【第837回】改憲へ岸田氏の熱意を信じたい
国基研副理事長 田久保忠衛 自民党内でもハト派と見られてきた岸田文雄新首相が「少なくとも(党総裁の)任期中に、時代の変化に対応した改憲をしっかり進めるべきだ」と述べた(9月17日の記者会見)。安倍晋三元首相の下で作成された①9条への自衛隊明記②緊急事態条項の創設③参院選の合区解消④教育の充実―という4項目の改正を実現したいとの熱意を表明したものだ。改憲を望む人々にとっては勇...
【第836回】台湾「歓迎」、中国を「要観察」に―TPP加盟申請
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 中国の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請を受けて、台湾も加盟を申請した。前稿(第831回)で「台湾も早期に加盟申請すべきだろう」と指摘したが、台湾の動きは予想以上に早かった。昨年署名された「地域的な包括的経済連携協定」(RCEP)への参加は中国によって阻まれ、このままではアジアの経済圏で孤立しかねないとの危機感があった。 ...
【第835回】「こども庁」論議に欠落している「教育の論理」
国基研理事・麗澤大学大学院客員教授 髙橋史朗 自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部が「こども庁」創設と「こどもまんなか基本法(仮称)」制定に向けて準備を進めている。有識者会議が発足し、年内にも取りまとめが行われ、同庁設置法案を含む関連法案が来年の通常国会に提出される見通しである。これまであまり議論されなかった問題点を指摘したい。 ●「家庭」軽視は不当 第一は...
【第834回】河野氏の恫喝発言を裏読みする
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 週刊文春が暴露した河野太郎行政改革担当相の資源エネルギー庁幹部に対する恫喝で、河野氏は原子力発電所が北朝鮮のミサイル攻撃を受けたら危険だとまくし立てている。その河野氏は防衛相時代に、北朝鮮などのミサイル攻撃を防ぐ陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の建設を取りやめた張本人だ。原発をミサイル攻撃の危険にさらし、廃棄に持ち込も...
【第833回】次期首相はクアッドの一層の進化を図れ
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 インド太平洋地域の主要な民主主義国による安全保障協力の枠組み「クアッド」(日米豪印4カ国で構成)が初の対面による首脳会議を24日ワシントンで開いた。専制国家・中国への対抗を念頭に置きつつ、新型コロナウイルスや気候変動といった非軍事的な脅威への対応、新興技術の育成を含む経済安全保障、開発途上国のインフラ整備などが今後、クアッドの協力の柱となる方...
【第832回】中台のTPP加盟を仕分けする日本の知略
国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博 環太平洋経済連携協定(TPP)の11カ国は、米国の巨大経済力を急追する中国の加盟申請を拒否できるのか―。米英豪3カ国が対中抑止の新しい安全保障の枠組み「オーカス」を発足させると、中国はこれに対抗するかのようにTPP加盟を申請した。台湾も間髪を入れずに名乗りを上げ、自由貿易協定であるはずのTPPがにわかに政治化してきた。 TPPにはもと...
【第831回】中国のTPP加盟申請にどう向き合うべきか
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。昨年11月の習近平国家主席の積極発言からある程度予想された動きだ。中国の狙いは、巨大市場を武器にアジアの経済秩序の主導権を取ること、米国の対中包囲網への揺さぶり、さらには反保護主義のアピールといった面もあろう。さらに「バイデン米政権は通商戦略の優先度が低く、何も動けないだろ...
【第830回】自民に改めて問う―「河野首相」でいいのか
産経新聞月刊正論発行人 有元隆志 自民党総裁選(29日投開票)は河野太郎氏の優勢が伝えられている。だが、17日の告示日からの記者会見、討論会を聞いていると、河野氏は日本を率いる指導者としての準備が出来ていると思えない。自民党に改めて問いたい。「河野太郎首相」でいいのか。 ●危うい防衛・エネルギー政策 国家基本問題研究所は、総裁候補4人に「国を守る覚悟を示せ」と迫...
【第829回】二つのアレルギーで原潜協力から疎外された日本
国基研評議員兼企画委員 太田文雄 米国、英国、オーストラリアは15日、米英両国が豪州の原子力潜水艦建造に技術協力することを柱とする安全保障の新たな枠組みを創設したと発表した。3国の国名をつなげてAUKUS(オーカス)と名付けられたこの枠組みに日本が入れないのは、原潜を建造する意志が日本にないからである。 同日、韓国は潜水艦から弾道ミサイルの発射実験に成功した。日本には潜...
【第828回】河野氏は脱原発を封印していない
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 河野太郎氏は9月10日、自民党総裁選出馬表明の記者会見で、脱原発に関する質問に対し、「(原子力発電所の)安全性を確認して、使えるものは再稼働して使っていく」と答えた。このため大手各紙は「総裁候補として脱原発を封印」と報じたが、とんでもない誤報だ。河野氏は脱原発路線を封印などしていない。 ●再処理施設の運転開始阻止を主張 ...