしさが窺うかがえる。首相は退いても自民党の中心軸であり続けるだろう。  ●退任後への見事な目...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    安倍晋三首相の退陣と近づく米大統領選挙という日米二つの政治空白は、拡張主義の中国にとって領土的野心への誘惑になりかねない。武漢発の新型コロナウイルスの世界的大流行以来、発生源である弱みを見せまいとして、周辺国への中国の軍事行動が目立つからだ。対中抑止のカギとして、日米同盟を核とした日米豪印4カ国戦略対話(クアッド)を強化、拡大して中国包囲...

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