【第671回・特別版】川内原発の運転停止を再考せよ
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直 九州電力川内原子力発電所(鹿児島県)の1号機が3月16日に運転を停止した。航空機によるテロを想定した特定重大事故対処施設(特重施設)の完成期限が3月で切れてしまい、運転停止命令が出される前に、自主的な運転停止に追い込まれた。2号機も5月26日に停止する。 新型コロナウイルスの感染拡大で九州経済が落ち込んでいる中、原発の運転停...
【第670回・特別版】韓国与党が狙う改憲ラインの200議席
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 4月15日の韓国総選挙が近づいた。現時点で文在寅政権の与党と準与党側が圧倒的に有利な情勢だ。 韓国の国会は定員300の1院制だ。任期は4年で、解散はない。一方、大統領は任期5年の1期限りだから、任期中のどの時点で総選挙があるかは大統領ごとに異なる。文在寅大統領にとって今回の総選挙は、任期3年を過ぎた時点での中間評価的性格...
【第669回】コロナ経済対策で戦略的な国家ファンド設立を
国基研企画委員・中部大学特任教授 細川昌彦 コロナショックによる深刻な経済的打撃を受けて、各国で巨額の経済対策が打ち出されている。その中で生活支援や失業対策ばかりが注目されるが、見逃してはならない動きがある。3月下旬、欧米各国では「対内投資規制の強化」と「国家ファンドの設立・強化」という企業の買収防衛策が相次いだ。コロナショックによる株価急落によって重要企業が外国企業に買収...
【第668回・特別版】中国の言うことを信じるな
産経新聞台北支局長 矢板明夫 中国・武漢発の新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。3月末現在、イタリアの死者は既に1万人を超えた。米国では1日に2万人のペースで感染者が増えている。しかし、不思議なことに、感染が最初に起き、拡大した中国では、新たな感染者が少なく、感染した人々も「9割以上が完治した」と政府が発表している。 日本のメディアの中には、対策で成功した中...
【第667回・特別版】死者1万人超か、北朝鮮でコロナ蔓延
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 先週末、私に届いた内部情報によると、中国・武漢発の新型コロナウイルスによる北朝鮮の死者が3月下旬段階で1万人を超えた。死者が一番多いのは首都平壌という。表向きの死因は「急性肺炎」とされているが、大半がコロナウイルスによるものであると政権中枢では認識されているという。北朝鮮はイタリアを上回り、ウイルス感染による死者が世界最多と...
【第666回・特別版】ジャパン・タイムズの慰安婦表記再変更を憂える
国基研理事兼企画委員 石川弘修 日本の日刊英字紙ジャパン・タイムズが3月20日、半ページ大の社告を掲載、一昨年11月に変更した戦前、戦時中の慰安婦の英文説明を再変更すると発表した。異例の再変更は、慰安婦募集に強制性はなかった歴史的事実から一歩後退し、日本兵との性行為を強要されたという元の表現への実質的な回帰が懸念される。 ●「戦時労働者」は維持 新たな方針では、...
【第665回】コロナ対策で協力しても対立深める米中
国基研企画委員兼研究員 太田文雄 トランプ米大統領と習近平中国国家主席は27日、電話会談を行い、新型コロナウイルス対策で協力していくことで合意した。しかし、コロナウイルスという共通の脅威が存在しても、米中間では台湾や南シナ海をめぐって軍事的な対立が激しさを増している。当面の協力に目を奪われることなく、複眼的に米中関係を捉える必要がある。 ●台湾周辺で高まる軍事的緊張...
【第664回】コロナ経済対策は対象と目的を明確に
国基研企画委員・中部大学特任教授 細川昌彦 新型コロナウイルスの感染拡大の経済的影響は深刻になっている。中国から欧米に感染が拡大し、入国制限、外出禁止で人の移動が止まってしまった。また、いつまで続くのかが見通せないという不安から、世界の株式市場はパニックのように暴落している。日本国内でも外国人旅行客の減少、イベントや外出の自粛、サプライチェーン途絶など、需要、供給両面で急激...
【第663回】新型コロナ特措法で問われる知事の力量
国基研企画委員・中部大学特任教授 細川昌彦 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための新型インフルエンザ対策特別措置法改正案が成立し、施行された。 国会審議の焦点は「首相による緊急事態宣言」であった。宣言を出すにあたっては専門家による諮問委員会に諮ることになっているが、さらに付帯決議で国会への事前報告が求められた。私権を制限することに慎重であるべきであるとの意図は理解でき...
【第662回・特別版】「慰安婦捏造記事裁判」完全勝訴の意義
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 元朝日新聞記者の植村隆氏が私を相手に起こした慰安婦捏造ねつぞう記事訴訟の高裁判決が3月3日に出た。地裁に続き私の完全勝訴だった。植村氏は、私が著書や雑誌論文などで同氏の1991年8月と12月の元慰安婦金学順氏に関する記事を捏造と評論したことを、名誉毀損だと訴えた。 ●高裁も認めた記事の捏造 名誉毀損による損害賠償...