公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    昨年12月28日、文化庁文化審議会は新潟県の佐渡金山を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録推薦候補に選定した。しかし文化庁は、選定は推薦の決定ではなく、今後、政府内で総合的に検討すると注釈を付けた。2月1日がユネスコへの推薦書提出の期限だ。ところが、1月も半ばを過ぎたのに、まだ推薦が決まらない異常事態が続いている。...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    ウクライナ問題をめぐりロシアと西側の緊張が続く中で、ロシアが米国に突き付けた要求の中に、日本の安全保障を脅かしかねないものが含まれていることを見落としてはならないだろう。バイデン米政権がロシアの要求を丸飲みすることはなさそうだが、それと気付かないまま日本の利益を損ねるような譲歩をしないように、わが国は交渉の行方に注意を払っていく必要がある。 ...

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国基研評議員 岩田清文    昨年10月、台湾の国防部長(国防相)が、2025年には中国の全面的侵略が可能になるとの認識を示した。また昨年6月、米上院軍事委員会においては、2027年以降は中国の台湾侵攻が可能なレベルに上がるとの答弁が米インド太平洋軍司令官により行われた。これらを前提にすれば、最悪の場合、2025年~2027年以降、中台紛争勃発の危険度が高まる。  ●迫りく...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    英グラスゴーで昨年開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では「脱石炭」に40カ国余りが合意したが、中国や東南アジアで建設中の石炭火力発電所は200カ所に迫る。一方、天然ガスや原油の値上がりは著しく、深刻な電力不足とエネルギー価格の高騰が欧州経済に影を落としている。我が国も事情は同じだ。ドイツをはじめとして...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    7日、日本と米国の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(いわゆる「2+2」)がオンライン方式で行われた。6日には自衛隊とオーストラリア軍が相手国を訪問する際の法的地位などを定めた日豪円滑化協定が締結された。この二つの軍事的な意義について考察してみたい。  ●極超音速対抗技術を共同研究  日米両国は2+2で、中国、ロシア、北...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    1月5日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて、防衛省は、高度50キロ、飛距離500キロ、速度はマッハ5を超える新型との分析結果を示した。日本を射程に収め、核弾頭を搭載できる極超音速ミサイルが北朝鮮によって配備されるのは時間の問題と見なければならない。一方で、中国の同種ミサイルの開発は急速かつ大規模に進んでいる。  ...

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国基研理事長 櫻井よしこ    令和4年の日本は有事の真っ只中だ。世界大激変の中で、日本国首相には歴史的使命がある。1億2000万人余りの真面目な国民の知恵の力、技術力、経済力、軍事力、勇気の全てを活かして、より良い日本、より良い世界を創るのに貢献する責任だ。岸田文雄首相の信念と実行力が問われる1年となる。  ●力強さに欠けた100日  11日で政権発足から100日を迎え...

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国基研理事・国士舘大学特任教授 百地章    安定的な皇位継承策等を議論する政府の有識者会議が12月22日、最終報告書をまとめ、岸田文雄首相に提出した。  ●画期的な旧宮家からの養子案  報告書は、皇嗣秋篠宮殿下から悠仁親王へと続く男系男子による皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないとの前提のもとに、皇族数を確保する基本的な方策として次の2案を示した。  第一は、女性...

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国基研評議員兼企画委員 太田文雄    12月15日、米上院は2022会計年度(21年10月~22年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案を可決した。また24日には、日本の令和4年度予算案が閣議決定された。両国の防衛(国防)予算の中で、対中抑止という観点から注目すべき点を論じてみたい。  ●リムパックは日台軍事交流の媒体に  米国防権限法案では、来年行われる米海軍主催...

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国基研副理事長 田久保忠衛    新年に向けての国際情勢には三つの大きな潮流があると思う。第一は、戦後確立されたかに見えた国連などの国際機関が機能不全を露呈し始めたことだ。トランプ前米政権は国際機関からの脱退を開始したが、それをバイデン現政権が修正しつつある。次の政権がどのような行動をするか不明だ。第二は、中国のすさまじい勢いと言っていい台頭である。国力の増大だけならまだしも、他...

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