公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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2022年7月の記事一覧

国基研企画委員・韓国研究者 荒木信子    韓国は政権交代をしたが、日韓関係の今後はどうなるだろうか。この70年余りを振り返ることで考えてみたい。  日韓関係において歴史認識問題が登場したのは1980年代であり、決定的に比重を増したのは慰安婦問題が浮上した1990年代からである。  認識の問題であるから妥協点を見つけるのは難しいが、ますます問題が複雑になる理由は、韓国が情緒的...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    電力需給は今冬へ向けて厳しい状況が続く。岸田文雄首相は今月、冬までに最大9基の原子力発電所を再稼働するよう指示を出したが、電力会社が航空機テロ対策の工事を終えて再稼働することを決めている原発も含むので、新味に乏しい。しかも、対象となる原発は西日本のものに限られ、電力需給の逼迫ひっぱくが特に懸念される東日本の原発が入っていない。 ...

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日本エネルギー経済研究所客員研究員 十市勉    世界は、ロシアによるウクライナ侵略を契機に、1970年代の石油ショック以来の深刻なエネルギー危機に直面している。燃料や食糧価格の高騰も相まって、約40年ぶりのインフレの加速と景気後退の瀬戸際に立たされている。  欧州連合(EU)は、先進7カ国(G7)と協調して対ロ制裁の一環として、ロシア産石油の輸入を年末までに9割削減することを...

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落星台経済研究所(韓国)研究委員 李宇衍    ドイツ在住韓国人の団体によって首都ベルリンに設置された旧日本軍の慰安婦像の撤去を求めて、私たち韓国人グループは6月末に現地を訪れた。  問題の慰安婦像は、在独韓国人団体「コリア協議会」がベルリン中心部のミッテ区の許可を得て、2020年9月に設置した。ベルリンを訪れたのは、1月に結成された「慰安婦詐欺清算連帯」(本部ソウル)の朱玉順...

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国基研企画委員兼月刊「正論」発行人 有元隆志    安倍晋三元首相の暗殺で、警備体制の見直しとともに、危機管理の在り方も問われている。日本は来年5月に先進7カ国首脳会議(G7サミット)を広島で開催するが、危機管理体制を抜本的に見直さないと、失墜した警備への信頼を取り戻すことはできない。  ●開催されなかったNSC  7月8日、安倍元首相が銃撃されたことを受けて、岸田文雄首...

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自民党政務調査会長・衆院議員 高市早苗    第1次安倍内閣退陣の後、福田内閣、麻生内閣を経て、平成21年秋の衆議院選挙では民主党が政権を取り、自民党は下野した。翌平成22年2月5日、同志議員とともに、既に体調が回復しておられた安倍晋三議員を会長に据えて「創生『日本』」という派閥横断型のグループを発足させた。  私は副会長だったが、同じく副会長には古屋圭司議員、下村博文議員、菅...

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国基研理事長 櫻井よしこ    安倍晋三元首相が暗殺された。最強の指導者を奪われたことへの不安、テロへの心からの憎しみと憤り、テロを許す国であってはならないとの国民の危機感が、暗殺直後に行われた参議院議員選挙で自民党に歴史的大勝をもたらした。  ●動画が映し出す弛緩した日本  安倍氏暗殺の現場を撮った動画には、わが国の弛緩しきった姿が写されている。1発目の銃弾は外れ、2....

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国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志    自民党の大勝に終わった参院選は、同時に野党の存在意義を問い直すこととなった。野党第1党の立憲民主党が改選23議席を大きく割り込んだのは、現実的な安全保障政策を打ち出さなかったことも大きい。  ●ドイツ社民党との違い  立憲民主党の泉健太代表は記者会見で「今の自民党の政治に不満はあれども、それ以外に政権を任せられる...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    6月30日、ロシアのプーチン大統領は、日本の商社が出資する極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の運営権をロシア政府が設立する新法人に移行する大統領令に署名した。現在サハリン2の権益すなわち株式資産を有する外国企業は、ロシア側が示す条件に同意すれば新法人の株主として参画できる。同意しなければ、サハリン2からの撤退を余儀なく...

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国基研理事・北海道大学名誉教授 奈良林直    6月下旬の35度を超える酷暑の中で、東京電力管内に電力需給逼迫ひっぱく注意報が連日発令された。寒波が到来した3月に一段上の「警報」が出されたのに続く事態だ。電力が不足する根本的な原因は、静岡県の浜岡原子力発電所から北の多数の原発が再稼働していないことにある。つまり、原発への依存度をできる限り減らし、不安定な太陽光などの再生可能エネル...

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国基研企画委員兼研究員 湯浅博    欧州とインド太平洋の民主国家群が、ユーラシア大陸の専制国家を取り囲むように手を結んだことは歴史的な前進であった。北大西洋条約機構(NATO)が採択した今後10年の指針「戦略概念」は、ロシアを「直接的な脅威」に、中国を「体制上の挑戦」と位置付けて、新冷戦の回帰不能点を超えた。その中露枢軸と東で対峙する日本は、対露制裁で欧州と足並みをそろえ、イン...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    先週は欧州で先進7カ国首脳会議(G7サミット)がドイツで、続いて北大西洋条約機構(NATO)拡大首脳会議がスペインで開かれ、岸田文雄首相が出席した。最大の懸案はウクライナへの侵略を続けるロシア対策だが、一連の首脳声明は威力に欠ける。プーチン・ロシア大統領の盟友でロシアの外貨確保に協力する習近平中国国家主席(共産党総書記)を押さえ込...

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