【第758回】空しく響いた「団結」の呼び掛け
国基研副理事長 田久保忠衛 バイデン米大統領の就任演説の全文を読んだが、あまりにも「民主主義」の説明と「団結」の必要性が繰り返されているので、正直に言って、いささかうんざりした。この二つのキーワードを強調すればするほど、トランプ前大統領に票を投じた7400万人の神経を逆なでし、非民主主義的行動を挑発し、対立を呼び戻さないだろうか。米国は南北戦争以来の深刻な対立を秘めながら前...
【第757回】北朝鮮党大会、金与正氏降格の背景
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮の平壌で1月5~12日に朝鮮労働党第8回大会が開かれた。大会では初日から3日間をかけて金正恩委員長が活動報告を行い、「国家核武力」を完成させたことを自身の業績として強調し、今後も核兵器を開発すると明言した。多弾頭核ミサイル、固体燃料の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を続け、原子力...
【第756回】「自由で開かれたインド太平洋」の維持が重要
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 1月20日のバイデン米大統領就任を前に、次期政権でアジア政策を統括する「インド太平洋調整官」という幹部ポストがホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)に新設され、カート・キャンベル元国務次官補の起用が決まった。次期政権の上層部で数少ないアジア通として、キャンベル氏には、法の支配に基づく地域秩序の構築を目指す「自由で開かれたインド太平洋」戦略...
【第755回】自由世界の勝利へ日本は戦え
国基研理事長 櫻井よしこ 四海波高し。米中両大国の常軌を逸した振る舞いで幕を開けた今年、国際社会の直面する危機は尋常ではない。危機の本質は、世界が膨張する中国に飲み込まれることだ。 その中で日本がどのように自由陣営に貢献できるかを問うときだ。私たちはかつて列強の脅威に耐え抜いた。今回、中国共産党の脅威をかわし、世界に日本の道を示せるか。現在の危機は黒船来航から始まった1...
【第754回】韓国の不当判決に事実に基づき反論せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 また韓国の裁判所がひどい判決を下した。1月8日、ソウル地裁は日本国に対して、元慰安婦12人に、1人あたり1億ウォン(約950万円)の慰謝料を払えと命じた。 国際法には、国家は他国の裁判の被告にならないという「主権免除」の原則がある。国家が互いの主権を尊重する外交関係の基本だ。ところがソウル地裁は、慰安婦制度を「主権免除」...
【第753回】ワクチン開発に貢献した米軍事研究機関
防衛省防衛研究所 社会・経済研究室長 塚本勝也 米国では新型コロナウイルスの感染拡大から1年足らずのうちにワクチンが開発され、接種が開始されている。この前例のない急ピッチのワクチン開発で存在感を高めたのが、米国防総省の研究機関である国防高等研究計画局(DARPA)であった。 DARPAは、人工衛星の打ち上げでソ連に先を越された1957年の「スプートニク・ショック」の翌年...
【第752回・特別版】夫婦別姓の議論は家族の形が問われている
国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師 工藤豪 今月25日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画において、一つの焦点となっていたのが「選択的夫婦別姓」に関する議論である。最終的には、「家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影...
【第751回】米新政権の誕生は日本の分水嶺に
国基研副理事長 田久保忠衛 今年の国際情勢の十大ニュースを選び出し、それぞれに論評を付け加えるマスメディア各社に倣うのは、あまりにも陳腐だ。一つだけ選択するとすれば、米大統領選挙で民主党のバイデン氏が当選したことだろう。選挙期間中に会った米国人から「お前はトランプ大統領が好きか嫌いか」との質問を例外なく受けたし、リベラル系新聞のトランプ批判も目にしたが、米国民が国際情勢を正...
【第750回・特別版】今の韓国がG7に招かれる資格はない
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 文在寅政権下の韓国は、自由民主主義国連合に入る資格があるのか。 来年の先進7カ国(G7)議長国である英国のジョンソン首相は、インド、オーストラリア、韓国をG7サミットにゲストとして招くと発表した。英政府は声明で「共有する利益を推進し共通の課題に取り組むため、志を同じくする民主主義国家と協力していく」と説明した。英政府は中...
【第749回・特別版】次亜塩素酸水の活用で医療崩壊を防げ
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。このため、政府が経済対策の目玉としたGoToトラベルも一時停止に追い込まれ、各種世論調査で菅政権の支持率は10ポイント以上も低下した。政権の危機になりかねない。しかし、我が国の感染防止対策は「3密」の回避とマスク着用、手指の消毒にとどまっている。現在の新型コロナ対策に欠落しているのは、サイ...