【第702回】米が中国へ全面巻き返しを開始
国基研副理事長 田久保忠衛 中国の王毅国務委員兼外相は7月17日にロシアのラブロフ外相と電話会談をした際に、「(米国は)国際関係の基本ルールを破っている」と批判し、共に対抗しようと呼び掛けた。因果の関係を知ったうえでの発言かどうか。国際秩序の現状変更を求めてきたのは中国で、これに対する激しい応戦が政治、経済、軍事、イデオロギー、サイバー、宇宙、技術などすべての分野で米国によ...
【第701 回・特別版】『反日種族主義』著者らの戦い
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 7月2日、韓国与党「共に民主党」所属で国会の外交統一委員長である宋永吉議員が、元慰安婦や元戦時労働者の遺族らとともに国会内で記者会見を開き、日韓でベストセラーになった『反日種族主義』の編著者李栄薫氏と、講義中に『反日種族主義』を取り上げて大学当局から懲戒処分を受けた柳錫春・延世大教授らを「歴史歪曲があまりにも深刻で到底黙過で...
【第700回】天は自ら助くる者を助く
国基研副理事長 田久保忠衛 トランプ政権の外交政策の内幕を暴露する著書を出版したボルトン前米大統領補佐官は最近、産経新聞とのインタビューで、トランプ大統領は従来の米大統領とは違って本当に米軍を撤収させるリスクがあり、経費負担の増額要求をもっと真剣に受け止めるべきだと語った。 昨年、トランプ大統領は、6月25日にブルームバーグ通信で報道されたのを皮切りに、米国だけが防衛義...
【第699 回・特別版】日本の先端技術を海外流出から守れ
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、計算速度などを競う世界ランキングで「4冠」を獲得した。旧民主党政権の事業仕分けで、「スパコンは2位では駄目か」と予算を大幅に削られ、2011年6月に「京」が出した毎秒8162兆回の記録の後、日本は中国に負け続ける状況が続いていた。富岳は既に新型コロナウイルス対策にも活...
【第698回・特別版】静岡知事は国益の損失を認識しているか
国基研企画委員兼研究員 太田文雄 6月26日、川勝平太静岡県知事は金子慎JR東海社長と会談、静岡工区内の水資源への影響を理由にリニア中央新幹線の工事を認めなかった。このため、当初予定されていた2027年の開通が困難となった。 中国はリニア新幹線に携わった約30名の日本人技術者を引き抜いて、自国でリニア新幹線を開発している。昨年11月14日の中国共産党系英字紙チャイナ・デ...
【第697回・特別版】与党は中国への過剰な忖度をやめよ
産経新聞正論調査室長兼月刊「正論」発行人 有元隆志 中国への過剰な忖度そんたくはやめるべきだ。中国の香港への統制強化を目的とした香港国家安全維持法(国安法)施行に対する自民党と公明党の対応である。主要野党が談話などでいち早く批判したのとは対照的に、与党は正式な談話を出していない。なかでも自民党は部会で習近平国家主席の国賓来日の「中止」を求める非難決議案をまとめたにもかかわら...
【第696回】対中ビジネスに安全保障マインドを
国基研企画委員・中部大学特任教授 細川昌彦 米中対立が激化する中で、日本の経済界の安全保障意識が懸念される。もちろん巨大な中国市場のビジネスチャンスは無視できない。しかし、同時に安全保障リスクを頭に置かなければ、米国の虎の尾を踏むことにもなりかねない。 2018年8月、米国は2019年度国防権限法で、ファーウェイ(華為技術)など中国企業5社を安全保障上の懸念により政府調...
【第695回・特別版】ボルトン回顧録に見る米朝関係
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 トランプ大統領再選に向けて活動している米保守派が、ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の回顧録を「裏切り」と強く批判するのはよく分かる。リベラル派が大統領に否定的な記述のみを取り上げてニュースにしていることの裏返しと言える。 しかし、この回顧録の積極的意義も見逃すべきではないだろう。米朝交渉の実態がより明瞭になっ...
【第694回】今こそ敵基地攻撃能力保有を
産経新聞正論調査室長兼月刊「正論」発行人 有元隆志 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画断念を機に、敵基地攻撃能力の保有に踏み切るべきだ。「迎撃ミサイルを発射後、ブースター(第1段ロケット)を確実に演習場内に落とすことができない」として、計画停止を発表した河野太郎防衛相の対応は稚拙であったが、これを奇貨として、これまで日本の防衛政策を縛ってきた極端な「専守...
【第693回・特別版】北朝鮮の第2の首領になった金与正氏
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮は金正恩独裁政権から金正恩・与正兄妹独裁政権へ移行した。金正恩労働党委員長の健康状態がかなり悪いことを意味する。6月8日、本コラムでは、与正氏が4日に談話を出して、脱北者が北朝鮮へ風船ビラを送ったことを口汚く罵り、それを黙認した韓国政府に南北連絡事務所の閉鎖や南北軍事合意破棄もあり得ると脅したことを、権力委譲の兆候と指...