公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、北朝鮮内部の動揺が激しくなってきた。会談が成功して経済制裁が緩み、対中貿易が再開し、韓国の経済支援が入り、日本から賠償金がくるとする事前学習をさせられていた人民と幹部に失望と不満が広がっている。独裁者の金正恩委員長は宣伝扇動部の末端活動家らを集めて「自給自足、自力更生で耐えよ」...

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国基研副理事長 田久保忠衛    中国が巨大経済圏構想「一帯一路」に欧州を巻き込もうとする勢いがにわかに強まってきた気配だ。習近平国家主席は欧州歴訪の最初の訪問国にイタリアを選び、22、23の両日、ローマでマッタレッラ大統領、コンテ首相とそれぞれ会談し、一帯一路推進を覚書で確認した。次いで李克強首相は4月9日にブリュッセルを訪れ、欧州連合(EU)首脳と短時間の会談をした後、クロア...

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静岡大学教授 大野旭(楊海英)    米国務省は13日、2018年度の世界各国の人権状況をまとめた報告書を公表し、この中で中国政府の少数民族抑圧政策について、実例を挙げて分析し、非難した。  中国政府によって拉致され、強制収容所に監禁されているウイグル人などは80~200万人に達する、と報告書はいう。ウイグル人のほかに、同じトルコ系の民族であるカザフ人も含まれている。ウイグル語...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    安倍政権は、欧州連合(EU)と共同で11年間続けてきた、国連人権理事会への北朝鮮非難決議案の提出に今年は加わらない方針を表明した。  拉致問題解決に向けた交渉の環境づくりという意図があるのだろう。理念に疑念を生じさせても敢えてこの行動を取ったことによって、日朝首脳会談の可能性は高まるかも知れない。しかし、それは北朝鮮の金...

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産経新聞特別記者 田村秀男    5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、共産党が仕切る擬似国会)の冒頭で、李克強首相は今年の国内総生産(GDP)の実質成長率目標を6%台前半に設定すると発表したが、真に受けてはならない。習近平党総書記・国家主席も李首相も、経済実態からすれば嘘であっても統計上は達成できると踏んでいるだけなのだ。  ●操作される統計数値  李氏は遼寧省...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    ハノイの米朝首脳会談が決裂した後、「米朝関係が緊張した時、日朝接近が起きる」などとして、拉致問題が動くかもしれないという観測が国内に流れた。私は、それはないと判断している。過去2回の米朝首脳会談で、拉致問題は核ミサイル廃棄交渉に組み込まれたから、米朝交渉が進展するまで北朝鮮は日本との交渉に応じないと見るからだ。一方、米朝が進...

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国基研理事・麗澤大学大学院特任教授 髙橋史朗    千葉県野田市の小4女児虐待死事件を契機に、政府与党は今国会提出予定の児童福祉法と児童虐待防止法の改正案に体罰禁止を盛り込む方向で調整している。2月27日、自民党の「虐待等に関する特命委員会」は、厚生労働部会との合同会議を開き、児童福祉司をはじめ専門職の増員と専門機関の連携等19項目の提言について協議した。  ●増員・連携だ...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    3月1日、韓国の文在寅大統領は1919年に日本の朝鮮半島統治に抵抗して起きた「3・1独立運動」100周年記念行事で演説をした。日本のマスコミの多くは直接的な日本批判がなかったことから日本に配慮したと評価した。しかし、私は演説で文在寅政権の危険さと反日姿勢がより明白になったと見ている。  ●日米との連携より対北接近  ...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    ベルリンでこのほど日米豪印4カ国協力に関するシンポジウムが開かれ、パネリストの1人としてこれに参加した。欧州でも近年、中国の台頭への懸念が強まり、それに対抗する多国間の枠組みとして、インド太平洋地域の民主主義4カ国による協力体制への関心が増しつつある。  シンポジウムを主催したのは、ドイツの最大与党キリスト教民主同盟(CDU)傘下の有力シン...

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国基研理事 首都大学東京名誉教授 鄭大均    韓国国会議長の「天皇謝罪発言」に一文をというのが、国基研企画委員会からの要請であるが、ここではもっと大事なことを記したい。  韓国憲法の前文に、「悠久の歴史と伝統に輝くわが大韓民国は3・1運動により建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承するという文があって、それが意味するのは、今日の韓国が1897年に成立した大韓帝国の正統性を継...

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