【第648回・特別版】海自の中東派遣で政治家に望むこと
国基研企画委員兼研究員 太田文雄 10日、河野太郎防衛相は海上自衛隊の護衛艦と哨戒機に中東海域への派遣命令を出した。 米イラン関係の緊張の高まりを受け、大半の野党は派遣に反対するが、日本の原油輸入量の約9割を依存する中東海上交通路の安全確保に日本が参画しなくて良いのかという疑問には答えない。 米国は中東への軍増派を決めた。日本が「安保ただ乗り」をしていれば、いつ再び...
【第647回】体罰禁止で躾を否定する愚
国基研理事・麗澤大学大学院特任教授 髙橋史朗 改正児童虐待防止法が4月に施行されるのを前に、厚生労働省は昨年12月3日、体罰に関する指針案を公表した。広く国民の意見を聴いたうえで、3月に指針を確定する。指針案には「身体に何らかの苦痛又は不快感を引き起こす行為(罰)は、どんなに軽いものでも体罰に該当し、法律で禁止する」とある。しかし、「体罰」と自立心や忍耐力、基本的生活習慣を...
【第646回・特別版】日本の乏しい危機認識を憂う
国基研理事長 櫻井よしこ 令和の時代の日本は、国家の基本にまつわる重要かつ困難な課題をひとつまたひとつと解決していかなければならない。パクスアメリカーナ(米国による平和)の下で労せずして平和の配当を得た平成の30年間とは対照的に、私たちは自らの手で日本国と国民、国益を守る力を養わなければならない。 令和元年は北朝鮮による断続的なミサイル発射で始まった。2年は米国によるイ...
【第645回】「自力更生で制裁を正面突破せよ」と命じた金委員長
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 北朝鮮では昨年12月28日から4日間、労働党中央委員会全体会議が開かれた。本来なら党中央委員と同候補の300人で行う会議だが、今回は中央委員候補より下の党、行政機関、軍の幹部が全国から平壌に集められ、傍聴席を埋めたので、約2000人に膨れ上がった。 会議では金正恩委員長が約7時間、報告演説をした。その内容は一言で言うと「...
【第644回】大変化の時代は改憲で対応あるのみ
国基研副理事長 田久保忠衛 1年間を振り返ると、世界の戦後体制といわれるシステムに一大変化が生じつつある。それが正しいか正しくないか、既成の価値観に合致しているかいないか、などは関係がない。世界の指導者の中で、「私は民主主義のリーダーだ」などと言っているのは、既に政治的にレームダック(死に体)になってしまったドイツのメルケル首相くらいだ。 強権政治は中国、ロシア、北朝鮮...
【第643回・特別版】中国の不公正貿易を放置するRCEP
インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー インド太平洋の16カ国で構成される東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、世界最大の貿易圏を生むはずだった。しかし、インドの離脱でその目標は崩れた。中国がRCEPの主導権を握るのは、今やほぼ確実に見える。 インドのRCEP離脱の主な要因は中国である。米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授は中国を「世界で最も保護主義的...
【第642回】日韓改善へ歴史的事実に基づき反論せよ
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力 12月16日、東京とソウルで日韓関係をめぐり二つの動きがある。東京では戦略物資の輸出管理をめぐる日韓局長級対話が開かれる。報道によると、ソウルでは戦時労働者補償基金法案が韓国国会に提出される。日本の超党派国会議員がつくる日韓議員連盟の幹部らは、文喜相韓国国会議長が主導したこの法案に両国関係打開への期待をかける発言をしている。...
【第641回・特別版】日本の国会議員は人権侵害を許さない
参院議員 山谷えり子 今、世界第二の軍事・経済大国、中国によるチベット人やウイグル人の人権弾圧に、国際社会、特に欧米が厳しい視線を向けている。12月3日の米下院本会議では中国の新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル人を弾圧する中国当局に厳しい対応をとるようトランプ政権に求める「ウイグル人権法案」が賛成407、反対1の圧倒的多数で可決された。 この法案は、中国当局がウイグ...
【第640回・特別版】日韓の輸出管理対話をどう見るべきか
中部大学特任教授 細川昌彦 来週、日韓の輸出管理に関する局長級対話が開催されることに注目が集まっている。 今回の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を巡る騒動は韓国の独り相撲だった。当初、韓国の文在寅政権は日本の輸出管理強化への対抗措置としてGSOMIA破棄のカードを切った。そうすれば米国は破棄を回避するために韓国だけでなく日本へも働きかけ、日本を輸出管理強化の撤回へ追...
【第639回】イランをテロ国家と認識せよ
国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一 イランのロウハニ大統領が近く訪日予定という。12月3日に大統領特使として来日し、安倍晋三首相と面会したイランの外務次官が希望を伝えた。その後、NHKの取材に応じた同次官は「日本はイランにとって経済的なパートナーだ。イランはずっと日本に原油を供給してきたし、日本はイランに技術を提供してきた。これまでと同様の関係を継続したい」...