【第675回】「コロナ後」に激化する米中統治モデルの衝突
国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博 中国・武漢発のパンデミック(感染症大流行)が炙り出したのは、詫びるどころか恩に着せる中国共産党の行動様式であった。自由世界を先導してきた米国が、武漢肺炎の荒波に翻弄されているうちに、中国はその元凶であることを棚上げして、「新型コロナウイルス制圧の勝者」であることを宣伝した。米欧の悲観論者は、パンデミック危機が世界秩序を再編する転換点になる...
【第674回・特別版】左派独裁の道を選択した韓国民
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 15日の韓国総選挙で、文在寅政権の与党(共に民主党、共に市民党)が圧勝し、300議席のうち180議席、5分の3を占めた。それに左派小政党(正義党6議席、開かれた民主党3議席)を加えると、189議席になる。それに対して保守系の第1野党(未来統合党)は103議席、中道野党(国民の党)は3議席だった。 韓国の国会は1院制で、本...
【第673回・特別版】米空母をコロナ感染から救え
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直 米海軍の原子力空母で新型コロナウイルスの感染が相次いで確認され、これまでに「セオドア・ルーズベルト」をはじめ4隻の乗組員に感染者が出た。米空母は中国、北朝鮮、イランなどの脅威を抑止するために枢要な作戦行動を担っており、米空母のウイルス感染が拡大すると、インド太平洋地域を含む世界の安全保障に深刻な影響を与えかねない。そこで、空母で...
【第672回】利他の心でウイルスに勝てる
国基研理事長 櫻井よしこ 東京、大阪等、諸都市の新型コロナウイルス感染拡大に直面して、4月7日、安倍晋三首相が戦後初めての緊急事態宣言を発出した。日本国の在り方が試される究極の局面だ。 欧米メディアがわが国の緊急事態宣言に効力がないと批判したのは、同宣言は政府にも自治体の長にも命令権をほとんど与えない内容だからだ。例外は臨時の病院施設を作る場合、土地所有者に要請の上、強...
【第671回・特別版】川内原発の運転停止を再考せよ
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直 九州電力川内原子力発電所(鹿児島県)の1号機が3月16日に運転を停止した。航空機によるテロを想定した特定重大事故対処施設(特重施設)の完成期限が3月で切れてしまい、運転停止命令が出される前に、自主的な運転停止に追い込まれた。2号機も5月26日に停止する。 新型コロナウイルスの感染拡大で九州経済が落ち込んでいる中、原発の運転停...
【第670回・特別版】韓国与党が狙う改憲ラインの200議席
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 4月15日の韓国総選挙が近づいた。現時点で文在寅政権の与党と準与党側が圧倒的に有利な情勢だ。 韓国の国会は定員300の1院制だ。任期は4年で、解散はない。一方、大統領は任期5年の1期限りだから、任期中のどの時点で総選挙があるかは大統領ごとに異なる。文在寅大統領にとって今回の総選挙は、任期3年を過ぎた時点での中間評価的性格...
【第669回】コロナ経済対策で戦略的な国家ファンド設立を
国基研企画委員・中部大学特任教授 細川昌彦 コロナショックによる深刻な経済的打撃を受けて、各国で巨額の経済対策が打ち出されている。その中で生活支援や失業対策ばかりが注目されるが、見逃してはならない動きがある。3月下旬、欧米各国では「対内投資規制の強化」と「国家ファンドの設立・強化」という企業の買収防衛策が相次いだ。コロナショックによる株価急落によって重要企業が外国企業に買収...
【第668回・特別版】中国の言うことを信じるな
産経新聞台北支局長 矢板明夫 中国・武漢発の新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。3月末現在、イタリアの死者は既に1万人を超えた。米国では1日に2万人のペースで感染者が増えている。しかし、不思議なことに、感染が最初に起き、拡大した中国では、新たな感染者が少なく、感染した人々も「9割以上が完治した」と政府が発表している。 日本のメディアの中には、対策で成功した中...
【第667回・特別版】死者1万人超か、北朝鮮でコロナ蔓延
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 先週末、私に届いた内部情報によると、中国・武漢発の新型コロナウイルスによる北朝鮮の死者が3月下旬段階で1万人を超えた。死者が一番多いのは首都平壌という。表向きの死因は「急性肺炎」とされているが、大半がコロナウイルスによるものであると政権中枢では認識されているという。北朝鮮はイタリアを上回り、ウイルス感染による死者が世界最多と...
【第666回・特別版】ジャパン・タイムズの慰安婦表記再変更を憂える
国基研理事兼企画委員 石川弘修 日本の日刊英字紙ジャパン・タイムズが3月20日、半ページ大の社告を掲載、一昨年11月に変更した戦前、戦時中の慰安婦の英文説明を再変更すると発表した。異例の再変更は、慰安婦募集に強制性はなかった歴史的事実から一歩後退し、日本兵との性行為を強要されたという元の表現への実質的な回帰が懸念される。 ●「戦時労働者」は維持 新たな方針では、...