【第541回・特別版】トリチウム水公聴会の問題点
NPO法人ハッピーロードネット理事長 西本由美子 8月30~31日、東京電力福島第一原発に保管されている放射性物質トリチウムが入った水の処分について、公聴会が福島県富岡町、郡山市と東京の3か所で行われた。新聞、テレビは、海洋放出への反対意見が登壇者から多数出たことを報じた。公聴会で反対意見が多かったのは事実だ。しかし、その背景にある問題点に触れた報道はほとんどなかった。ここ...
【第540回・特別版】誤って伝えられた米大統領の「真珠湾」発言
産経新聞論説副委員長 榊原智 トランプ米大統領が安倍晋三首相に語った「真珠湾」発言が、誤って伝わっている。その誤解を解くフジテレビの極めて重要な報道を紹介したい。 誤って伝えられた発言とは、次のようなものだ。 米紙ワシントン・ポスト(電子版)が8月28日、トランプ氏が6月に安倍首相と会談した際、「真珠湾攻撃を忘れないぞ」と牽制してから通商問題の協議を始めたと報じたの...
【第539回】日米同盟は盤石なのか
国基研企画委員 太田文雄 小野寺五典防衛相は8月28日の閣議で、平成30年版防衛白書を報告した。これまでの白書に比べ、分かりやすい見出しで最初に要約を持ってきているところは評価したい。一部の主要メディアは白書について、北朝鮮の脅威に変化なしとして地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の導入を正当化する道具であるかのような扱い方をしているが、580ページに及ぶ白...
【第538回】韓国徴用工裁判で日本政府がなすべきこと
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 韓国大法院(最高裁判所)は8月23日、韓国人の元徴用工らが新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判の審理を始めた。同裁判の確定判決が5年以上も下されなかったことが朴槿恵政権時代の「積弊」として捜査対象になっているから、文在寅大統領に任命された金命洙大法院長(最高裁長官)の下、早ければ年内にも新日鉄住金の敗訴が確定するはずだ。それに続いて三菱...
【第537回・特別版】中国海兵隊が狙う台湾・尖閣侵攻
国基研企画委員 太田文雄 米国防総省は16日、中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書を公表した。毎年春に公表されているが、今年は何故かこの時期までずれ込んだ。人民解放軍が一貫して能力を急速に向上させているという内容であるが、とりわけ2020年までに海兵隊(海軍陸戦隊)が従来の3倍に拡大するとの見積もりが出たことが注目される。現在の規模は2個旅団、約1万人であるが、...
【第536回】春季例大祭に陛下の靖國神社ご親拝を
国基研理事・国士舘大学特任教授 百地章 平成最後の終戦記念日、靖國神社には「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバー50人が参拝したが、閣僚の姿は1人も見られなかった。国会議員の参拝者数も昨年より減少しており、実に情けなく思う。 ●首相は年末に5年ぶりの参拝を 安倍晋三首相は、第2次安倍内閣が発足してちょうど1年後の平成25年12月26日、首相として初...
【第535回】習近平体制に異変あり
産経新聞外信部次長 矢板明夫 中国北東部にある避暑地、河北省秦皇島市の北戴河で8月初めから、習近平国家主席ら共産党最高指導部と党内実力者の江沢民、胡錦濤両氏ら長老による重要会議が開かれている。15日前後まで続くとみられる。 関係者によれば、会議で長老から習指導部の外交、経済政策を批判する意見が多数出た。中には、習氏の強引な対外拡張路線や、習政権が掲げる民族主義をあおる政...
【第534回・特別版】日朝「拉致」合同調査に反対せよ
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 西岡力 米朝首脳会談で拉致問題が取り上げられた後も、北朝鮮公式メディアは「拉致問題は解決済み」という主張を続けている。しかし、注意深くその論旨を読み解くと、この機会に日本と協議して、多額の過去清算資金を得たいという本音が透けてくる。 すでに北朝鮮はそのための準備を始めている。彼らは拉致についてゼロ回答では日本から金を取れないことを理解し...
【第533回】米著名学者が国際秩序維持断念論
国基研副理事長 田久保忠衛 覇権国家間の対立を、古代ギリシャのスパルタとアテネの抗争になぞらえて「トゥキディデスの罠わな」の名文句を広めたのは米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授だ。そのアリソン氏がフォーリン・アフェアーズ誌7-8月号に「リベラル・オーダー(自由主義的国際秩序)の神話」と題して一文を書き、米国は国際秩序の維持者たらんとするよりも自国の健全な民主主義再生に...
【第532回・特別版】日米にAIIB参加を促す提言に異議あり
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 世界は今、自由、民主主義、人権、市場経済、ルールに基づく国際秩序を重視する価値観を持つ陣営と、そうした価値観を持たない強権国家の陣営がしのぎを削っている。日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国はインド太平洋地域で前者の核を形成するが、その4カ国の有力研究機関が最近、後者の代表格である中国の主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)...