公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

今週の直言

  • HOME
  • 今週の直言

国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    安倍晋三首相が北朝鮮の独裁者金正恩氏と「ただ会うだけでは意味がない」から「無条件で会う」へ表現を変えたことが、宥和姿勢への転換ではないかと一部に懸念を呼んでいる。しかし、安倍首相はトランプ米大統領を通じ、「拉致被害者は全部で13人、うち8人は死亡」という北朝鮮の従来の説明は受け入れられないことなど、対北朝鮮支援の「条件」を...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員 冨山泰    中国の勢力圏拡大構想「一帯一路」は海外における新たな中国軍基地の建設を促すとして、米政府が警戒を強めている。中国政府によって一帯一路の一部と位置付けられた北極圏では、中国の戦略原子力潜水艦が配備される可能性も指摘されている。今や一帯一路は軍事的意味合いを抜きにして語れない。  ●米国防総省が報告書で警告  米国防総省は5月2日、中国の...

続きを読む

国基研副理事長 田久保忠衛    「令和」の意味について講釈はまだ続いているが、それは専門家に任せよう。指摘したいのは2点だ。一つは、異常なほどの皇室フィーバーが生まれながら、日本の国柄は何かという真面目な議論がなされていない。二つは、NHKの報道にそれとなく登場する「反戦平和」のイデオロギーの存在だ。  ●日本の「国柄」を対外発信しよう  日本という国家が立憲君主制なの...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    朝鮮人戦時労働者問題で、関係する日本企業の韓国内財産の差し押さえが実行されたことを受けて、日本政府は安倍晋三首相の指示により対抗措置の準備を進めている。麻生太郎副総理兼財務相は3月12日の衆院財務金融委員会で、対抗措置として、①関税引き上げ②送金停止③ビザ発給停止―を例示した。それ以外に、特定産品の輸出禁止や投資制限などが専...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員 冨山泰    習近平中国国家主席が力を入れる「一帯一路」構想は、世界的規模で中国の経済的利益や政治的影響力を拡大するだけでなく、完成したインフラが中国に軍事利用される可能性があるなど「地政学的リスク」も大きい。その実態が、最近公表された米国の研究報告書で浮き彫りになった。  ●米研究所が中国10事業を検証  米国のシンクタンク、新アメリカ安全保障セ...

続きを読む

国基研事務局長 黒澤聖二    今月9日午後7時ころ、航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭のF35Aステルス戦闘機1機が訓練中に青森沖の太平洋上で墜落した。機体の構造上の問題か、操縦士が平衡感覚を失うなど人為的問題なのか、現時点で原因は不明である。  F35Aは第5世代に分類される最新型で、老朽化したF4の後継として昨年1月から空自への配備が始まった。将来的に我が国は計105機、短距...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    3月下旬、台湾における歴史認識問題を調べるため現地調査を行い、台北で台湾出身慰安婦に関する民間博物館を見学した。驚いたのは、元慰安婦名義の預金通帳が展示されていたことだ。1945年1月現在の残高は2万4004円65銭と記されていた。博物館の英文説明は慰安婦をsex slave(性奴隷)と書いていたが、当時としては多額の預金を...

続きを読む

国基研副理事長 田久保忠衛    米国のシンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンドの研究者アンドルー・スモール氏などは、欧州連合(EU)が3月22日の首脳会議で中国の対欧経済攻勢に対してよくまとまって対応策を打ち出したと称賛しているが、これは少数意見だろう。ネオコン系の米歴史学者ロバート・ケーガン氏は欧州の弱さと分裂を「米国からの戦略的分離」「EUのほころび」「欧州の終末」な...

続きを読む

国基研理事・国士舘大学特任教授 百地章    「元号離れ」どころか国民的フィーバーの中で、新元号が発表された。平成に代わる新元号は「令和」である。出典は日本最古の和歌集『万葉集』であり、安倍晋三首相の説明によれば、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」という。  非常に素晴らしい元号であり、国民の多くも歓迎しているようだ。新元号の下に、天皇と...

続きを読む

産経新聞論説委員・前モスクワ支局長 遠藤良介    危惧された通り、ロシアとの北方領土交渉が難航している。安倍晋三首相は昨年11月、プーチン露大統領との間で、日ソ共同宣言(1956年)に基づいて交渉を加速させることに合意した。同宣言が「平和条約締結後に引き渡す」としている色丹島と歯舞群島の返還へ向け協議が進むかと思われたが、ロシアは「ゼロ回答」を突きつけている。  ロシアのガル...

続きを読む