公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    習近平中国国家主席が力を入れる「一帯一路」構想は、世界的規模で中国の経済的利益や政治的影響力を拡大するだけでなく、完成したインフラが中国に軍事利用される可能性があるなど「地政学的リスク」も大きい。その実態が、最近公表された米国の研究報告書で浮き彫りになった。  ●米研究所が中国10事業を検証  米国のシンクタンク、新アメリカ安全保障セ...

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国基研事務局長 黒澤聖二    今月9日午後7時ころ、航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭のF35Aステルス戦闘機1機が訓練中に青森沖の太平洋上で墜落した。機体の構造上の問題か、操縦士が平衡感覚を失うなど人為的問題なのか、現時点で原因は不明である。  F35Aは第5世代に分類される最新型で、老朽化したF4の後継として昨年1月から空自への配備が始まった。将来的に我が国は計105機、短距...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    3月下旬、台湾における歴史認識問題を調べるため現地調査を行い、台北で台湾出身慰安婦に関する民間博物館を見学した。驚いたのは、元慰安婦名義の預金通帳が展示されていたことだ。1945年1月現在の残高は2万4004円65銭と記されていた。博物館の英文説明は慰安婦をsex slave(性奴隷)と書いていたが、当時としては多額の預金を...

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国基研副理事長 田久保忠衛    米国のシンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンドの研究者アンドルー・スモール氏などは、欧州連合(EU)が3月22日の首脳会議で中国の対欧経済攻勢に対してよくまとまって対応策を打ち出したと称賛しているが、これは少数意見だろう。ネオコン系の米歴史学者ロバート・ケーガン氏は欧州の弱さと分裂を「米国からの戦略的分離」「EUのほころび」「欧州の終末」な...

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国基研理事・国士舘大学特任教授 百地章    「元号離れ」どころか国民的フィーバーの中で、新元号が発表された。平成に代わる新元号は「令和」である。出典は日本最古の和歌集『万葉集』であり、安倍晋三首相の説明によれば、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」という。  非常に素晴らしい元号であり、国民の多くも歓迎しているようだ。新元号の下に、天皇と...

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産経新聞論説委員・前モスクワ支局長 遠藤良介    危惧された通り、ロシアとの北方領土交渉が難航している。安倍晋三首相は昨年11月、プーチン露大統領との間で、日ソ共同宣言(1956年)に基づいて交渉を加速させることに合意した。同宣言が「平和条約締結後に引き渡す」としている色丹島と歯舞群島の返還へ向け協議が進むかと思われたが、ロシアは「ゼロ回答」を突きつけている。  ロシアのガル...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、北朝鮮内部の動揺が激しくなってきた。会談が成功して経済制裁が緩み、対中貿易が再開し、韓国の経済支援が入り、日本から賠償金がくるとする事前学習をさせられていた人民と幹部に失望と不満が広がっている。独裁者の金正恩委員長は宣伝扇動部の末端活動家らを集めて「自給自足、自力更生で耐えよ」...

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国基研副理事長 田久保忠衛    中国が巨大経済圏構想「一帯一路」に欧州を巻き込もうとする勢いがにわかに強まってきた気配だ。習近平国家主席は欧州歴訪の最初の訪問国にイタリアを選び、22、23の両日、ローマでマッタレッラ大統領、コンテ首相とそれぞれ会談し、一帯一路推進を覚書で確認した。次いで李克強首相は4月9日にブリュッセルを訪れ、欧州連合(EU)首脳と短時間の会談をした後、クロア...

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静岡大学教授 大野旭(楊海英)    米国務省は13日、2018年度の世界各国の人権状況をまとめた報告書を公表し、この中で中国政府の少数民族抑圧政策について、実例を挙げて分析し、非難した。  中国政府によって拉致され、強制収容所に監禁されているウイグル人などは80~200万人に達する、と報告書はいう。ウイグル人のほかに、同じトルコ系の民族であるカザフ人も含まれている。ウイグル語...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学教授 島田洋一    安倍政権は、欧州連合(EU)と共同で11年間続けてきた、国連人権理事会への北朝鮮非難決議案の提出に今年は加わらない方針を表明した。  拉致問題解決に向けた交渉の環境づくりという意図があるのだろう。理念に疑念を生じさせても敢えてこの行動を取ったことによって、日朝首脳会談の可能性は高まるかも知れない。しかし、それは北朝鮮の金...

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