【第661回】超党派の中国政策諮問機関設置を
産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人 有元隆志 中国の習近平国家主席の国賓としての来日が延期となった。武漢ウイルスの終息の見通しが立っていない中で当然のことである。日本政府担当者は延期決定後、筆者に次のように語った。少々長くなるが引用する。 「中国の人権問題はわれわれも問題視している。昨年末の首脳会談で安倍晋三首相は習主席に香港や新疆ウイグル自治区における人権状況...
【第660回・特別版】北朝鮮で権力中枢の党幹部を解任
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮の権力中枢で、金正恩労働党委員長の叔父、張成沢氏が2013年12月に粛清されたのとほぼ匹敵する大事件が起きた。党内で強大な権力を持つ組織指導部長が公開の席で解任されたのだ。 2月28日、北朝鮮公式メディアは一斉に、労働党拡大政治局会議が開催され、李万建組織指導部長と朴太徳副委員長(農業担当)が解任されたと報じた。朝...
【第659回】教科書検定の透明性を高めよ
国基研副理事長・弁護士 髙池勝彦 昨年12月25日、「新しい歴史教科書をつくる会」(会長筆者)が関与した自由社版の中学校用歴史教科書が、最終的に検定不合格となつた。この20年間、5回の検定合格を得てきた「つくる会」系の教科書が不合格となつたことは、何とかして「つくる会」系の教科書を抹殺したいといふ文部科学省担当者の不当な意図によるものと考へざるを得ない。 ●「つくる...
【第658回】不都合な真実を隠す独裁体制の病気
国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博 不都合な真実を隠そうとするのは、全体主義の本性なのだろう。たった一つのコラムの見出しを理由に、中国は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の3人の北京駐在記者を追放した。新型コロナウイルスの感染拡大を独裁政治の限界として論評するメディアを決して許さないとの意思の表明だ。それは半世紀前に、産経新聞はじめ3紙の日本人特派員を追放した毛...
【第657回】新型コロナウイルスの感染予防策を提言する
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林 直 現在、世界一厳しいとされる新規制基準に合格した原子力発電所では、万が一の事故の際に放射性物質を濾こし取るフィルターベントという装置と、住民の被ばくを防ぐためフィルターで浄化した空気を送り込むエアシェルターという設備が設置されている。実質的に地元の有意な汚染は発生しないところまで安全対策が講じられた。同様に、新型コロナウイルスによ...
【第656回】新型肺炎から垣間見えた半導体ビジネスの危うさ
国基研企画委員・中部大学特任教授 細川昌彦 中国の新型肺炎の感染が拡大して、経済への深刻な影響が懸念されている。とりわけ発生源である武漢市は自動車産業の一大集積地で、自動車業界のサプライチェーン(部品供給網)への大きな影響にメディアの関心も注がれている。 しかし、忘れてはならないのが半導体産業だ。半導体産業は軍民融合を掲げる中国の産業政策「中国製造2025」の最重点産業...
【第655回・特別版】新型肺炎で分かった緊急事態条項の必要性
国基研理事・国士舘大学特任教授 百地章 中国湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は2月2日現在、中国本土で1万人を超え、死者も300人以上に達した。感染は日本をはじめ世界26の国と地域に拡大している。世界保健機関(WHO)は緊急事態を宣言し、わが国も出入国管理法に基づき、過去2週間以内に湖北省滞在歴のある外国人及び湖北省発行の中国旅券所持者の入国を拒否す...
【第654回】災害中も「台湾いじめ」を忘れない中国
産経新聞外信部次長 矢板明夫 中国の中南部・武漢発の新型コロナウイルス肺炎が猛威を振るっている。中国国内で感染が拡大し、複数の都市が実質封鎖され、交通網がストップされるなど、市民の生活は大きな影響を受けている。感染は周辺国にも及び、日本なども被害を受けている。 本来ならば、肺炎対策に全力を挙げなければならない中国の習近平政権だが、「人命より国家の体面」を重視し、「一つの...
【第653回】新型肺炎で露呈した中国隠蔽体質
帝塚山大学名誉教授 伊原吉之助 新型コロナウイルスによる肺炎が中国湖北省武漢で発生し、1月27日朝現在、中国の発症者が2744人、死者80人となった。中国当局は、人口1100万人の巨大都市・武漢市とその周辺を封鎖した。武漢市民は逃げ出したいのに出て行けなくなった。 但し、幾ら封鎖しても人は動くから、この新型肺炎の発症者は既に、近隣地域を中心に各国へ拡散中である。香港、タ...
【第652回・特別版】生活・産業基盤を脅かす司法リスク
国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直 山口県の住民3人が四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は17日、住民側の請求を認め、運転を差し止める決定をした。 この結果、司法判断は約2年のうちに運転が1回、停止が2回と迷走している。安定した電力供給は市民生活や産業・経済活動の基盤であり、今やこれを司法のリス...